サウナサンで気持ち良い水風呂を作るまでの記録
どうも、佐世保のサウナサンで働いているサウナアディクションこと足立です。
まずは、簡単にお店の紹介から。
長崎県佐世保市にあるサウナサンは、平成29年12月で創業35年目を迎えたカプセルホテルです。都心部にあるようなカプセルホテルほどの大きさはありませんが、清潔・誠実をモットーに、館内の整理整頓と良心的サービスの提供を心がけています。
サウナ室においては室温92~4℃(最上段)・高湿
水風呂においては水温約14.5~15.5℃
(サウナ・水風呂ともに平成30年1月現在の設定)
サウナサンではお風呂の水は全て水道水を使っていて、「多孔質材料」を使って水を浄化しています。多孔質材料といってもピンとはこないかもしれませんが、細孔(非常に小さい穴)が沢山あり、水の浄化だけでなく消臭や調湿機能を持った材料です。
水中のごみを吸着し、きれいな水にしてくれる効果があります。
(例:木炭は内部表面積が1gあたり300㎡もあるそうです。)
今回はサウナサンにおける多孔質材料による水風呂の水質浄化について書いていきます。
水風呂の水質を向上させようと思ったきっかけ
平成29年5月より、ロウリュサービスを始めたところからスタートします。
これまでロウリュの知識も経験もなかった私が、ウェルビー福岡店で初体験したとき、非常に感動しました。あのときのアウフグースの気持ち良さは今でも忘れません。
サウナサンでもロウリュを始めて、佐世保でもたくさんの人に気持ち良くなってもらいたい!そしてもっと佐世保のサウナ―人口を増やしたい!と思い、ウェルビー福岡店にお願いして研修を受けさせてもらいました。ウェルビー福岡店の店長様はじめスタッフの皆様、本当にありがとうございます。
5月からロウリュサービスを始めて数か月、少しずつロウリュ好きのお客様も増えてきたころで、ロウリュ後に水風呂の汚れ?濁り?が気になるように。もちろん濾過機を通して循環させてますが、ロウリュ後はたくさんのサウナ―が利用するため、どうしても透明感がなくなっていきました。
透明感が気になる。
営業中にもかかわらず水を半分ほど抜いて入れ替えてみたりしても、やっぱり気になる。
ロウリュで気持ち良くなってるのに、水風呂が気持ちよくならなければ意味がない!
水風呂でさらに気持ち良くなってもらいたい。佐世保でも最高のととのいを提供したい。
水質について悩んでいたところ、東京からtwitterで繋がりのあるサウナーがサウナサンにきていただき、サウナ事情をたくさん聞かせていただきました。そのとき教えてもらった一つが「水をきれいにするなら竹炭が良いんじゃない?」ということ。
備長炭よりも竹炭の方が15℃以下の低温でもちゃんと機能してくれるということもアドバイスいただきました。炭は水をきれいにしてくれるということは頭にあったものの、水風呂で炭を使うのは予想外でした。
水質向上に挑戦
さっそく竹炭を使ってみようと思い、浄化装置の設計をおこないました。
業者さんに作ってもらった浄化装置零号機(試作品)がこちら。
竹炭を使う前に保健所にも確認しました。
浴槽に竹炭を入れるのに手続きや申請等が必要なのか確認したところ、「竹炭を浴槽に入れることに関しての規制もないですが、水の吹き出し口のところに竹炭を設置することにより水しぶきがひどくあがらなければ大丈夫です。また、配管や浴槽の構造が変わらなければ特に問題もありません。」とのことでした。
準備がそろったので、汚れが目立ち始めるロウリュの前に竹炭をメッシュのネットに入れて投入!
ロウリュ終了後に自分で水風呂に入ってみたところ、別物か思えるくらいの柔らかさ!なめらかさ!何これ!?という驚き。見た目もこれまで以上の透明感でした。
一緒に水風呂に入っていたお客様も「え?!何これ!いつもと違うよね?今までよりも柔らかくない!?」という驚きの声が。ロウリュ前の30分前に入れたのにこんなにも違うのか!と思えるぐらいの衝撃でした。
それからしばらくお客様の意見も聞きながら数日たった頃、浄水場等でも仕事をされたことのある常連の職人さんと話をしていると、「竹炭もいけど、もっと浄化させたいならサンゴも良いよー」というアドバイスが!
うん、詳しく調べてみる価値ありそう。
調べていると土木学会から発表された資料を見つけました。
(多孔質材料を用いた水質浄化実験のモニタリングとその評価より)
内容は、多孔質材料の珪藻土・ゼオライト・サンゴ・備長炭の浄化能力を濾過試験を通してデータ化したもの。その中で、相対COD(簡単にまとめると水中の有機物や不純物による汚れ具合)が濾過試験を通してどうなったか?というものや、pHの経時変化はどうなったか?などのデータがあり、結果的に珪藻土が多孔質材料の中で浄化能力が一番高いという結果が出てました。ちなみに珪藻土というのは珪藻の殻の化石で、一般的には建築材料に使用されたり、数年前から人気のある吸水性が抜群に高い足ふきマット等に使用されているものです。
教えてもらった竹炭とサンゴ、今回調べた珪藻土。
どれが良いんだろう。
一度ミックスして使ってみることにしました。
それぞれの特性としては、
竹炭・・・水質浄化、消臭、脱臭、除菌効果
サンゴ・・・水質浄化、消臭、脱臭効果、ミネラルやカルシウムを多く含む
珪藻土・・・浄化能力が多孔質材料の中で格段に高い、消臭、脱臭効果、調湿機能
などなど。
多孔質材料はミックスして使用すると効果をさらに発揮するそう。
それぞれの分量は自分で体験して調整してくことにしました。
サウナサン式!多孔質材料ブレンド水風呂
浄化装置も設計をアップデート。
二段式にして、上段に竹炭・下段にサンゴと珪藻土を入れ込む形としました。
できた浄化装置初号機がこちら。
竹炭は吹き出し口の水が直接あたるようにして、サンゴや珪藻土は砂状のものを使うためネットに入れて下段にイン!
多孔質材料ブレンド水風呂に入り、これまでの水風呂との違いや感じたことは、
塩素、カルキ臭がかなり軽減された
完全に消えたとは言えませんが、かなり薄くなりました。
ゴミを吸着してくれることにより、水の透明度が格段に良くなった
お客様も従業員も一目見てすぐわかるぐらいの違い。
水が柔らかくなり、肌触りがよくなった
これまでの水風呂よりも柔らかくなったというか、とろみが出た感じ。
といった感じでしょうか。
上記は自分やお客様の体感上での意見なので、もちろん個人差はあります。
しかし、自分含め多くの佐世保のサウナ―も気持ちよくなっているのは確か。
前述の常連の職人さんを風呂上りに、
「兄ちゃん、ほんっとよか仕事さしたねー!」(兄ちゃん、本当に良い仕事したねー!)
と唸らせたのも事実。
水質が大きく変わったとは言えませんが、多孔質材料でさらに浄化することにより水風呂の気持ち良さは非常に良くなったと言えます。
もちろん竹炭だけでも十分浄化されるとは思いますが、サンゴや珪藻土を使うことにより、地元のお客様の意見もしっかり反映させていることを伝えたかったですし、体感だけでなく目にも訴えかけたかったんです。メラビアンの法則ってやつです(人間の印象は目からの視覚情報が5割以上が記憶に残るそう)。
体だけでなく、目でも安心してもらいたかったんです。
多孔質材料のブレンドはまだ試行錯誤している段階で、配分を変えたり、交換タイミングを変えてより良くしていこうと思います。このように水風呂の改善できたのも、サウナサンを利用してくださるお客様をはじめ、ツイッターを通してたくさんの方にさまざまな意見・情報をいただいた結果だと思います。この場を借りて、本当にありがとうございます。サウナサンはこれからもサウナや水風呂だけでなく、さまざまな面でお客様の最高のととのいができるお店になるよう、さらに努力し進化していきます。
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記事を書いた人
長崎県佐世保にある『カプセルホテル サウナサン』代表。 以前は五島で郵便局の窓口で愛想をふりまき、今はサウナサンでタオルふります。 サウナ、アウフグース、テントサウナ、温泉、おいしいご飯などなど。