都湯-ZEZE-
銭湯 - 滋賀県 大津市
銭湯 - 滋賀県 大津市
「ひとつの幸せのドアが閉じるとき、もうひとつのドアが開く。しかし、よく私たちは閉じたドアばかりに目を奪われ、開いたドアに気付かない。」
とは、ヘレン・ケラーの言葉。
わたしには数年前に婚約破棄をしたお相手がいる。
その頃は本当に結婚すると思っていたし、実現しなかったのは多分にわたしに甲斐性がなかったからだ。
何度も悔やんだし、それが最後の色恋になっている。
きっぱりと関係を絶ち、今は何処で何をしているやら。
互いにとって大恋愛だったのは間違いないと思いたい。
わたしのように結婚や家族を持つことに距離を置いているのかも知れない。
あるいは幸せな人生を送っていてくれるだろうか。
数年来、恋愛や結婚の気配に触れる度に思い出す、そんな存在となっていた。
今日、SNSに見慣れないアカウントがピックアップされた。
ふと覗いてみると、それは間違いなく元婚約者のものだった。
プロフィールを見ると、
彼女はユーチューバーになっていた。
え…笑。
おい、なんだそれ笑
思っていた斜め上過ぎて面を喰ってしまった。
でも、彼女らしく好きなことをしていてくれた。
楽しそうにしてくれていて、良かった。
彼女はきちんと新しいドアを開けてくれていたのだ。
少しの戸惑いと少しの安堵感。
あまり深掘りはせずにページを閉じた。
そうしてわたしは今日も都湯へ向かう。
サウナの日に入籍した店主と若女将の営む町銭湯。
期間限定のヴィヒタが幸せの香りを盛り立てる。
あるいはユーチューバーになり、あるいはサウナーになり。
ヘレン・ケラーの言葉を借りるなら、
わたしに開いたのはサ室のドアだったみたいだ。
今日のサウナは一段と熱く感じた。
男
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