極楽湯 和光店
温浴施設 - 埼玉県 和光市
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高校の頃、「好き」とまでは言わない女の子がいた。
別にそんなに仲良いわけでもないし、正直言えばめちゃくちゃかわいいわけでもない。
本当にどこにでもいる普通の女の子だった。
なんだか変な高校だったな、と今考えると思う。女の子は無意味に可愛いか無意味に尖ってるか、もしくはその両方か、そんな中にいた「普通の女の子」に、僕はすっかり痺れていた。
僕は僕で、高校3年間ずっと好きな女の子がいて、その子は先ほどで言うところの「両方」の女の子だった。だからその普通の女の子は、癒しだったり落ち着きだったり、そういう意味で見てたのかもしれない。
今も昔もシティーボーイでありたくて、いくらかカジュアルにデートに誘ったり、愛を伝えたり、そういう高校だったから尚更僕もそうだったんだけど、その子だけは何を言っても、正しくのれんに腕押し、といったような風だった。はにかみながら、お前だけはないよ、といったふうなことを優しく言われたのを覚えている。
高校を卒業して、もうすぐ10年になる。
最近はバーベキューに行ったり旅行に行ったり、上京して就職して落ち着いて、人間として成熟しつつあるかつてのクラスメイト達と遊びに出かけることが増えた。
僕にも高校とはなんの関係もない彼女がいて、そうして練馬で静かに暮らしている。
別に何かに期待しているわけではないけど、今日はその「普通の女の子」と、何人かで渋谷で会うことになった。
久々に会うその子はやっぱり未だに普通で、着ているコートも靴もマスクも普通だった。全然変わらないんだね。
「そうだね」
そう言う彼女の左手の薬指に、光るものがあった。
「でも、苗字が変わったよ」と言う彼女は、高校の頃僕のデートの誘いを華麗に断ったハニカミを浮かべていた。
別に何かに期待していたわけではない。
僕らもそういう年だ。変わらなくてはいけない年だ。
何も変わっていないように見えて、いつの間にか全てが変わっているのだ。
それから先、何を話したか覚えていない。
早々に渋谷を後にして、彼女は全部が新しい神奈川のこぎれいな新婚の新居へと帰っていき、僕は何も変わらないいつもの埼玉のスーパー銭湯へ走った。
【本日のサウナ】
月が綺麗だった。
7分→水1分→外気浴
8分→水1分→外気浴
男
ありがとうございます😊 いつも行くサウナだとどうしても書くことがなくなっちゃうので、今後はこの感じで行こうとおもいます! どうぞご贔屓に🙌
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