和合の湯
温浴施設 - 静岡県 浜松市
温浴施設 - 静岡県 浜松市
金曜日の夜、久しぶりに羽目を外した忘年会。
賑やかな笑い声と、乾杯を重ねるたびに少しずつ曇っていった意識の先に、気づけば土曜日の朝がやってきた。目覚めた瞬間、頭の奥で鈍く響く痛み。喉は乾き、胃はまだ酒の名残を訴えている。
それでも、どこかで小さな光が灯る。
「こんな時こそ、和合の湯へ行こう」と。
車をゆっくりと走らせ、和合町の静かな朝の空気に溶け込むように到着する。入口の暖簾をくぐった瞬間、ふわりと漂う懐かしい香りに、まず心がほぐれていく。忘年会の喧騒とは対照的な、穏やかな土曜日の湯処。受付を済ませ、脱衣所で深呼吸すると、ようやく今日が始まる準備が整ったような気がした。
浴室の扉を開けると、白い湯気が柔らかく迎えてくれる。まずは身を清め、温かいシャワーに触れただけで、頭の重さが少し軽くなる。内湯の炭酸泉に身を沈めると、シュワシュワと細かな泡が肌を包み込む。まるで昨日の余分なものを一つひとつ剥がし取ってくれているような感覚だ。静かな湯面を見つめながら、何もしない贅沢を味わう。二日酔いの鈍い痛みも、この穏やかな時間にゆっくりと溶けていく。
体の芯が温まったところでサウナ室へ。
扉を開けると、90℃を越える昭和ストロングな熱がすぐさま頬を包む。内側に残った雑音が、熱の力でじわじわと押し出されるようだ。重たいまぶたを一度閉じると、頭の中のもつれた糸が少しずつほどけていくのがわかる。
昨日の記憶も、反省も、小さな後悔も、熱の向こう側でぼやけていく。サウナはいつだって、余計なものを黙って削ぎ落としてくれる。
限界を見計らってサウナ室を出ると、冷気が心地よい。
水風呂にそっと足を入れた瞬間、キンとした冷たさがすべてを覚醒させる。二日酔いの頭に冷水が染み渡り、世界の輪郭がくっきりと戻ってくる。肩まで浸かると、まるでスイッチが切り替わるように、身体中の血が巡り直す。痛みも重さも、ただの感覚として流れていく。
最後は休憩。中庭のような露天スペースで風を浴びる。
冬の朝の空気は少し冷たく、それでも肌に優しい。目を閉じれば、頭の奥に残っていた濁りが透明に変わっていくのがわかる。二日酔いで迎えた朝が、こんなにも静かで、豊かで、やさしいものになるとは思いもしなかった。
和合の湯は、今日も変わらずただそこにあって、静かに自分を元の状態へと戻してくれる。忘年会の余韻とともに迎えた土曜日の朝。その重さすら愛おしく思えるほど、ここで過ごした時間は心地よかった。
以上
男
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