ゆららの湯 押熊店
温浴施設 - 奈良県 奈良市
温浴施設 - 奈良県 奈良市
【1セットのサウナ②】
幸運にも他のお客がいなかったから、親子二人水入らずの水風呂を堪能。羽衣が出来ていたが、やはり初心者の彼に水風呂の長居は良くない。1分も立たない頃外気浴へと旅立つ。
今回はまだ彼に羽衣の事までは教えなかったが、それを体感したと思われる彼は、今度は水風呂から出るのを躊躇したが、ここは心を鬼にして脱出。勇気ある撤退完了。
ここは外気浴スペースが異様に充実している。通常のととのい椅子、インフィニティチェア、畳の上での寝転び、足湯、ベンチ、露天風呂の縁など、選り取り見取り。
サ室の広さから逆算して、水風呂は勿論、休憩スペースで難民になる心配は皆無と言って良い。改めて素晴らしい施設だ。これが都会にあったら数多のサウナーがどれだけ心躍るか。
サ室に入る前同様、否それ以上に、私は彼の体に滴る水滴をしっかり拭う。拭いながら、これを最高のクライマックスを迎えるために必要な作法としてロジカルに説明する。
体を拭きあげた後、そこに悠々と置かれたインフィニティチェアに寝かせる。私はその横に腰を下ろし黙って彼を見守る。既に日が落ちた夜空にまほろばの風が優しく通り過ぎる。
私の指示により目を瞑った彼が「あー、水風呂の後だけどあったかい。風が気持ち良いね」と。私は「サ室で交感神経を充分に活性化出来なかったはずだから、本当の気持ち良さはまた後日のお楽しみだね」と心の中で語り掛ける。
「もう一回行くか?」
当たり前のように問うと、彼は行かないと答えた。理由はお父さんと話せないから。
その後、父と息子はいくつもある天然温泉や炭酸泉の大きな浴槽を息子の思いのままに巡った。
湯に浸かりながら息子は言った。サウナは気持ち良いからまた来たいと。
今日の1セットは格別だった。
男
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