ととのエディター

2023.05.25

1回目の訪問

岡山駅から車で2時間。
日本の原風景が広がる山あいの小さな集落に、古民家「久米屋」が佇んでいた。
桃色の暖簾がかわいい立派な古民家で、中に入るとコタツや囲炉裏があり、童心にかえって心が躍った。
肝心のサウナは、すぐ隣にあると言う。
玄関を出て古民家の横に行ってみると、実に美しい土壁の蔵が目の前に現れた。

このサウナをつくったのは丸山耕佑さん。
東京の設計事務所で一級建築士として働いていたが、この土地に惹かれ、地域おこし協力隊として美作市に移住してきたとのこと。
地域の方々と協力しながら、DIYで約1年かけて蔵サウナを完成させたそうだ。

待ちきれない男たちはすぐに服を脱ぎ、さっそく蔵の中へ。
中はほの暗い……というか、目が慣れるまでは全然見えないくらいの暗さ。フィラメント電球がうっすら光り、独特の雰囲気を放っている。
すぐにスモーキーな香りとまろやかでどっしりとした熱に全身が包まれる。
香りもさることながら、その体感に驚いた。
柔らかい熱が染み込んでくるようなその感覚は、これまで味わったことがないものだった。

僕たちが到着するずっと前、朝の8時に炉に火を入れ、6時間以上焚いてくれていたと言う。
ガンガンに薪を燃やし、煙は石を伝って煙突を通って排煙されるのだが、漏れ出したアツアツの煙がサウナ室にも充満し、サウナストーンとともに部屋の中が熱されていく。
最後に、時間をかけて煙を抜いて、サウナのコンディションをととのえていく。
そこに僕たちが入らせていただいていただく。つまりスモークサウナなのだ。

夕方、夜中、そして次の日の朝に入ってみたが、その時間ごとにどんどん体感が見事に変わる。なんだか奇跡のような空間。

サウナから出たら、横のシャワーで汗を流し、目の前の木製水風呂へ。
注ぎこまれた新鮮な山の湧水にどっぷり浸かり、枕木が添えられたベンチに横たわる。
少しずつ優しくなっていく太陽の光を浴び、そよ風に吹かれながら、遠くから聞こえる鳥のさえずりや蛙の鳴き声に耳を澄ませる。
すべてがゆるみ、ほどかれ、心が解放されていく。

夜はサウナをつくった丸山さんも交え、囲炉裏を囲んで絶品ジビエ料理を食べながら、贅沢なサウナ談義。
ゲームをしながら胃を休めたら、再び静かに、夜風に吹かれ星を見ながらサウナ浴。
布団にもぐり込み、スモークの残り香に包まれながら眠り、寝起き5分で朝ウナへ。
優しい余熱サウナ。これがまた別世界で最高だった。

これまでの価値観を塗り替えるほどの唯一無二のサウナ体験。
豊さとは、きっとこういうことなのだ。

ととのエディターさんのパブリックハウス アンド サウナ 久米屋のサ活写真
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