レックスイン川崎
カプセルホテル - 神奈川県 川崎市
カプセルホテル - 神奈川県 川崎市
人生山あり谷あり。
人間誰しもいい事ばかりとは限らないが、
下り坂がいつまでも続くことはありえない。
いつか登り坂が来る。その逆もまた然り。
ここはそんな私が真っ暗闇の下り坂をただひたすら
歩き続けていた、ちょっとした暗黒時代を象徴するサウナだ
酔っ払ったおっさんの独り言だと思って軽く聞いてほしい
初めてここへ訪れたのは大学を中退した直後だった。
正直、何か目的があって中退したわけではない。
とにかく人が当たり前にできる事ができなかった私は、
大学を継続する事が困難だった。
極度の勉強嫌いで、授業には出れなかった。
出席しても途中で我慢できず教室から逃げ出してしまう。
生活力もなく、洗濯物や洗い物は溜まって行く一方。
ギャンブルにも溺れた。
貯金はおろそか、光熱費すら払えず電気やガスはいつも
止められていた。
集金が来ても居留守を使っていた。払える金がなかった。
いや、最低限の金はあったが酒とタバコに費やしていた。
食べていたのはいつも10円のもやしと30円のうどん。
少し余裕がある日には20円のコロッケを5つ、
余裕がない日は海で魚や海藻を拾って茹でて食った。
唯一の救いはなぜか友人は多く、
彼女も支えてくれていたため孤独ではなかった。
しかし、もう限界だった。
大学に合格した時とても喜んでくれた親に
涙ながら謝り、大学を去った。
初めての一人暮らしに、初めての大学生活。
「俺頑張るから」とワクワクしながら親にメールを送った
あの頃の自分はただの幻だった。
ただただ親に申し訳なかった俺は
実家には居れなかった。
仕事を探し、スーツと履歴書を持って実家を離れた。
しかし、
自分が何者か、何に向かっているのか、向かいたいのか
何も分からなかった。
暗闇だった。
途方に暮れた俺はただただ歩いた。
何も目的もなく歩いた。
静岡を出発して、気づいたら東京まで歩いていた。
距離にして100kmは超えていたと思う。
何日間歩き続けたか覚えていない。
仕事も見つからなかった。
その日は雨が降っていた。
とにかく寒かった。
そして、最後のお金を振り絞って泊まった格安ホテルが
ここ「レックスイン川崎」だった。
→つづく
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