たぬきの里
銭湯 - 北海道 帯広市
銭湯 - 北海道 帯広市
サウナチャンスは唐突に訪れる…。
え、まさかの1日に2回???
午後の娘の習い事に送ってから、用事を終えると時間が余ってしまった。
…マジっすか?今日二度目のサウナチャンス??
午前中、白樺温泉でトロけた頭からムクムクとサウナ欲が再び湧いてきた。
サウナチャンスに乗ろう。
そして水と同化しよう。
たぬきの里は不変である。
昔から佇まいも内装も変わらない。
時が止まっているのだろうか、とさえ思うことがある。
アツいサウナから出ると左手のシャワーで汗を流し、ドボンと水風呂に投身する。
蛇口からジャブジャブと噴き出る水を背中に受けると、斜め上を見つめながら自然と口が開くのである。
ああ、神経締めだ。
いつか見たYouTubeの築地の魚屋、神経締めを施されると目に力が無くなり口が開いた魚を思い出した。
あの時のヒラメの如く、半分口を開きながら私は無の世界に突入した。
どこかで自分が呼んでいる。
あと40分で父親に戻らなければならない。
あと20分で父親に戻らなければならない。
あと…あと……。
そんな焦燥感の中、たぬきの里を出た。
気持ちよく広がった青空は西陽を差していた。
オレンジの斜陽はタヌキの置物を眩く照らしていた。
サウナの魔法が解けた私は父親に戻る。
それでいいんだ。
それがいい。
フロントガラスが湯気で曇る中、娘の習い事の迎えに車を走らせた。
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