サウナ&ホテル かるまる池袋
カプセルホテル - 東京都 豊島区
カプセルホテル - 東京都 豊島区
我々はサウナの奴隷だ。
我々の存在価値はサウナにのみあり、サウナ以外の事柄は否定される。
この街では、人々のヒエラルキーはサウナによって決まる。スポーツ選手が行う合宿のヒエラルキーが自然と競技の成績で決まるように、ここではサウナが全てであり、サウナ意外に価値はない。
この街の人々は寡黙だ。まるで夜の美術館の石像のように。初めからそんなことはできなかったかのように、誰一人として言葉を交わす者はない。
街の入り口で、我々は声を失う。門衛に声を差し出すこと。それがこの街に入るための対価なのだ。そして門衛はもう一つ、我々に大切なものを要求する。差し出さなければならないのは他者への親しみ。この街では誰もが厳しい監視下のもとで孤独になる。原罪を持って生まれてきた我々は、ただ、ひたすらに自分たちの犯した罪と向き合わなければならない。ステンドグラスから夕日の光が差し込む礼拝堂のように、この街はただひたすらに内省的だ。
禁忌を犯すと我々はたちまちこの街から拒絶される。たくましい門衛達が街に留まることを許さない。
用意されているのは4つの小部屋と4つの水桶。そしてたくさんの椅子。人々は気に入った小部屋に籠り、そこでじっと時を待つ。時が来たら流水激しい7℃の水桶に飛び込む。途端に心臓の音は大きくなり、この街に響く唯一の音となる。音が静まるまで、たくさんの椅子の中から好きな椅子を選んで座る。
この街のもてなしは国の中でもとくに優れている。縦に連なる名所はどこだろうと静かで、街に住む人々がそれを高い意識で遵守している。
街を訪れる際は必ず一人であること。これがこの街のルールなのだ。
コメントすることができます
すでに会員の方はこちら