玉の湯
銭湯 - 東京都 杉並区
銭湯 - 東京都 杉並区
年末をゆっくりと自宅で過ごすように、今年最後のサウナは一番慣れ親しんだ玉の湯で
はっきり温度の高いあつ湯が好き
まったりとぬる目の薬湯が好き
贅沢に水を湛える水風呂が好き
ベンチに腰掛けた時のすきま風が好き
そしてこの静かでよく灼けたサ室が好き
運良く訪れた独り占めタイム
迷わず上段に座るとヒリつく肌ざわりの熱がくる
顔を上げると鼻の穴の粘膜を脅かすような熱さ
通い始めの頃はこの熱さに慣れなくて下段ばかりだった
初期はバスタオルを敷き、その上であぐらをかいていたが、混み合うサウナ施設にも出入りするようになってからは、洋式座りで蒸されるようになった
そんなことを思い出し、せっかくだから、久しぶりにあぐらをかいて、この熱を受け止めようと思った
手首のところのでっぱりと膝頭のくぼみを合わせるとピタッときまる
私の腕の長さや体の柔らかさなどの関係でちょうど良い姿勢らしく、変に力が入る箇所もなく座っていられる
胸と肩が開かれるようでいつもよりしっかりと熱を感じられる
それでもサウナ浴の経験をこの一年で積んできたので気持ちよく汗がかける
それはつまり、昔の私と今の私がこの瞬間に交錯しているようで感慨深いものがあった
また今年最後だと思うと、なかなかに名残り惜しく、サ室内で圧縮された時間を、時計を睨みながら、みみっちくも薄く引き延ばしにかかった
それでも刻一刻と時間は流れ、最後の方は今生の別れを迎えるかのごとく、寂しい気持ちでいっぱいになった
最後の水風呂を終え、ベンチから立ち上がって、さあ帰るかという段になって、サッシから落ちてきた水滴が、トトン、トンとリズミカルに私の頭を叩いた
「ほらもう1セット行くぞ」と誘われているような気がして、「よし、もう1セットだけ行くか」と嬉しくなった
家に帰ったのがちょうど24時くらい
今年も残り1日を切ったが、来年もそのさらに先もここにお世話になるのだろう
今までありがとう
これからもよろしく
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