SPA&HOTEL 和 -なごみ-
ホテル・旅館 - 東京都 大田区
ホテル・旅館 - 東京都 大田区
黒湯と転勤のあいだ
初 SPA&HOTEL和 -なごみ-
5時間 5セット ¥2,380(6月中は¥300引き)
7月から転勤になった。
銀座から新宿なので距離は大したことない。むしろ通勤時間は短くなる。でも職場が変われば上司も部下も変わる。肩書きはそのままでも、中身はセーブデータのないRPGをもう一度始めるようなものだ。
この2週間は引継書を書き、やり残した仕事を片付ける毎日だった。平均睡眠3時間、6連勤。
人間は意外と壊れない。もちろん壊れていることに気づいていないだけ、という可能性も十分ある。
久しぶりの平日休み。
最近ほったらかしだった奥さんと、岩盤浴もある施設へ向かった。夫婦円満にも定期メンテナンスは必要だ。車検ほど高くはつかない。
蒲田は初めて降りる街だった。
雑多で少しアングラな空気がある。曇り空の昼間に飲み屋街を歩くと、「昼から飲んでも誰も責めません」という街全体の無言の圧力を感じる。危険な街だ。
そのサウナはパチンコ屋の隣にあった。妙に納得感のある立地だった。
受付で5時間コースを選び、奥さんは岩盤浴を追加。館内はホテルというより、サウナ施設にホテルが「ついでに泊まれます」と遠慮がちにくっついたような造りだった。
黒湯の温泉はぬるめで、急かさないお湯だった。
世の中には「早くしろ」と言う人はたくさんいるが、「ゆっくりでいい」と言ってくれるお湯は意外と少ない。
サウナは92℃。
広いサ室ではワールドカップの結果が流れていた。画面の中では国の威信が懸かっている。こちらは来月の席順が気になっている。人間のスケールなんて案外そんなものだ。
水風呂は20℃の黒湯と24℃の水道水。
黒湯の水風呂は肌当たりが柔らかく、いつまでも入っていられそうだった。人生もこのくらい優しく冷ましてくれればいいのだけれど、現実はだいたいシングル水風呂である。
半外気浴の椅子に腰掛ける。
来月から生活圏が変わる。
通勤電車も、昼休みに歩く道も、仕事帰りに寄るサウナも変わる。
少し不安で、少し楽しみだ。
転勤は人生のイベントだけれど、サウナーにとってはホームサウナの移籍でもある。
そう考えると少しだけ前向きになれた。
人は環境が変わるたび何かを失う。
でもその代わり、新しいお気に入りのサウナが一つ増えることもある。
それなら悪い話ではない。
男
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