しぶゆ~

2023.05.05

1回目の訪問

見知らぬ土地へ行った時、私たちは何を手掛かりにしてサウナを選んでいるのだろう?

チャンスは春の天気のように気まぐれだ。予報通りに降る事もあれば、予報が外れて唐突に舞い降りる事もある。予報通りであれば、玄関の棚から折り畳み傘をバッグに入れるように予め備えていれば良い。だが、予報が外れて降ってきた時、私はこれからどこへ行けばいいのか途方に暮れてしまう。傘を忘れた学生が学校の玄関から見える土砂降りの雨をただ眺めるしかできないように。

それは運命かもしれないし、偶然かもしれない。とにかく私はトントゥに導かれてこの街を訪れた。

私が知らない土地で訪問先を選ぶ時、一つの基準とするものがある。それは安心感だ。額に汗を浮かべて挑む冠動脈の手術のように選択には少しのミスも許されない。もし失敗すれば取り返しのつかない合併症を併発してしまうかもしれないからだ。選択は常に慎重で命懸けだ。難易度の高い手術だが、成功確率を上げる手段がいくつかある。その中の最も信頼できるもの、それはトントゥがいるかどうかだ。この街にはトントゥがいた。だから私はこの街を選んだのだ。難病を抱えた患者が手術への安心感を求めて名医に縋るように、私はトントゥに縋ったのだ。

この広い街は茶色いタイルで覆われている。長い年月その表面をお湯が流れ続けたのであろうタイルには黄色や赤色が張り付いている。それが長年、人々に愛されてきたことの何よりの証となり、私の心は不思議な安心感で満ちる。それと共に、この街への訪問が正しかった事を直観する。

街には植物が一本も生えていない。それを寂しく思った誰かが気を利かせて街の壁に瑞々しい森林を描いていった。そのおかげで街には開放感が溢れている。

この街には黄土でできた小部屋がある。かつて紀元前の皇帝は発汗と長寿のために蒸し風呂の壁を黄土で作った。長江と黄河、広大な中国を股にかける2大河川。そのうちの黄河の元で採取されるのが黄土だ。悠久の時を経てミネラルと酸素を豊富に含み、赤外線をよく反射する特性を持った。この街の小部屋の壁はそんな土で丁寧に固められている。積まれた熱い石の上には薬草が入った鍋。その蒸気と香りに部屋は満ちている。

新鮮な水に飛び込むのも自由だ。勝手にすればいい。だが、隣を見るともう一つ小部屋がある。淹れたての熱いコーヒーも一瞬で冷めそうなこの部屋の空気は、聖水でもないのに体から穢れを祓う。人々はひょっとするとこの小部屋を目当てにこの街を訪れているのかもしれない。

しぶゆ~さんの源泉掛け流し しあわせの湯のサ活写真

  • サウナ温度 100℃
  • 水風呂温度 16℃
0
27

このサ活が気に入ったらトントゥをおくってみよう

トントゥをおくる

トントゥとは?

ログインするといいねや
コメントすることができます

すでに会員の方はこちら

サウナグッズ

アプリでサウナ探しが
もっと便利に!

サウナマップ、営業中サウナの検索など、
アプリ限定の機能が盛りだくさん!