健康浴泉
銭湯 - 東京都 中野区
銭湯 - 東京都 中野区
休日出勤で業務が長引き、東中野に着いたのが22時
疲れてすり減った私とは対照的に、ギンザ通りの店々は嬌声と笑顔で溢れていた
そんな街の賑わいに気を取られながら歩を進めると、やがて左目にセクシーピンクの照明が差し込む
━━今日はアクアにしようか、とも思った
ボロボロになった自分をあの軟水で磨かれたい
だけどこの時間からだと、サウナに、プールに、炭酸泉に、と欲張るには余りにも短すぎる
そして何より、土曜の夜の状況は、お察し…だろう
その点、健康浴泉なら大丈夫だろうと侮っていた
群雄割拠の中野区で、特に激しい銭湯地域の東中野において、確かな存在感を示す実力は伊達じゃなかった
どの浴槽にも人が鮨詰めで、定員5人のサ室前には、スタンバイ中のビート板が10枚ほど置いてあった
タイミングよく滑り込めた炭酸泉に、今日こそはノーサウナだと覚悟させられかけた
温度、肌触り共に、今日の私が求めていたもので、汚れや疲れが分解されるだけでなく、私自身が分解されて、いっそのこと、再組成されたいとさえ思えた
ちょっと覗いたサ室に空きがあったので、とりあえず1セット、と座ってみる
温度は高くなさそうだが、熱がヒリついている
汗が中々出ない
サウナ客の数の割に待ちが発生していなかったのは多分このせいだろう
なかなか辛いコンディションで、汗が出るまでに10分近くかかる
結局、15分もいたが、その間に入れ替わりがかなりあった
━━そして水風呂後の例の二階の部屋
最初に上がった時は誰もおらず、薄暗くて静かな中、独りそっと佇んでいた
独特の匂いのおかげなのか、扇風機の首振りのリズムなのか、私の拍動に合わせて微細にたわむプラ椅子のせいなのか、これ以上ないと思える心の平穏が訪れた
何故かしらないが「ありがとう」という言葉が溢れてきて少し涙ぐんだ
今日は2時間近くいてサウナは2セット
締めに入った炭酸泉は、皮膚の内側からノックされているようで、本当に自分が溶け出しているのか、と思った
━━こんな軟水に溶け込んだら、何事も優しく受け止めて、華麗に流すことが出来るのにな
…その前に私の意識が溶けて流れそう
眠い
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