湯の泉 東名厚木健康センター
温浴施設 - 神奈川県 厚木市
温浴施設 - 神奈川県 厚木市
人は思いもよらない経験をした時に野太い声を人目も憚らずに無意識に出すものだ。
お盆休みというのに私は仕事だ。
ただでさえ憂鬱な月曜日にお盆休みという巨大な存在が伸し掛かる。
出勤時にいつも顔を合わす人々は今日はいない。
もしかしたら私はこの世でただ1人の存在なのではないかと、少しだけ不安を感じたが、職場に行けばいつも通り同僚達がいて、安心している傍ら、少しだけガッカリしている自分がいた。
そんな私は世間のお盆休みという巨大なビッグウェーブに乗ることにした。
私はさながらケリー・スレーター。
巨大なビッグウェーブを8時間もの間、器用に乗りこなしては特に何もせぬまま定時で退勤した。
これは私なりの社会へのレジスタンス。
お盆休みは確実に国民の休日であるべきだ。
ご先祖様が極楽浄土から現世に帰って来ている。仕事なんてしている場合ではない。
故人を敬い感謝をするべきなのだ。
だから私は仕事をしないと決めた。
そんな私は今日も東名厚木健康センターで19時30分から行われる爆風ロウリュを目指し車を走らせた。
19時15分にAKCに着くと、ネオンの撮影をしてから入館するのがお決まりだ。
私はただ日常を過ごしていたはずだった。
しかし、いつも通りAKCのネオンを撮影しているとふくらはぎに奇妙な違和感を感じた。
私が目を下に向けると、私のふくらはぎにはゴキブリがいた。
私は思わず。腹の底から声を出しながらふくらはぎに存在するGを振り払った。
「うおおおおーっ。」
人は思いもよらない経験をした時に野太い声を人目も憚らずに無意識に出すものだ。
辺りには4人ほど人がいた。
冷たい視線が私に突き刺さる。
当たり前だ、私はAKCという世界の中心で野太い声を出しながら突然叫び出したのだから。
私はオーディエンスにこの状況を伝えたくて必死でそのまま声を振り絞った。
「なんか足にいる。足にゴキブリがいる。助けて下さーい。」
はたして彼等に私の悲痛な叫びが伝わっただろうか。
彼等にとって私はまだ突然叫び出した奇人なのだろうか。
不安がこれでもかと襲ったが私は爆風ロウリュの時間が近付いているので入館した。
入館するとロウリュウ姉妹がいたので姉妹にこのエピソードを嬉々として話した。
ロウリュウ姉妹のサッちゃんは言った。
「はいっ、早く足洗って来てくださいね。」
びっくりするくらい塩対応だった。
しかし私は確実にカタルシスを感じた。
「ととのったー!!」
男
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