さうなーにゃ

2023.01.14

1回目の訪問

長く付き合い、一緒に暮らしていた人とお別れをすることが決まった。
続いた話し合いと、仕事の繁忙期が重なり、私はそれはとてもとてもくだびれていた。

自分を癒せるのは自分しかいない。
サウナだけじゃなくて、温泉にも浸かりたい。
ということで、湯けむりへ。

20時くらいにin。土曜日にしては思ってたより人が少ない。
8分ほど温まって、17度の水風呂に入る。冷た過ぎない。ちょうどよい。
しっかり温った身体に冬の外気浴。足元にタオルを被せて、冷えすぎを防ぐ。

私の湯けむりの好きなところは、外気浴の視界が開けているところだ。小高い丘の上にある施設だから、ビルや民家、木々など、遮るものがない。
月に照らされた静かな雲の流れや、小さく見える星や飛行機をじっと見る。
飛行機を見ると、気持ちが遠くに飛ぶ。あの飛行機はどこにいくのだろう。海外かな?国内だろうか。いつのまにか自分で自分に窮屈な思いをさせてかも。どこにでも行けるのに。

帰りが遅くなっても連絡はしなくても良い。連絡も来ない。でも無理はせずに3セット。彼と時間を合わせていた入浴もサウナも自分のペースだ。
思えば、サウナを好きになったのは彼がきっかけだった。2人でのサ活も、今後は1人でのサ活になるのか…
*彼はサウナイキタイはしていない。でも、この投稿をたまたま目にするかも。見てたらなんかごめん。

セットの合間に炭酸泉を挟む。柔らかい微発泡のお湯に浸かる。ふと、右手に目をやる。ネイルが剥がれかけてしまっている。別れる数日前、「最後だと思うけど」と不器用な私のために塗ってくれた表情を思い出す。心は波立つけど、不思議と涙は出ない。もう出ない。たくさん悩んでたくさん泣いたからかもしれない。

私はサウナが好きだ。ものぐさな私のフットワークと身と心を軽くしてくれた。銭湯、カプセルホテル、旅館、サウナ特化施設、いろんなところに行った。

サウナ以外にも、たくさん世界を広げてくれた。
これからは、自分の世界を遠く広げていくのは、自分を癒せるのは、自分になる。
好きだった人であり気の合う人は、今後は別の道を歩むことになる。
正直なところ、今は彼が少し嫌いだ。憎い、しばらくは幸せになるな、とも思ってしまう。

でも、いつか。それが何ヶ月後になるか、数年後になるか。一生来ないかもしれない。

でも、いつか。

どこかの施設の入口で「偶然偶然」するかも。
そしたら、サ室で、水風呂で、外気浴で。
私は一瞬願えるかもしれない。
彼の疲れやしんどさや寂しさが、同じこのサウナの下、癒されていますように、と。

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