サウナ道場
温浴施設 - 東京都 渋谷区
温浴施設 - 東京都 渋谷区
学生時代に毎日のように会っていた人々と久しぶりに再会。
会話の内容や盛り上がりは変わらず、
変わったのは帰宅をする人数の多さと早さ。日が経って、それぞれに帰るべき場所ができていることへの感情の充足と少しの寂しさが押し寄せる。
渋谷で終電を逃すのは、いつぶりだろう。
午前4時。歌も歌わず微睡んでいたカラオケを一人飛び出す。
黒一色の空が広がる渋谷はそれでもギラギラとあちこちが光っていて、賑やかであり、虚しい。
活気がある金髪の若者たちが小躍りをしながら歩く姿、地べたで電源が切れたようにうな垂れる短髪の若者。
排気ガスにタバコの煙たさと地面に溢れたレモンサワー、吐瀉物の酸っぱさが混ざった都会の匂いが鼻にツンと刺さる。
同じ場所で朝まで、遊んでいた頃を不意に思い出し少しの恥ずかしさと懐かしさを感じる。
あの頃は、どれだけお酒を飲んでも、歌っても、はしゃいでも持て余していたのに大人になってしまった。
眠気と疲労で鈍くなった感覚でたどり着いたのは、センター街ど真ん中にあるサウナ道場。
朝方なだけあって、人はほぼいない。
初来訪で定かでは無いが、きっといつもごった返しているであろう雰囲気がある。この時間に来てよかった。
サウナ🧖
102度。本当に102度なのか?と思うほどに突き刺さりすぎる熱気。
動くだけで痛い。息をすると焼ける様な感覚に肺が目を覚ます。
道場たる所以がわかった気がした。
でも、それでいい。優しくなくていい。
鈍った身体に強引に侵入してくる熱さは心地よさを纏ってはいないが、ハードな運動をしている時に感じる様な高揚感がある。
水風呂💧
11度。同じく優しさは無く、身がグッと引き締まる。茹で上がった身体には充分すぎるぐらいの冷たさで手先足先が痛い。
もう少し入りたい気持ちと今すぐに出たい気持ちがせめぎ合い、自分の弱さと突然対峙する。
やはり、優しさはない。
休憩🌱
整いスポットに外気はないものの、10脚ほどのインフィニティチェアが迎えてくれる。
水風呂から一番近い1脚に身体を預けて仰向けに近い姿勢になる。
これまでとは打って変わって包まれる感覚。まだ、心臓は暴れている。
一連の体験をして気づく。部活だ。
高校時代に陸上競技で追い込み切った後の心身ともにボロボロで布団に身を預ける感覚によく似ている。
走りたいから走っていたあの頃と同じ感覚だったんだ。
才能も努力も全てが数字で表されてしまったあの頃が残酷ではありながらも一番自分自身と向き合っていたのかもしれない。
今の自分は、守りたいものが無駄に多すぎる。遠くに、早く進むためには下ろさないといけないプライドや見栄が知らず知らずに乗っかっている気がした。
もう朝だ。寝よう
男
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