2021.06.06 登録

  • サウナ歴 6年 6ヶ月
  • ホーム スパ・アルプス
  • 好きなサウナ 1:SAUNA CNOC 2:洞爺サンパレス リゾート&スパ 3:平ふれあい温泉センター ゆ〜楽 4:マウレ山荘 5:ニコーリフレ SAPPORO
  • プロフィール 文章を書く仕事の延長でサ活をレビューをしています。文章を通して、サウナの魅力を少しでも多くの人に伝えることが目標です。 より深いサウナや泉質の表現のために,温泉ソムリエの資格を取りました。 スマートウォッチが壊れないようにリストバンドをしてサウナに入っていますが、不審者ではないです。 「いいね」していただけるととても励みになります!
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しぶゆ~

2023.10.07

2回目の訪問

スパ・アルプス

[ 富山県 ]

2023年10月6日。

私は今日の日を忘れることはないだろう。

何の変哲もないこの日が
私にとっての記念日となった。

何の特徴もないこの日が
私にとっての大切な日となった。

私の大切な人が
一晩中苦しんで産み落とした
3530g。

吹けば消えてしまうほどの
小さくて弱いいのち。

しかしその灯は
強く懸命に光っている。

このいのちを大切にしよう。

この子が歩むであろう棘の道。

その棘に耐えられるように
親の私が手本を見せて
棘の道を歩まねばならない。

人生は楽しいと
生きることは素晴らしいと
この子がそう感じられるように
その身をもって示さねばならない。

スパアルプスのベンチで
ロウリュウ後の秋の風を感じながら
私はそんなことを考える。

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34

しぶゆ~

2023.08.15

3回目の訪問

天然温泉 海王

[ 富山県 ]

温泉ソムリエの資格を持つ私が,海王の泉質の解説とサウナと併用することによる効果について考察する。私はこの温泉をサウナと併用することによって「発汗の促進」並びに「ディープリラックス」,「美肌効果」という3つの効果が期待できると考える。

海王の温泉は「ナトリウム―塩化物泉」に分類されている。所謂「湯冷めの湯」と呼ばれる温泉であり,入浴後の保温効果が高い温泉だということがわかる。特筆すべきは5点である。

1. 高調性温泉
高調性の温泉は,人体に対しての浸透圧が高いため,成分が皮膚から吸収されやすいという特徴がある。海王の温泉はこの高調性の温泉である。

2. 塩化物イオン
海王の温泉は塩化物イオンの割合が98.41%と非常に高い。8500 g/kgという値は旧泉質名において「強食塩泉」と呼ばれる値を超えている。そのため,塩化物泉の特徴が色濃く反映される温泉だといえる。

3. ナトリウムイオン
海王の温泉はナトリウムイオンの割合が85.38%と非常に高い。ナトリウム泉は筋肉弛緩やミネラル吸収の促進作用があり,リラックス効果が高い温泉である。海王の温泉はこの特徴を色濃く反映した温泉といえる。

4. 湧出地
成分表に記されている湧出地の住所から,建物がある住所から温泉が湧出していることがわかり,まさに「源泉かけ流し」の名がふさわしい温泉だといえる。これはつまり,温泉が還元系ということを表している。還元系の温泉は皮膚の老化抑制効果が期待できる温泉とされ「若返りの泉」とも呼ばれている。

5. pH 7.5
海王の温泉はpHの値が7.5であるため,古い角質を除去し,美肌効果を持つ所謂「美人の湯」としての効能を備えているとわかる。

以上の特徴からサウナと併用した場合の効果を考えると次のようになる。

①発汗の促進
この温泉は高調性の温泉であり,塩化物イオンの割合が大きい。このことから,入浴後にサウナへ入ることで「塩サウナ」のように浸透圧による発汗の促進といった効果が期待できる。

②ディープリラックス
この温泉はナトリウムイオンを多く含む高調性の温泉であるため,サウナ後の入浴によってより深いリラックス効果が期待できる。サウナによって開いた毛穴から,高調性の温泉が浸透し,十二分にその効能を発揮すると考えられる。

③美肌効果
湧出地から還元系の温泉だという推測とpH 7.5という値からかなりの美肌効果が期待できる。発汗によって毛穴から表出した古い角質や皮脂を溶かし,肌へと還元作用を与えて酸素を取り除き,パック効果で保温,保湿。サウナとの相乗効果による美肌効果はもはや疑いようがない。

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  • サウナ温度 100℃
  • 水風呂温度 15℃,15℃
30

しぶゆ~

2023.07.30

1回目の訪問

長細い木の板を合わせた壁で仕切られたその施設はまるで一つの街のようだった。私はその街の入り口で門衛に対価を支払い,中へ入ることを許された。中に入ると漂うのは新鮮な薪の香り。この街はいくつかのエリアに分かれていて裕福な人々は個別に用意された極上のサウナで癒されることができる。そのエリアへの立ち入りを許可されていない私は,薪の香りを楽しみながら大浴場へと歩を進めていった。すでにほんのりと香る薪が燃える香り。 その「いぶり臭さ」がなおさら私の故郷での夏の思い出を呼び覚まさせる。

洞窟の中ではまるで 蒸気機関を思わせるような特殊なサウナストーブがごうごうと音を立てて燃えていた。温度は75度と比較的ぬるめの設定であるが,とにかく湿度が高い。石で覆われて密閉された洞窟の中では水が滴り落ちるように水蒸気が充満している。暗い室内では,燃えているサウナストーブだけが不思議な魔力を持ったように唯一の光源となる。燃える炎に目を奪われてると,ストーブの下に水が張ってあることに気付く。すると,この洞窟が水上列車の燃焼室だと錯覚する。この列車によって異世界への移動中だという不思議な錯覚に陥る。時間も忘れて,ただこの水蒸気の空間に身を委ねる。燃える炎の他に,無駄な雑音はない。
もう一つのサウナは訪れる従者によって供給される薪によって,温度は心地よく調整されている。選ばれた住民は,その神聖な器に水をかけることが許されている。私はこれまでたくさんの街で薪を用いたサウナに出会ってきたがここまでの広さの薪のサウナはなかった。薪の炎はじんわり,じんわりと体を温め,発汗を促す。同じ炎という熱源を用いているのに汗のかき方が違うと感じるのはなぜだろうか。私は薪サウナが好きだ。おそらくこれは太古より炎を囲んで食事していた私たち人類のDNAに刻まれているのだと思う。炎で体を温める。この行為によって私の体から出る汗は普通の体験では得られない独特の濃さをもって私の体から染み出てくる。
この街には大小の土管が2つ存在する。そしてその土管には黒部の水が絶えず注がれている。土管がこの街の中央に配置されていることから,街のシンボル的な存在であることは間違いない。ペンキで記された黒部の文字。見せられた私の脳内には火照った体で土管に入ったときのイメージがあふれる。私はかけ湯で汗を流し,梯子を登る。土管に体を沈めるとその深さに驚く。180cmある私が,立って入ることができるのだ。かろうじて呼吸器官だけを水の上に出すことができる。全身を黒部に包まれる。漂う薪の燃える香り。黒部の水。爽やかな黒部の風。私は今,黒部と一体となっている。何も考えなくていい。ただただこの黒部の自然が心地よいのだ。

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36

しぶゆ~

2023.05.13

1回目の訪問

高原鉱泉

[ 富山県 ]

スパアルプスにほど近い高屋敷にひっそりとその街は佇んでいる。
 夜のひんやりとした空気に包まれた住宅街で、自然と落ち着き放っているその佇まいから、はるか昔からこの場所に有り続けていることがわかる。高原鉱泉。今日はこの街で疲れを癒すとしよう。
 街には木の門構えがあり、赤い暖簾が夜に映える。入り口には水汲み処があり、地下深く80mから汲み上げた天然水の滴る音が私を歓迎する(この水は水風呂にも使われている)。
 街に踏み入ると鼻腔を刺激するのは線香の香り。扉を開けた瞬間、私は大学生に戻っていた。夏、太陽が落ちた夕暮れに少し冷えた風を浴びながら自転車で近くの銭湯へと通っていた大学生の頃に。暖色の光が照らす、木目調の店内が、懐かしさ溢れる店内がそうさせたのか。私は、この街には初めて訪れた。だが、私はこの街を知っているのだ。かつて通った銭湯の面影のかけらが不思議なことにこの街のそこら中に散らばっているのだ。よく見るとそのかけらにはたくさんの種類があることに気がつく。色々な銭湯や温泉の思い出のかけらがこの街に彩りを添えている。何故か、懐かしい。オトナ帝国の逆襲でひろしが回想し、涙したように。この街の雰囲気は、香りはどこか懐かしいのだ。
 タイル調の浴室は、長細い浴槽を携えて私を歓迎してくれる。シャンプー、ボディーソープ無し。赤と青を押すと注がれるお湯と水は熱く、そして冷たい。頑丈なケロリンの桶に愛着が湧く。
 どうして昔ながらの銭湯のお湯は心地よいのだろう?
 「薪で地下水を沸かしているからここのお湯は柔らかいんです。」脳内におくりびとのワンシーンが蘇る。ここの銭湯のお湯もきっとそうなのだろう。不思議と柔らかく、心地よい。浴槽は広くはないが、不思議と落ち着く。
 サウナ室の構造は、私は初経験であった。対面式。なんと、対面式。地元の常連のおじさんと膝と膝を突き合わせる。これもなんだか悪くない。大学生の頃は入り方も知らなかったサウナ。よくわからずに、知らないおじさんの真似をした。その記憶が自然と、蘇る。石が乗った小さなサウナストーブ。サウナ椅子からキクラゲみたいに生えている茶色い汗の結晶。その全てが、パズルのピースのように組み合わさって懐かしさの絵を浮かび上がらせている。

 12分後、水風呂へ。水風呂には入り口で歓迎してくれたものと同じ地下水が注がれている。青いタイルに唐突に貼りミスマッチな獅子。その獅子の口からクレオパトラの湯のように出る水は冷たく、柔らかい。無骨で狭い水風呂もやはりどこか懐かしい。

 いい銭湯だ、ここは。本当にいい銭湯だ。なんでか無性に懐かしくなる。昔のことを自然と思い出す。なんでか少し、優しくなれる。

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  • サウナ温度 100℃
  • 水風呂温度 14℃
25

しぶゆ~

2023.05.05

1回目の訪問

見知らぬ土地へ行った時、私たちは何を手掛かりにしてサウナを選んでいるのだろう?

チャンスは春の天気のように気まぐれだ。予報通りに降る事もあれば、予報が外れて唐突に舞い降りる事もある。予報通りであれば、玄関の棚から折り畳み傘をバッグに入れるように予め備えていれば良い。だが、予報が外れて降ってきた時、私はこれからどこへ行けばいいのか途方に暮れてしまう。傘を忘れた学生が学校の玄関から見える土砂降りの雨をただ眺めるしかできないように。

それは運命かもしれないし、偶然かもしれない。とにかく私はトントゥに導かれてこの街を訪れた。

私が知らない土地で訪問先を選ぶ時、一つの基準とするものがある。それは安心感だ。額に汗を浮かべて挑む冠動脈の手術のように選択には少しのミスも許されない。もし失敗すれば取り返しのつかない合併症を併発してしまうかもしれないからだ。選択は常に慎重で命懸けだ。難易度の高い手術だが、成功確率を上げる手段がいくつかある。その中の最も信頼できるもの、それはトントゥがいるかどうかだ。この街にはトントゥがいた。だから私はこの街を選んだのだ。難病を抱えた患者が手術への安心感を求めて名医に縋るように、私はトントゥに縋ったのだ。

この広い街は茶色いタイルで覆われている。長い年月その表面をお湯が流れ続けたのであろうタイルには黄色や赤色が張り付いている。それが長年、人々に愛されてきたことの何よりの証となり、私の心は不思議な安心感で満ちる。それと共に、この街への訪問が正しかった事を直観する。

街には植物が一本も生えていない。それを寂しく思った誰かが気を利かせて街の壁に瑞々しい森林を描いていった。そのおかげで街には開放感が溢れている。

この街には黄土でできた小部屋がある。かつて紀元前の皇帝は発汗と長寿のために蒸し風呂の壁を黄土で作った。長江と黄河、広大な中国を股にかける2大河川。そのうちの黄河の元で採取されるのが黄土だ。悠久の時を経てミネラルと酸素を豊富に含み、赤外線をよく反射する特性を持った。この街の小部屋の壁はそんな土で丁寧に固められている。積まれた熱い石の上には薬草が入った鍋。その蒸気と香りに部屋は満ちている。

新鮮な水に飛び込むのも自由だ。勝手にすればいい。だが、隣を見るともう一つ小部屋がある。淹れたての熱いコーヒーも一瞬で冷めそうなこの部屋の空気は、聖水でもないのに体から穢れを祓う。人々はひょっとするとこの小部屋を目当てにこの街を訪れているのかもしれない。

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  • サウナ温度 100℃
  • 水風呂温度 16℃
27

しぶゆ~

2023.05.04

1回目の訪問

我々はサウナの奴隷だ。
我々の存在価値はサウナにのみあり、サウナ以外の事柄は否定される。

この街では、人々のヒエラルキーはサウナによって決まる。スポーツ選手が行う合宿のヒエラルキーが自然と競技の成績で決まるように、ここではサウナが全てであり、サウナ意外に価値はない。

この街の人々は寡黙だ。まるで夜の美術館の石像のように。初めからそんなことはできなかったかのように、誰一人として言葉を交わす者はない。
街の入り口で、我々は声を失う。門衛に声を差し出すこと。それがこの街に入るための対価なのだ。そして門衛はもう一つ、我々に大切なものを要求する。差し出さなければならないのは他者への親しみ。この街では誰もが厳しい監視下のもとで孤独になる。原罪を持って生まれてきた我々は、ただ、ひたすらに自分たちの犯した罪と向き合わなければならない。ステンドグラスから夕日の光が差し込む礼拝堂のように、この街はただひたすらに内省的だ。
禁忌を犯すと我々はたちまちこの街から拒絶される。たくましい門衛達が街に留まることを許さない。

用意されているのは4つの小部屋と4つの水桶。そしてたくさんの椅子。人々は気に入った小部屋に籠り、そこでじっと時を待つ。時が来たら流水激しい7℃の水桶に飛び込む。途端に心臓の音は大きくなり、この街に響く唯一の音となる。音が静まるまで、たくさんの椅子の中から好きな椅子を選んで座る。

この街のもてなしは国の中でもとくに優れている。縦に連なる名所はどこだろうと静かで、街に住む人々がそれを高い意識で遵守している。

街を訪れる際は必ず一人であること。これがこの街のルールなのだ。

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27

しぶゆ~

2023.04.30

1回目の訪問

東京で急遽予定が空いてしまった。
出張で蒲田に来ていた矢先に唐突に生じた余白。当然,この空白はサウナで埋めるべきだろう。いざ検索するとその検索数の多さに驚く。この星の数ほどある施設からいったいどこを選べばよいのか…
有名だが,比較的空いている施設がいい。
折角都会のサウナに入るのだから複数のサウナを有している豪華な施設がいい。

ここで私の眼はある施設で留まる。
「東京ドーム天然温泉 Spa LaQua」
入浴料は高いが,それだけの価値がきっとあるのだろう。今日は特別な日だ。ここへ足を運び,サウナの贅沢さの極みを味わってみるとしよう。

エレベーターでエントランスへ上がると,まるで空港のようなセキュリティゲート。
ホテルのような受付でチェックインするかのような手続きを済ませて浴室へ向かう。
浴室に入って感じたのはその広さ。都心にも関わらず地方の温泉施設と遜色がない。
配置されているサウナは4つ。中高温サウナ「ヴェレ」。高温サウナ「オールドログ」。ロウリュサービス有の「ヴィルデンシュタイン」。フィンランドサウナ「コメア」。

先ずはヴェレへと入室する。広く,青い。まるで洞窟だ。サウナの一段一段がゆったりと広く,胡坐を書いて瞑想できる。暗い海に,溶けているようだ。オートロウリュの蒸気がなんとも心地よい。
すぐそこにあるのはカタツムリの殻のような螺旋を描く水風呂。回転する水流が体を急激に冷やす。外気浴は外に吹く風と遊園地の微かな活気を感じながら安らげる。
次にオールドログ。なるほど,高温サウナと銘打っているだけあって,熱い。Spaと洒落ているのに,ここは本気だ。
そしてコメア。セルフロウリュができるサウナ小屋で外気浴スペースにある森の休息所。不思議な一体感を感じる。

ヴィルデンシュタインで行われるロウリュサービスを受けるためには館内着を受け取る受付で予約を行う必要がある。受け取った番号は1。最初に席を選べるということか。何という幸運。ロウリュサービスは最先端の派手なものを期待していたが団扇で仰ぐ形式に少し肩を落とす。可もなく不可もなく,無難なサービスだ。どうやら私は,風神に出会えなかったようだ。

もう一度行きたいかと聞かれれば,私はNOと答えるだろう。私のような貧乏人は料金が気にかかってしまうのだ。サウナ以外のスパにもお金を投じることのできる人物ならば,十二分にこの施設を楽しめるのではないだろうか。
恥ずかしながら,サ道のロケ地だったことを数か月後に知った。あらかじめ知っていたらもっともっと楽しめただろうに…
視聴後の訪問を強く,強く勧める。

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23

しぶゆ~

2023.04.29

1回目の訪問

SAUNA CNOC

[ 富山県 ]

サウナ施設におけるととのい指数を測れるとしたら…
もちろん,それは人の好みによって左右される値となるだろう。だが,もしも万人に対しての普遍的なととのいを測る指標があるとしたら,それはおそらくこんな式になるはずだ。
ととのい指数=サウナの質×水風呂の質×外気浴の質×客層+清潔感
私の6年にわたるサウナ人生の中で「SAUNA CNOC」以上の数値を出した施設はない。
断言する。ここは最高の施設であると。

魚津市という富山県の外れにこのサウナはある。昨年12月にオープンしたばかりのこの施設は立山連峰が望める田園風景の中に溶け込んでいる。
周りには,何もない。電灯もない。きっと夜には無粋な人間の光から解放された満天の星空を拝めるのだろう。

施設は清潔そのもの。完全予約制のため,事前に手続きを済ませてから向かう。定員は10名。なるべく空いている時間にしたかったので,10時~12時で予約する(これがサウナ指数をより高める要因となった)。

施設に入ると,その完成された造りに驚嘆する。休憩所,脱衣所,シャワー室,そして浴室,外気浴スペース。サウナに精通した人物によるサウナ―のための設計。そのこだわりの片鱗が,伝わってくる。サウナを愛した人物による考え抜かれた設計。おそらく,サウナ施設のの最適解である。もしも私が将来サウナ施設を作るとしたら,間違いなくこのサウナを参考にして作るだろう。それほどにここは素晴らしいのだ。無駄がないのだ。美しいのだ。

夢のような2時間だった。サウナ室の温度は110度。自由に行えるセルフロウリュ。2台あるサウナストーブから伝わってくる温度へのこだわり。頭上の巨大な蓮の実のような冷水シャワー。13度の水に体を預けられる水風呂。そして無限へと誘う椅子…全てが完璧。
注文すると届く,氷入りの水筒に入ったオロポを口に含みながら田園の風を感じて椅子に体重を任せる…

想像してみて欲しい。
この最高の施設を自由にできることを。この最高の施設でととのうことを。

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  • サウナ温度 110℃
  • 水風呂温度 13℃
28

しぶゆ~

2023.02.11

1回目の訪問

太閤の湯

[ 富山県 ]

「太閤の湯のオートロウリュには気を付けろ」富山県民のサウナー界隈でまことしやかに囁かれているそんな噂。耳にした私はその噂の真偽を確かめるべく、施設へと潜入し、実際に体験してみることにした。

太閤の湯では、18時から22時まで1時間おきにオートロウリュのサービスがある。なんでも、その時に発生する蒸気が火傷するほど熱いのだそう。「火傷するほど熱い」そんな噂を耳にしてしまったら行かざるを得ないではないか。何せ私は高温ジャンキー。熱いサウナが水風呂よりも大好きなのである。

小高い丘の上にあるこの施設へは、町中に突如として現れる坂道を上ると到着する。駐車場は少し変わった配置となっているが、問題なく駐車できる程に広い。館内は清潔な印象である。客層はファミリー層を中心に幅広い。常に混んでいる印象であり、浴室も少し騒がしい。収容人数を抑えたサウナ室は座れる場所が決まっており、現在は13人が定員である。常にほぼ満席状態で、サウナ室へ入室してから踵を返す人が多い。ロウリュサービスの際は余裕をもって入室したい。

無事に席を確保した各々がリジリとその時を待つ。時刻は19時。まだ、始まらないのか。灼熱の時間が指し示す19時1分。時は唐突に訪れた。タワー型のストーンサウナの真上に位置する四角いシャワー。そのシャワーから水がジィー、ジュウーと音を立てて注がれる。注がれた水は法則に則って状態変化し、室内へ、ゆっくりと歩を進めてゆく。
最上段。これが今回、自らに課した縛りである。高温のロウリュ、最上段で受けきらなければ意味がないだろう。

歩み寄る熱気とともに感じる凄まじい熱気。特に送風機もないのに私の肩に、背中に、覆いかぶさってくる。だが、噂ほどではない。この程度のロウリュ、私はいくらでも潜ってきている。やはり都市伝説の類であったか。
その矢先、注がれる第二波。完全に予想外。第一波を吟味している私に迫る第二波。瞬間、私の中にはあの噂が。「太閤の湯のオートロウリュには気を付けろ」私の中で急速に信憑性を増してゆく。なんだこれは。熱い。熱すぎる。皮が、皮膚が、焼かれるようだ。これは体験してきたものとは違う。痛い。もはや、痛い。背中が、肩が、表面の一枚だけ焼かれるようだ。息は、できない。
生命の本能的に従って立ち上がった時に感じるさらなる熱気。室内の高温の水蒸気へと自ら当たりに行くことによって起こる新たな熱交換。いっそう肌が、焼かれる。出口までの一歩を踏み出すごとに、焼かれる。出口が、遠い。

こんなサウナは初めてである。

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  • サウナ温度 50℃,95℃
  • 水風呂温度 21℃
35

しぶゆ~

2023.02.01

2回目の訪問

さようなら。本当にありがとう。そして、お疲れさま。
富山県に来て半年、新しい職場で右も左もわからず、仕事で苦心していた私。新しい環境になかなか慣れず、精神をすり減らす日々。通勤時間が長く、車同士の摩擦にイライラと毎日ストレスがたまっていく。自分で生み出し続ける緊張感から、私の心は家にいるときも、睡眠中でさえも安らぐことはない。そんな状態で眠れるはずもなく、浅い眠りを繰り返す毎日。寝不足の頭の中を常にグルグルと巡るのは仕事のことばかり…

今までの生活とは打って変わって、生活リズムが朝方となり、心を病みそうになったときはいつも近くにあったファボーレの湯で心を、体を、癒していた。よく職場で「友人はこちらにいるの?」と聞かれたが、私にとっては「ファボーレの湯」こそが友人であった。そんな遠方の地でできた最愛の友が、この度2023年1月31日をもって閉館することには身の割かれるような思いである。

初めて聞いたときは自分の耳を疑った。とても信じられなかった。私にとってはそこにあることが当たり前になってしまっていたのだ。明日も、明後日も、数年後も、変わらずに通い続けられるものだと安心しきっていたのだ。

「閉館」この二文字が示す意味はあまりに重い。

地元民から溺愛されているファボーレ様のことだ。きっと打てる手は打ち尽くしたに違いない。それでもなおの判断ということは、相当に経営は苦しかったはずだ。むしろ、今日まで経営を続けてくれたことに感謝したい。

本当にありがとう。心細い新天地での私の憩いの場でした。精神的に何度助けてもらったか、わかりません。唯一、仕事を忘れて心安らぐ場所でした。頭の中に残る、嫌なことがあれば、行きました。仕事が早く終わったら、行きました。土日になったら、行きました。
そんなあなたに、もう私は行けないのですね。

露天風呂に敷かれた畳、最高でした。露天風呂の炭酸泉、最高でした。露天風呂に再現された苗名滝、最高でした。あの露天風呂の風景は、忘れません。
2台の遠赤外線式ガスストーブ、最高でした。サウナ室に入るといつも迎えてくれるドライサウナ特有の焼けつくような熱気、最高でした。6段×2の広いサウナ室、最高でした。いつも清潔なサウナマット、最高でした。絶妙にぬるくて微妙に深い水風呂、最高でした。あのサウナ室の熱を、雰囲気を、香りを、私は忘れません。
いつも清潔な広い館内、最高でした。風呂上がりに自販機で飲むコーラ、最高でした。風呂上がりに連れを待ちながら読む新聞、最高でした。たまに入った岩盤浴、最高でした。
本当に最高の施設でした。今まで、本当に、本当にありがとうございました。

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  • サウナ温度 65℃,90℃
  • 水風呂温度 20℃
33

しぶゆ~

2023.01.29

2回目の訪問

陽だまりの湯

[ 富山県 ]

友人のサウナーとともに利用したが…かなりアウフグースサービスのレベルが高い施設である。あの灼熱を一度味わってしまったら…脳のサウナ中枢が焼かれてたちまち中毒になってしまうことだろう。それほどまでに暑いアウフグースサービスをこの店舗は提供する。
富山県では「スパ・アルプス」に次ぐアウフグースを提供するサウナであると感じた。ロウリュサービスの熱だけで言えば、間違いなく富山県で一番の施設である。
この施設は岩盤浴でもロウリュサービスを行っており、夫婦やカップルで行っても共に熱波を浴びながら汗を流すことができる。男女でアウフグースを楽しむことができる、富山県唯一の施設である。

浴室はかなり広く、露天風呂、外気浴のスペースも十分である。点在するベンチで休んでよし、石の上に座ってもよし。編込みの寝転がれるリゾートチェアが5脚とコールマンのインフィニティーチェアが2脚。こちらはいつも競争率が高い。
富山県ではインフィニティーチェアを味わえる唯一の施設となっている。未体験の方は、是非体験してみて欲しい。噂に違わぬ無重力の整いが待っている。

サウナ室は広めで、室温は高い。施設はいつも混んでいるが、特にロウリュサービスの時間は大変混む。立ち待ちが発生するほどである。早めに入室しないと入室を拒否されてしまうので、最低でも5分前には入室していたい。ただし、前述のとおりサウナの室温が高いので調整が必要である。

この施設のロウリュサービスは送風機を用いる。サウナストーンにアロマ水をかけ、一気に送風機から風を送るのだ。たちまち蒸気が室内に対流し、体感温度は急激に跳ね上がる。
暑い。暑すぎる。もはや火傷する勢いである。嗚呼、思い出したらまた行きたくなってきた。この高温の蒸気が、熱風が、高温ジャンキーにはたまらない。最後まで受けきるには強い覚悟と決意が必要だろう。受ける際は心したしたほうが良い。灼熱のアウフグースである。

サービス中の入退室は自由となっているため、限界を迎えた人と待っている人が入れ替わり立ち代わり入室するため、室内はやや慌ただしくなる。この入れ替わりの時間がまた、限界を近付けてしまう。ここのロウリュは団体戦というより個人戦である。まさに、自分の限界との闘い。

水風呂の管理された水温は、多少ぬるくはなるが常に一定のラインをキープしてくれる。外気浴中、この施設の最大の欠点が顔を出す。
比較的若い利用者が多いので仕方がないかもしれないが、外気浴スペース会話の声が絶えないのだ。ここまでが高水準であるので余計に悔やまれる。

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  • サウナ温度 40℃,95℃
  • 水風呂温度 16℃
32

しぶゆ~

2023.01.27

1回目の訪問

日本にわずか3カ所しかないという噂のボナサームサウナ。
椅子内に熱源を格納するこの方式は、空気の対流をスムーズにし、上段と下段の温度差を少なくできるとされている。富山県は希少なボナサームサウナを「ゆ~ゆうランド・花椿」とこの「光明石温泉 呉羽の湯」の2か所に有している。
このうち、「ゆ~ゆうランド・花椿」の方は積極的に希少性をアピールしているため、県内のサウナー界隈では有名である。しかし、あまり知られていないがこの「呉羽の湯」のサウナも紛れもないボナサームサウナである。富山県内でボナサームサウナを味わいたいのであれば、南砺市にある花椿よりも富山市内からほど近い呉羽の湯の方がアクセスが容易である。

呉羽の湯の駐車場は広く、余裕をもって注射することができる。館内は開けた待合室のみというシンプルなつくりで、温泉というよりも銭湯といった雰囲気である。シンプルゆえに館内は清潔で居心地が良い。
浴室は日によって入れ替わる方式で、「たてやま」と「つるぎ」の湯がある。どちらであってもボナサームサウナを味わうことができるが、個人的には「たてやま」の湯の方が当たりである。

たてやまの湯では、広い露天風呂スペースの屋根の下に3脚の椅子があり、十分な外気浴スペースが完備されている。対して、つるぎの湯では露天風呂スペースに屋根がなく、整い椅子の数が2脚と少なくなる。整いの精度を上げるのであればたてやまの湯一択となる。ただし、実際に行ってみるまでどちらの湯に入れるかがわからないのが玉に瑕である。

サウナ室に入るとミストサウナかと思うほどの蒸気を感じる(実際私は最近までミストサウナかと思っていた)。ボナサームサウナの構造上、熱源を直接視認できないので、蒸し風呂かと錯覚する。ただ、温度は十分に高いため、不思議な感覚に陥る。脳はそこまで暑くないと知覚するが、実際の室温は高いのだ。そのため、苦も無く長時間、十分な発汗を行うことができる。熱と蒸気はどうやら最上段の椅子の上から出ているようである。サウナ室は余裕を持って入れるほど広い。

水風呂は浅くて広いが、サウナの利用者に対して冷却が追いついておらず、常にぬるい。しかし、足を伸ばせるため、ゆっくりと体をなじませることができる。

全国でも希少とされるボナサームサウナ。その不思議な居心地の良さをぜひ味わっていただきたい。

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  • サウナ温度 85℃
  • 水風呂温度 18℃
34

しぶゆ~

2023.01.15

1回目の訪問

日本でたった3か所しかないと言われるほど希少な「ボナサームサウナ」。
サウナ―として味わっておかない手はない。希少な方式のサウナ。嗚呼、なんと甘美な響きだろう。まるで光源に集まる羽虫のように、私のステアリングを握る手は花椿へと向かっていた。
ボナサームサウナとは、サウナストーブが椅子の中に格納されているサウナのことを指す。
サウナ室にあった説明文によると「室内の気流の循環がスムースになり、上下の温度差が生まれにくい」ということらしい。なるほど。その説明が本当であれば、画期的な方式である。

実際に入ってみて気が付いたのだが、この方式は富山県民御用達の「光明温泉 呉羽の湯」と同じ方式である。椅子の中から壁を通って熱が循環しているせいか、確かに室内での温度差はあまり感じない。ただ、直接熱源が目で見えないので、心なしか涼しく感じてしまうのがやや難点である。

この施設のサウナ室は狭い。とにかく狭い。懺悔室のようである。常連であろう老人たちは、時間を問わず人生の疲れを癒しに来ているため、サウナ室には入れ替わり立ち代わりで入室する。室内は常に混んでいるような状態だ。サウナ室に入ると優しいラベンダーの香りが鼻孔を刺激する。狭い室内もあってか、常に心地よく香っている。

この施設の最大の難点は休憩椅子の欠如だろう。露天風呂のわきに長椅子があるのだが、冬の外気は休憩にはいささか厳しい。

混雑を掻い潜るスキルと洗い場用の椅子でも問題なく休憩を行える技術を持ち合わせるサウナ玄人にこのサウナを進めたい。狭く独特な空間のサウナが、日本で数か所という希少な方式で芯から温めてくれるだろう。

露天風呂では定期的にボイラーの作動音がするのだが、その音は今にも爆発するのではないかという勢いである。私は露天風呂に浸かりながら咄嗟に死を覚悟した。

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  • サウナ温度 95℃
  • 水風呂温度 16℃
27

しぶゆ~

2023.01.15

2回目の訪問

天然温泉 海王

[ 富山県 ]

このレビューを見ている全富山市民に次ぐ。今すぐに海王へと行くべきだ。
「バケツ水風呂」。この単語を聞けばどうだろう。この最高の贅沢を味わってみたくはないか。
もしもノーベルサウナ賞があったなら、私はこの施設が生んだ画期的な発明こそが相応しいと考える。
店長である津幡真一さんに溢れる感謝と尊敬の念を伝えたい。

「バケツ水風呂」。この発明によってこの施設のサウナは富山県でも頭2つは抜きんでたパフォーマンスを発揮する。

想像してみてほしい。90Lのプラスチックバケツの底に繋がれたホースから絶え間なく出続ける16度の井戸水を。水は常に潤沢に循環し、絶えずバケツから溢れ出ている。そんな夢のようなバケツが4つ並んでいる光景を。

「水風呂とは共用のものであり、入浴の際は細心の注意が必要である。決して自分勝手に利用してはならない。」サウナ憲法第三条の第一項に示されたこの構文は、我々サウナ―達の守るべき常識であり、道徳心である。しかし、いつしかそれは縛りとなっていた。

この水風呂はバケツという名の個室。入った瞬間に余分な水は溢れ、自分の体の体積に合わせた水量へと最適化される。最適化された水はやがて最適な水温へと調整されていく。まるで高級な紳士服を仕立てるかの如きフルオーダーの水風呂。体に、細胞に、なんと馴染むことだろうか。こんな贅沢が、存在していたなんて。

特筆すべきはサウナ憲法からの脱却。この水風呂は法の外側にある。他人を気にする必要はないのだ。縛りは、それが無くなった時に初めて気が付く種類のものがある。例えばそれは空気の重さから生じる大気圧のように、常に我々に影響し続け、あるのが当たり前になってしまったものだ。これが無くなった時、私たちは真の意味で解放されるのだ。

この水風呂がもたらすのは、解放。真の自由を味わった我々の目は自然と虚ろになってゆき、意識は遠くへ。遠くへと。溶けてゆく。この水風呂には、他人からの解放がある。

この素晴らしい発明に、感謝を。

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  • サウナ温度 95℃
  • 水風呂温度 16℃,15℃
32

しぶゆ~

2023.01.14

1回目の訪問

もしも、日本三大絶景サウナを挙げるとしたら、私は是非このサウナに票を投じたい。
絶景。このサウナの魅力はここに尽きる。
これほどまでに開けた視界で露天風呂から望む絶景は私の経験ではない。
この施設の末恐ろしい点はその絶景をサウナ室の大きな窓からも望むことができる点である。

解放感。このサウナには日々の喧騒を忘れされてくれる強烈な解放感がある。
これほどまでの解放感を味わえるサウナは私の経験では「洞爺サンパレス」以来である。
町中のサウナでは決して味わうことができず、その辺の秘境サウナでも味わえない圧倒的な解放感がここにはある。

水墨画。このサウナから望める景色は雪舟がしたためたそれである。冬にこそこのサウナはふさわしい。静止した白黒の世界に、意識を、静寂の中へ、心行くまで浸すことができる。

そもそも我々は何のためにサウナへ行くのか。整うためか?いや、違うだろう。それはあくまでも言葉遊びに過ぎない。
日々の喧騒から逃れるためではないのか。頭を空にしたい。感覚に浸りたい。現実から逃れたい。。。
その為の安息地がサウナではないのか。そんなサウナの持つ本来のポテンシャルを、存在意義を、まざまざと感じることができる。

サウナ室には、絶景が望める広い窓から差し込む自然光。温度は110度と高めだが、なんとも爽やかだ。テレビは、必要ない。景色が見られればいいのだ。

水風呂は絶え間なく注ぐ天然のシングル。針を刺すような感覚から、入った瞬間に感じた。時間が止まる。110度からの急転直下。

外気浴をすると目の前には雪化粧をまとった山々の木々が湖を囲む光景が広がっている。無粋な柵は無いに等しい。この景色はあまりにも贅沢だ。目を閉じるのが、惜しい。静止した景色に意識が溶け込む。私は初めて、目を開けたまま絶えどない幸福感に包まれていた。

このサウナはもっともっと広く知られるべきである。私が富山で一番お勧めするサウナです。冬にぜひ足を運んでみてください。

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  • サウナ温度 110℃
  • 水風呂温度 9℃
30

しぶゆ~

2023.01.14

1回目の訪問

「サウナ部」
なんと心くすぐられる名前だろうか。
「サウナ部」。もしもこのような部活が学校にあったら、私は迷わず入部するだろう。学生時代にこのような部活が無かったことが悔やまれる。しかし、私は今回縁あって私はこの部に参加することができた。

秘境サウナの響きがふさわしい、町から外れた郊外にこの施設はある。
山道に向かう途中、唐突に現れるためついつい素通りしてしまう。川田温泉の名が記されている手書きの看板を目印に、太い道路から入っていく。味わい深い、施設へと続く角度厳しい下りのヘアピンカーブを慎重に進むと木々の間から姿を見せる。

正面に立つと2つの入り口。「サウナ部」と書かれた入り口と旅館へと続く入り口。どちらに入るのが正解だろうか。迷った末に旅館の入り口を潜るとサウナ部の方から入ってよいらしい。改めてサウナ部へと向かう。

この施設を印象付ける「サウナ部」という名前は館内の「宿泊部」という文字から察するにサウナ部門という意味のようだ。果たして何人のサウナ―が汗臭い部活を想像したことだろうか。悪意のなさが心憎いネーミングである。

肝心のサウナであるが、更衣用のロッカーはまさかの業務用ロッカー。そして館内の明らかな手作り感。古民家を思わせる初めての体験に高まる高揚感。

浴室に入ると、天井から照らすのは元は白色だったのであろう、変色した照明。浮かび上がっている年季の入った楕円の青や灰色のタイル。タイルは所々剥がれている。昔の手作りの風呂はコンクリートの上にこの楕円のタイルが張り付いている。祖父の家がまさにそうだった。広めの個人用風呂といった雰囲気。椅子は2脚。窓から外を見ると真下に流れる川。すべてが手作り感に溢れている。自然の中に、あるのだ。

サウナに入ると聞こえるのはラジオの音。温度は100度を示しているが、それ以上に床に敷かれた「すのこ」の隙間から吹き付ける隙間風が気になる。正直、サウナに関しては「サウナ部」の名前負け感がぬぐえない、お粗末なものである。ただ、かつて山の中にあった祖父の家のように微笑ましい手作り感を味わえる施設は他にはないのではないだろうか。

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  • サウナ温度 100℃
  • 水風呂温度 11℃
31

しぶゆ~

2023.01.08

1回目の訪問

「まちなか天然温泉」なんと心くすぐるネーミングだろうか。
到着すると見える荘厳な佇まい。白川郷の合掌造りを彷彿とさせる、天高く聳える三角形の屋根。雪国富山にふさわしい外観である。駐車場はとても広く、悠々と駐車することができた。比較的大きい道路に隣接しているため、探しやすいのも嬉しい。
館内に入ってみると、広く清潔な館内が出迎えてくれる。清掃に気が配られているのを感じる。当施設は、日替わりで男女の浴室が入れ替わるスタイルであるため、今回入浴したのは向かって左手の浴室であった。

浴室に入ると、目を引くのは天井のデザイン。外観の三角形の形状を活かした広い吹き抜け。ここまで天井が高い浴室はなかなかないのではないだろうか。ただでさえ広い浴室に一層の解放感を与えている。また、天井のデザインは木目。初めはデザインなのかと思ったが実際の木を使っているようだ。これも珍しい。まるで、ログハウスの中にいるようだ。解放感と自然を感じることができる。

天然温泉の泉質も予想以上であった。赤黒く濁ったお湯は柔らかく、肉体に蓄積した疲れを解してくれる。真ん中に注ぎ口のある広い浴室がまたいい。とても空間を贅沢しているような気分になる。

サウナ室に入ると、えもいえぬ圧迫感を感じる。この施設のサウナは長細いのだ。体を縦にしてようやく通れるような移動スペース。その中に2段、座れる。最大で8人といったところだろうか。テレビはない。聞こえるのは施設が流しているジャズだけ。後は、湯が注ぐ音。入るときは圧迫感があったが、座ってみると狭い空間ならではの高い体感温度を感じる。まるで洞窟の中にいるようだ。ここにはテレビがないので、ひたすらに自分の体と向き合う。長細いサウナ室のせいか、見知らぬ人と不思議な一体感を感じる。吹き出す汗。

水風呂は2人入ると一杯になるほど狭いが、サウナ室の人数が限られているため、スムーズに入れる。やたらと大きなかけ湯の桶の水で汗を流してから入浴。気持ちいい。整い椅子は全部で4つ。これも絶妙のペースで空く。露天風呂に外気浴スペースがないのが残念。

町中に沸いた天然温泉。その泉質で体を癒し、長細いサウナ室で高い体感温度を感じながら自分と向き合うことができる、まさに「ととのいのサウナ」である。テレビ嫌いの方は是非訪れてみて欲しい。

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  • サウナ温度 90℃
  • 水風呂温度 13℃
25

しぶゆ~

2023.01.08

1回目の訪問

「富山天然温泉 ファボーレの湯」が閉館する。この事件は、近隣住民たちの多くを「サウナ難民」にした。難民となった住民達は新たなホームサウナを求めて、サウナ探しの旅を余儀なくされていた。かくゆう私もその「サウナ難民」の一人である。
このサウナは、ファボーレから最も近いサウナ施設となる。所在地はなんとパチンコ屋の三階。込み入った道の先にあるため、迷わず行くためには慣れが必要だろう。近隣には「まちなか天然温泉 ゆくりえ」があるため検討対象になると思われる。ゆくりえは天然温泉であるため泉質に拘りがある人が選択すべきだろう。プラ座ゆはサウナ室にテレビがあるため、テレビ付きのサウナが好きならこちらを選択するとよい。ただし、こちらには休憩椅子がないため注意が必要である。

パチンコ屋などが入っている複合施設から3階のプラザ湯へ行くには直通のエレベーターか、3階の駐車場から直接向かう必要がある。直通のエレベーターは駐車場のかなり奥まった場所にあるため、初見では探すのが難しい。立体駐車場で3階まで上がってしまうことを勧める。パチンコ屋の前を素通りして向かう際には、何とも言えぬ場違い感を感じる。聞こえてくる電子音とあたりに漂う煙草のような、アンダーグラウンドな匂い。私は正直、苦手である。もしもサウナに入れ墨している人ばかりだったらと不安になりながら歩を進める。
エレベーターで上がると、不安を打ち消すように清潔で明るい店内。新しくできたコインランドリーを思わせる清潔さだ。サウナは別料金で利用できる。カウンターでサウナマットを受け取ってから浴室へ。

浴室は写真からは想像できないほど広い。また、洗い場の数が非常に多い。浴槽はお湯と水風呂のみ。タイル張りの浴室から漂う機能美も備えたこのシンプルさがなんとも銭湯らしい。

サウナ室はテレビ付きの典型的なドライサウナである。別料金ということもあってか、サウナには常連のサウナーしかいない。じっくりとサウナを楽しむことができる空間である。壁の腰が当たる部分の「ささくれ」と2段目の座る部分の変色した木の痛みが気になるが、私はギリギリ許容範囲内。正直、綺麗好きの方には厳しいだろう。

水風呂は足を伸ばせるほど広いので、スペースを気にせず悠々と浸かることができる。ただ、この施設最大の欠点ともいえるのが休憩用の椅子がないことである。浴槽の淵に座って休憩する必要があり、自分で調整できる玄人でないとなかなか厳しいだろう。

銭湯独特の雰囲気の中で整いたい玄人の方は是非利用してみて欲しい。

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  • サウナ温度 100℃
  • 水風呂温度 13℃
30

しぶゆ~

2023.01.03

1回目の訪問

ホテル豊富

[ 北海道 ]

豊富温泉郷が誇る現状唯一のサウナ施設である。
また、豊富温泉とサウナを共に味わうことのできる日本唯一の施設である。

温泉の質自体は流石に泉質を売りにしている「豊富町ふれあいセンター」や「川島旅館」に劣っていると言わざるを得ない。特に、豊富温泉に特有の「油」の面では先に挙げた2つの施設に大きく劣る。

しかし、それが逆に癖の強い豊富温泉の入門編としては完璧であるかもしれない。当施設の温泉でも豊富温泉特有の香りややわらかで素晴らしい肌触りの泉質の片鱗を味わうことができる。

また、恐らくであるが豊富温泉の油分とサウナとは相性が悪い。油を肌に纏った状態では汗が出難くなってしまうことは想像に難くない。その点を考慮して、あえて油分少なめの温泉を提供しているのかもしれない。

肝心のサウナだが、6人でいっぱいになりそうなほど狭い。照明はやや明るめの白色光と、風情に欠ける印象。室内にはテレビはもちろん、12分計もなければ砂時計もない。温度計の表示は90度だが、上段でももぬるく感じる。ドアの立て付けが悪いせいか、熱が外へと逃げて行くのを感じる。

照明やドアの立て付け以上に気になるのが木の「ささくれ」である。サウナ室の床にはささくれによってできた長細い木の破片が散在しており、裸足の足にくっついて不快である。

幸い、足に刺さったりすることはなかったが、もしも当施設の方が見ておりましたらサウナ室清掃への心配りをどうかお願いしたい。水が湯船に注がれる音のみのぬるいサウナ室での10分はとても長く感じる。

明るいサウナ室ではついつい椅子や壁に目が行ってしまう。長年にわたる汗が固まった白い塊。汗を吸い込んで痛み、オレンジ色に変色し、柔らかくなった木の板。幸い、カビ臭くはないが、清潔好きには厳しい環境かも知れない。

このサウナはまるで、古びた牛舎の一角のようだ。木造の、本当に昔からながらのサウナ室。ひょっとしたらあまり関心を払われていないのかもしれない。しかし、ここのサウナは豊富町で唯一となったサウナ。昔からサウナ好きはここで汗を流して疲れを癒してきた。その蓄積を、気配を、感じることができる。ある種実に豊富町らしいサウナである。酪農家たちの汗が滲み込んでいるせいか、不思議と牛の気配を、牛舎にいるような錯覚を感じるのだ。

この施設はサウナを目的に来るところではないのかもしれない。
ただ、現在は日本で唯一サウナと豊富温泉を同時に楽しむことができる施設である。

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  • サウナ温度 90℃
  • 水風呂温度 12℃
27

しぶゆ~

2023.01.03

1回目の訪問

コロナウイルス蔓延拡大防止措置のため、暫くの間サウナは閉鎖されているので注意。また、サウナといっても脱衣所に個人用のサウナがあるのみ。サウナを楽しむというよりも温泉を楽しむための施設という感じである。

サウナも温泉も楽しみたいという場合は「ホテル豊富」へ行くことを勧める。ただ、豊富温泉に特化した温泉の泉質や設備の面でみると圧倒的に「豊富温泉ふれあいセンター」のほうをお勧めする。

豊富温泉は、世界に2か所しかない稀有な泉質を持つ温泉だ。その温泉の匂いは独特で、よくガソリンの匂いに例えられる。実際、匂いが苦手な方もいることだろう。しかし、その効能は素晴らしく、日本で唯一アトピー性皮膚炎に効果がある温泉である。

皮膚炎を持っていない方でもその温泉の泉質の良さに驚く事だろう。疲れがお湯に溶けるとはまさにこのことで、入浴後は不思議と体が軽くなる。湯船に浮く油分が肌を包み、湯船を出た後でも体は芯から暖かい。温泉を手ですくい、顔に打ち付けると化粧水のように肌に滲みる。これほど素晴らしい泉質を持った温泉を私は他に知らない。

豊富温泉は、名湯百選にも選出されており、温泉総選挙でも審査員特別賞の受賞や3位に輝いた実績がある。それほどに素晴らしい泉質である。近隣に立ち寄った際はぜひ味わっていただきたい。

当施設には「湯治用」と「一般用」の2種類の浴室が用意されているが、2つの違いはお湯の温度のみである。常連はその日の気分に合わせて選択する。どちらも素晴らしい温度と泉質なので、立ち寄った際は入り比べてみることを勧める。

当施設に露天風呂はないが、近隣の「川島旅館」には露天風呂がある。露天風呂好きの方は検討してみてもいいだろう。川島旅館には、豊富温泉の水風呂もあるため、温冷交代浴によって贅沢に豊富温泉を堪能することができる。

北海道が誇る最高の温泉を少しでも多くの人に味わっていただきたい。

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