境南浴場
銭湯 - 東京都 武蔵野市
銭湯 - 東京都 武蔵野市
人間この世に何かを残したいと思う生き物である。
だからこそサスペンス劇場で最初にフラグが立つ者はダイイングメッセージなるものを残そうとするのだ。
銭湯サウナとサウナ施設の客層は似てるようでほんの少しの違いがあると思う。
考えてみればコロナ前はサウナの中こそが交流の場として機能していたが、コロナ禍となった今では黙浴こそが当たり前のマナーだ。
それでも人間、ここで自分が生きていたのだと証明したくなるのが人情。
心地よい音量でクラシックがかかっている境南浴場のサ室の真ん中に身を置いていた自分の横で不自然なくらい身体を動かす方がいた。
その彼は体から溢れる汗を集めて指先で木の壁に何かを認めていた。
彼が退室した後、その壁を見てみると、
サウナ
スキ
と書かれていた。
熱い場所で彼の熱い気持ちが迸っていた。
一人となったサ室で自分は
俺も
そう付け加えた。
壁に濡れた思いはものの三分で蒸発して消えた。
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