鋼野 鐵哉

2023.06.05

1回目の訪問

寂れている。実に寂れている。併設された商業施設のほとんどは閉店している。マンガの在庫も冊数はそこそこあるものの内容は寂れている。浴室もそれなりの広さがありながら主張に欠ける。サウナイキタイで記載のデッキチェアも他所の施設だと普通に椅子と呼ぶべきものではないかと。そして客層さえもがいなたい。緑の薬湯なんかバスクリンじゃないかと思えてくるから不思議だ。水風呂は塩素の香りが強め。洗面器の形状までもが貧相だ。ひとまわりしての印象だと再訪はなさそう。寂れていたって昔は美人だったろうなと思わせる老婦人みたいな風格もなくて、実年齢はそこまででもないはずなのにくたびれて見えてしまうおばちゃんのような萎びた雰囲気。まるで片田舎の…そこまで考えてはたと思い至る。ここは蘇我だ。蘇にして我である。なんと云うか、実に蘇我らしい施設じゃないか。田舎なのに洗練されているかりんの湯なんかとは違って、狙ってない朴訥とした寂れ加減。そう考えると急に愛らしく思えてくる。そして遂には名残惜しくなって通常2セット仕上げのところを3セット敢行。願わくば、もう少しだけお値段が寂れていると個人的には嬉しいのだが。

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