月見湯
銭湯 - 北海道 札幌市
銭湯 - 北海道 札幌市
最近、決断することに疲れていた。
支配されることを嫌悪している。支配することも大嫌いだ。
となると、自分の人生を自分で決めざるをえなくなる。ずっとそれがかっこいいと思っていた。
ただ、あまりに選択と決断と責任がひっきりなしに押し寄せてきすぎる。もしかしたら、俺は間違った道を進んでいるのかと不安がよぎる。
そんなとき月見湯のブログにこんなことが書いてあった。
「サウナではサウナマットを使いましょう」
ささやかだが、キッパリとした文面だった。
そんなの考えたこともなかった。でも、自然と思えた。「サウナマット買わなきゃ」と。
神は細部に宿る。清掃する姿をはじめ、月見湯は細かい部分にまで気を配っているのがわかる。こんな仕事をする人たちなら信じられる。
信じられない奴の信じられない判断に従えなくてここまで来てしまった。長らく信じられる人たちの判断に身を委ねる心地よさを忘れていた。
考える余地もない。
体が0になる。なにも考えない。なにも身にまとわない。なにも背負わない。
こんな気持ちになれる場所、銭湯やサウナ以外にあるのだろうか?
札幌に降りしきる雪は全裸の体にたちのぼる湯気を彩る。
白い。いい。とてもいい。
冷たい地面から足を守るにも新品のサウナマットちゃんは役に立つ。
雪降る夜空に手を挙げる。ありがたいことに今は私一人だ。
踊り出したい気持ちを抑えるのに必死なくらい。それだけ満たされていく。
必然、あの歌が頭に流れ出す。
クーリスマスが今年もやってくるー
えー、やだー
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