SaunaLab Kanda (サウナラボ神田)
温浴施設 - 東京都 千代田区
温浴施設 - 東京都 千代田区
サウナ短歌「波止場から・ー・ー・・ー夜明けが来るよと小舟のぼくに」
わたしはIKE SAUNAという名の大海原を仰向けに漂っていた。黒い畳の目は小舟をゆらす波のようで、新月の夜にひとり陸から放り出されてしまった子どものように心もとない。
名古屋、福岡にある有名サウナSaunaLabが初めて東京に出店したSaunaLab Kanda。2021年4月にオープンしたばかりだが、池袋のかるまると並んで多くのサウナーをうならせるこだわりのサウナ専門施設だ。女性用サウナには2つのサウナがある。ひとつはベーシックなフォレストサウナ。そしてもうひとつがIKEサウナだ。名前の通り、サウナの中に池がある。
IKEサウナの扉をあけると真っ暗な空間が広がっていた。腰をかがめないと頭をぶつけてしまいそうなほど天井が低く、慣れない目を凝らしながらゆっくりと部屋の中へ入った。黒い天井と壁、黒い畳敷きの床、そして部屋の奥には壁に沿うようにL字型の水盤があり、薄く張った水がちょろちょろと流れていた。熱いサウナの中に池を作ってしまうなんてシラフでは考えつかない。きっとSaunaLab Kandaのオーナーはこの構想をサウナで閃いたに違いない。80度弱と比較的低温なサウナの中で水面は凪ぎ、室内がやさしい湿度に包まれていた。
ランダムに転がっている首枕をそばに手繰り寄せて、素っ裸でごろんと仰向けになった。視界が制限されているおかげで聴覚が敏感になり、水の音が波紋を描きながら全身に染みわたった。温度が低いからたいして暖まらないだろうと甘く見えていたが、意外にも畳に蓄積された熱が岩盤浴のようにじわじわと身体を暖める。バリバリに凝っている肩から腰、そしてベンチ型のサウナでは暖まりにくいふくらはぎまで、まんべんなく熱でほぐされる。気がつくと全身からしっとりと汗が滲んでいた。サウナは苦手だけど岩盤浴なら好き、というサウナ未体験の方にぜひ味わってもらいたい。
腕を池に向かって伸ばすと水盤のふちに指が触れた。恐る恐る指先を水面へと近づけるが、初めて好きな人と手をつなぐ中学生のように指の動きがぎこちない。人差し指の丸い先端が池の水に触れると反射的に脳がきゅっと冷えた。水風呂に入ったと錯覚したのだろうか。サウナにいるのか、水風呂にいるのか、自分の居場所が曖昧になった。
寝っ転がったまま池の方に顔を向けると、サウナ室に入った直後は
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http://kitazumeitaru.tokyo/sauna/2265/
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