奥のサ(isanow)

2020.08.08

1回目の訪問

波打ち際の少女との、ととのい三部作
第二部 山形編

山形の「冷たい」そばや、ラーメンを楽しみながら、たどり着いたのは寒河江の土着性のしっかりとあるサウナだった。

金、銀、銅とある3種類の源泉は独特の、でも、憧憬をくすぐる香りで僕を包んだ。

サウナは2種類あるけれど、正直、おまけ程度かもしれない。

感動を覚えるのは、露天風呂から最上川が一望できることだ。

山形の空気はとてもおいしかった。凡庸な表現になるかもしれないが、シンプルにそういった表現が正しいのだと感じる。

長い長い梅雨のせいで氾濫の危機に陥った最上川は本来の色ではなかったかもしれないが、それでもなお、はじめましての僕を受け入れてくれている気がした。

最上川の流れの向こうに水際ではしゃぐ少女が見えた気がした。
彼女は笑顔で何かを叫んでいた。
僕は少女が流されてしまわないように身構えていた。
けれど、引き潮なんてどこにもなかった。
そうだ、この水辺は猪苗代湖なのだ。
ここには引き潮なんて存在しないのだ。
そして、どこどこまでも遠浅で、少女はこう言っていた。
「パパもおいでよ」

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