サウナとあなたの健康とは〜より快適なサウナライフのため、サウナと血圧のお 話をしましょう〜

サウナイキタイアドベントカレンダー 5日目の記事です。

サウナイキタイをご覧の皆様、はじめまして!この度、サウナイキタイのアドベントカレンダーに参加させて頂きましたDDD@転勤族サウナ愛好家と申します。
Twitterアカウント名の通り、僕は転勤族でありまして、元々は生まれも育ちも関西なんですが、仕事の都合で熊本に在住しており、全国のサウナーにも話題沸騰中の熊本の聖地=湯らっくすをホームサウナとして日々サウナライフを営んでおります。もっと詳しく僕のパーソナリティや人物像を知りたい方はザっくりととのうサウナ入門さんのサウナーインタビューをご覧下さい!(サウナイキタイさんで他のブログを紹介していいんだろうか…きっとサウナイキタイさんの懐は湯らっくすの日本一深い水風呂より深いと思うから大丈夫だろう!)

せっかくサウナイキタイさんのアドベントカレンダーに参加させて頂いたので、熊本在住という立場から熊本の名物や湯らっくすのレポートでも書いてみようかなぁと思っていたんですが、それこそサウナ関連ブログやサウナイキタイさんのサ活を見れば皆さんすぐに情報は手に入るでしょうし、僕のTwitterをフォローされている方はご存知だと思いますが8割方湯らっくすの話題ばかり呟いているので、今更感が出るし湯らっくすの回し者だと思われかねない。(実際に初めて湯らっくすのニシオ社長とお会いした時に僕のアカウントがステマアカウント疑惑を持たれていると聞かされました!笑)
なので、僕がダラダラと湯らっくすや熊本の素晴らしさを書き連ねても読者の方々に失礼だし、退屈するだろうなぁと思いますので、今回は自重しておきます(そもそもお前関西人やんけ!九州人のふりをするな!とも怒られそうだし…それでも湯らっくすの素晴らしさや熊本・九州の魅力に変わりはないので、皆さん是非とも九州へお越しください!)

それでは、転勤族としての利点(?)を活かして転勤族サウナーが取るべきサウナライフや転勤族しての悲喜交々がこもった内容でも寄稿しようかしらと思い、アドベントカレンダーを確認してみたら12/9に同じく転勤族サウナーのくまださんが転勤族目線のサウナライフを入稿予定で書く内容被っちゃいますやん…と思いこちらの内容も自重します(くまださんをdisってるわけではございません。むしろ、同じ転勤族として強いシンパシーを感じております!いつかどこかのサウナ室でお会いしたらよろしくです、くまださん!)

じゃあどんな内容がいいかなぁとMAD MAXな水風呂につかりながら考えてたときに、以前職場の先輩から「温泉とか銭湯とかでの交互浴の時の気持ち良さって結局血圧の変化を楽しんでるんじゃないんかなぁ」という発言を思い出し、サウナと血圧の変動の関係性や禁忌とされている高血圧などとの関係を調べたら面白いのでは?調査して入稿してみよう!と思ったのでサウナが血圧に与える影響について、自分なりに調査した結果から推測されることをまとめていきたいと思います。駄文・長文になると思いますが是非最後までお付き合いください!

なぜサウナに入る際に高血圧の方は注意が必要かという点に関して、まずは血圧の定義や上昇の仕組みや高血圧などに関して説明していこうと思います。血圧とは何かと言いますと、血液が血管壁を押す力のことを指します。心臓は全身に血液を流しますよね?そのために広がったり縮んだり鼓動し血液を送り出すわけです。この押し出す力が常に血管壁にかかるというわけで、この力を血圧と定義されています。また、医療機関などで上の血圧・下の血圧と聞く機会があると思いますが、これは心臓が縮んでいる時の血圧(収縮時血圧=上の血圧)と広がっている時の血圧(拡張期血圧=下の血圧)のことを指していて、縮んでいる時の血圧=最高血圧を指し、広がっている時の血圧=最低血圧ということです。つまり、心臓が縮んでいる時は短い時間で強い圧力がかかっているため、最高血圧ということになりますが、上も下も両方の血圧が健康には大事です。

血圧(特に上の血圧)は食べ物・塩分・緊張やストレス、測定時の姿勢などによっても大きく変化することが知られていて、日中でも変化しますし、気温の変化などによっても血圧が高くなったり、低くなったりします。また年齢が上がるにつれて血圧も高くなるということが知られており、中高年以降は、血管の弾性が落ちて血圧が急上昇する傾向があります。
https://taiseibun.taisya.net/blood-pressure/より

また、気温の変化も血圧に関連すると記しましたが、夏場より冬場の方が血圧というのは高くなる報告が数多くされており、中国の研究では1、2月にかけて最も血圧が高くなり、冬場は夏場より血圧は約10mmHG高くなるという結果が出ています。
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/22688260 より

ちなみに、この研究は年齢が高くなるほど血圧が上がり(30代に比べると70代は約30mmHGも血圧が高い)、BMI値が高い(要するにメタボの人)ほど血圧が高いと報告されてます。メタボなサウナーの方はご自身の健康に気をつけましょう!

次に、高血圧になると何が問題なのかを説明すると、血圧が高いと正常人と比べて血管壁に大きな負荷がかかります。大きな負荷がかかるということはそれだけ血管壁にダメージがかかることですので、血管が硬く脆くなるということです(いわゆる動脈硬化が起こります)動脈硬化が起こると正常人と比べて血管が詰まるリスクが高いということですから、脳卒中・心不全など生死に関わる血管障害のリスクが上昇するということになります。

現に福岡県久山町で研究された大規模疫学調査(九州大を中心とした久山町スタディと呼ばれ、様々な医療機関のお医者さんのエビデンスとなっている素晴らしい研究です)では、正常な血圧の方を1とした時、血圧ステージが上がるごとにリスクが上昇し、上の血圧≧160、下の血圧≧100の患者群では2.8倍の心血管イベントリスクが上昇するという報告があります。
http://www.hisayama.med.kyushu-u.ac.jp/research/disease04.html より

つまりは、高血圧自体に付随した脳卒中・心筋梗塞などのイベントによって生死に関わる場合があるため、血圧が高めの方はコントロールをされた方が良いということです。血圧の目安はタニタのHPにわかりやすい表がありましたので貼っておきます。高血圧気味の方はお気を付けて下さいね!

では、なぜ高血圧の方はサウナに入らないように促されるのかというと高血圧による動脈硬化に関連があります。血圧が高いということは、程度の違いこそあれ動脈硬化があるということですから、血管が詰まるリスクが高い、ということになります。サウナに入ると、交感神経が刺激されるので心拍数増加が起こりますので、只でさえ高いリスクを上昇させることとなるわけです。また、熱いサウナから水風呂へ入ると気温差により血管が収縮するので更に血圧が高くなるわけですから、お医者さんや施設側としては何かあった時のリスク管理としてオススメはしたくないということになります。お医者さん心理として自分の患者に何かあった時に責任を取らなければいけないので、それを避けたいわけです。

では、高血圧や血圧高めの方はサウナに絶対入れないのでしょうか?日本国民総サウナー化計画を人生の目標に掲げている僕としては(僕の力では一生叶わなそうな気がするが…)少しでも安全に高血圧の人でもサウナを利用してもらいたいと思い、高血圧とサウナの関連性の研究はないかとPubMedを読み漁っていると何と様々な研究が上がってくるではありませんか!

これから2つの研究報告を紹介させて頂きますが、1つ目は2017年に報告されたサウナが高血圧のリスクを軽減させるというデータです。(原題:Sauna Bathing and Incident Hypertension: A Prospective Cohort Study. https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/29720543 より)。

この報告では本場フィンランドの東部に住むベースライン時に高血圧のない42歳から60歳の男性1,621人を対象とした前向きコホート研究でn数が1,600を超える大規模な研究です。ここでエビデンスレベル?前向きコホート研究にn数って何?と疑問に思われる方がいらっしゃると思いますのでそれぞれ説明させて頂きます。

エビデンスレベルとは「ある治療法により効果を推定した際の確信(エビデンス)がどれくらい十分なのか示す指標」と定義されてます。要するにエビデンスレベルの高い方が治癒する確率や効果が得られるかつ率が高いということです。なので少しでもエビデンスレベルの高い研究が発表された方が根拠として強くなるということになります。次に、前向きコホート研究とは何かというとWikipediaには特定の要因に曝露した集団と曝露していない集団を一定期間追跡し、研究対象となる疾病の発生率を比較することで、要因と疾病発生の関連を調べる観察的研究と記載されています。(https://ja.m.wikipedia.org/wiki/コホート研究 より)

例えば、1日30分運動をするA群と全くしないB群を作り、それぞれの群を比較した時に病気の発症率などに差があるのか比較する方法ということです。前向き研究とはある研究を立案・開始してから起こるイベントを調査することで、立案・開始する前に起こったイベントを調査したものを反対に後ろ向き研究と呼びます。つまりは、この研究を始めてからどんな症状・疾病が対象に起こるか調べるかということになります。前向き研究・後ろ向き研究それぞれにメリットとデメリットがあり、前向き研究は関連する因子(年齢・家族歴・性別・罹病期間などのこと)を事前に把握出来るので偏りを抑えることができますが、結果が得られるまでにかなりの時間とコストを要します。後ろ向き研究では、関連する因子を振り返っての把握が困難になるので、データの偏りが出てしまいますが比較的短時間に終了することが可能です。ざっくりまとめると前向き研究は時間もコストもかかるけど精度が高くて、後ろ向きはその逆ですよということです!

【図3】をご覧頂くとわかると思いますが、コホート前向き研究は2aということになりますね。ちなみに、上記した久山町スタディもコホート研究であり、世界に類を見ない精度の高さから日本の医師達の治療の一助となってます(久山町の全町民を対象に追跡率99%以上というとてつもない精度の研究です!どれくらい研究費かかったんやろ?)

では、n数とはどういうことかというとサンプルの数のことです。サンプルの数が多ければ多いほどバラつきが抑えられて精度の高いデータが導き出せるということですので、研究者や医師などはまず試験デザインとn数を必ず確認します。例えば、100人の集団の平均を99人から求める場合には1人の結果はあまり影響しないでしょうが、3人から求めるとなれば残りの97人がどうなのか見当がつきにくいので、誤ったデータが出る危険性が高くなりますよね?なので、サンプルの数が多い方がよりよい研究結果を求めれらるということです。

前置きが長くなりましたが、このサウナが高血圧リスクを軽減させるという研究【図4】を解説しますと、上記した通りフィンランドの東部の住むベースライン時に高血圧のない42歳から60歳の男性1,621人を対象し、週1回のサウナに入る群、週2〜3回入る群、週4〜7回入る群の3群に分け、それぞれの高血圧のリスクを検討しています。週1回の群を1とすると2〜3回群は0.76、4〜7回群は0.54のリスク比となり、週1回サウナのよりも週に4〜7回入っている人の方が高血圧のリスクが46%低くなるという何ともポシティブな結果が得られています!

冒頭で高血圧は脳卒中などを引き起こすリスクとなると記載しましたが、実は同じ研究グループからサウナと脳卒中の関連性を調べた研究が2018年に発表されており、2つ目に紹介させて頂きたいのはこちらのデータになります。(原題;Sauna bathing reduces the risk of stroke in Finnish men and women: A prospective cohort study. https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/29720543 より。)【図5】

この報告は上記した高血圧リスクとサウナの関連性の研究と同様に前向きコホート研究で実施されており、フィンランド東部に住む53〜74歳の男性および女性でn数=1,628例(平均年齢、62.7歳)を対象にしております。同じように 3つのサウナ入浴頻度で群を分けており、週1回、2〜3回、および4〜7回の3群で検討しています。週1回群を1とすると4〜7回は0.39の脳卒中リスク比であり、つまりは週4〜7回サウナに入る人は61%脳卒中リスクが低いというこちらもポシティブな結果となっております!

今回は紹介しませんが、調べていくと筋肉疲労の回復に役立つとか血漿量が増加するなど様々な研究によりサウナのメリットが報告されているのです。では、なぜ高血圧のリスクが軽減できるのでしょう?あくまで私見ですがそれには心臓のポンプ機能と血流の向上が関与しているのではと考えています。和温療法研究所所長の鄭忠和氏がSAUNA TIMEさんのインタビューで答えている通り( サウナイキタイさん、他のサウナサイトのリンクばっかり貼ってすいません…)、身体を温めると血管が広がり血流が良くなる、結果として代謝に必要な酸素や栄養素を通常より早く全身へ届けることが出来ることとなります。またサウナはお風呂と違い水圧がありませんので、水圧による血圧の上昇も防ぐことが出来る利点があります。そして、サウナ後に水風呂につかることにより、急激な温度変化により心拍数が増加して血圧が高くなる。すなわち、心臓に負荷をかけることにより心筋が鍛えられ、送り出す血液量も増えるというロジックです。なので、紹介した2つの研究からもわかる通り、普段から定期的に継続してサウナに入っている方はサウナを繰り返すうちに心臓と血管のポンプ機能が鍛えられるため、高血圧リスクが軽減され、それに付随して脳卒中リスクも低くなるのでは?と推測されるわけです。

ただし、ここで注意が必要なのは紹介した2つのデータはサウナのみを検討事項にしており、水風呂は入っておりません。皆さんも想像してすぐにわかると思いますが、サウナ→水風呂の温度変化はかなり急激なものであり、心臓疾患を抱えている方にしてはヒートショック(急激な温度変化によって血圧や心拍数が乱高下する現象。高血圧や動脈硬化は影響を受けやすい傾向にある。)によって生死に関わるイベントを引き起こしかねません。

実際に僕自身の身体(1985年生まれ。177cm68kgの健常成人)でサウナ前・サウナ7分後、水風呂1分後・外気浴5分後それぞれの血圧を測定してみましたが、サウナ前は128/83mmHG、サウナ後は136/69mmHG、水風呂後は142/74mmHG、外気浴後は124/83mmHG【写真1〜4】という結果となり、やはりサウナ→水風呂に入った直後は血圧が1番高かったです。サウナ前と比べると上の血圧が14mmHG上昇したことを考慮すると、もしかしたら高血圧・動脈硬化の方はもっと大きく上昇するかもしれません。

【写真1:サウナ入浴前】

【写真2:サウナ7分後。上の血圧と脈拍が上昇】

【写真3:水風呂1分後。最も血圧高い】

【写真4:外気浴5分後。入浴前程度に戻る】

要するに、ここまでつらつらと高血圧やサウナの健康面への影響を書き連ねて何が言いたいかと、サウナには高血圧や脳卒中のリスクを低減する効果があるという点と高血圧などを抱えている方は決して無理をする入り方はしてはいけませんよ!ということであります(この結論までの導入が長すぎて申し訳ないです…)高血圧の方がサウナに入る場合は、お風呂で少し体を温めてから入るとか、水風呂に入る際も体ごと一気にドボン!ではなく、足先などから水をかけて体を慣らしてから徐々に体を沈めていくなどの工夫が必要というわけでございます。(当たり前のこと過ぎて、読者の皆様に突っ込まれそうな提案ですが…)また、どこも悪いことがなく健常な人でも自身の体調に合わせて無理をしないことは重要です。僕が敬愛するバンドにRANCIDというパンクバンドがあるんですが、Vo.のティム・アームストロングがインタビューで「いつも自分に正直に、そして自分の心の声を聞くこと。いつも自分のハートから来るものを大切にする。そうすれば大丈夫」とコメントしているように(https://m.youtube.com/watch?v=169vFeq_4p4 2:34〜のコメント。素晴らしくカッコいいインタビューです!)、自身の体から発せられるメッセージを大切に無理せず楽しくサウナを利用すると、より心身共に健康的にサウナを利用できるのではないでしょうか?せっかくサウナを楽しみたいのに、サウナに入って健康や精神を害する結果やもっと言えばサウナで死んでしまったら元も子もないですからね。より良いサウナライフのためには、その土台となる心身の健康が間違いなく重要だと思いますので、読者の皆様のご自身に合わせた入り方で楽しまれるのが1番だと思います。

長くなりましたが、紹介したデータの通りサウナには健康面で素晴らしい効果があり、上手に利用すればウェルネス向上にサウナは非常に役に立つということがエビデンスで証明されるのはサウナーのみならずに人類とって朗報ではないでしょうか。かなりの駄文にはなりましたが、最後までこの寄稿を読んで頂いた皆様にとって少しでも良きサウナライフのお役に立つことが出来れば、この上ない喜びでございます。最後に、アドベントカレンダーという素晴らしい企画を考えられ、普段からサウナ普及に尽力されているサウナイキタイの皆様と読者の皆様に厚く御礼を申し上げるとともに、この言葉で締めたいと思います。

May the SAUNA be with you!(サウナと共にあらんことを!)

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他4件のコメントを表示
2019.12.05 12:49
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2019.12.06 11:20
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ランシド同じく大好きです!
2020.12.05 13:04
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2020.12.05 21:45
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2020.12.19 01:34
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2023.01.05 13:00
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2023.07.09 08:53
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