箱根湯寮
温浴施設 - 神奈川県 足柄下郡箱根町
温浴施設 - 神奈川県 足柄下郡箱根町
【不要不急のサウナか否か。孤独な若者の叫び】
このご時世、不謹慎なのかもしれない。
ただきいてほしい。
朝から年配者の長蛇の列、昼には怪訝な顔で買い占めされ、仕事が終わる夜の商品棚は皆無の嵐。
このような窮屈でエゴなる東京に嫌気が差し、この数日間熱海の一室、箱根の山奥に篭っていたのである。
このご時世、熱海に若者が集まってると生中継をしていた。
ただこうした世の中に辟易している若者がひっそり紛れ込んでいるのも事実なのである。
小生は向かう。熱海から新幹線で一駅。
この歪曲したメンタルを直すために。
箱根湯寮。
全身を清め、サウナのある露天エリアへ。
春の空気が訪れる箱根でも、凛とした空気が肌に触れる。
なるほど。入口は2段階式扉。熱も逃さない。
最上段で1セット。沢から湧いた水風呂でカラダのアマミを引きだす。
外気浴。
森に包まれる。東京のアノ空間から遮断させる、あまたの緑木が小生を落ち着かせる。
聴こえてくる鳥のさえずり……緑葉が生み出す葉擦れのハーモニー……
「あれ動いてるのなんでるかね?」
サウナ紳士が声をかけてくれた。よく見ると、木に丸い生物がちょこちょこ動いてる。
「リスなのか……」
外気浴中にこのアニマルウォッチング。贅沢だ。
未確認生物をボッーとおっていると11:30ロウリュ。最上段端席。
頼むぞ、ロウリュマイスター。
ふわっと広がる蒸気の熱。リアルタイムでカラダに届くのが印象的。
うちわで煽ぐが、腕を上げて質のいい上の蒸気だけをサウナ紳士を届けてくれる。レベルが高い。
ガマンできるかできないかぐらいのギリギリのアツさをこのマイスターは熟知している。
熱波師に「コントロールされる」感覚、身を委ねて信頼していい。
ロウリュが終わったあとも、少し居座る。ヒーターからフツフツと質のいい熱を一人サ室で楽しむ。
沢の水風呂へ。脚を伸ばし快楽の道へ。
この水風呂は自然と一体になれる。香り、水質も一切人工的な感じがしない。
天を見上げる。湯寮の屋根と屋根の間に輝く太陽。
南中高度いっぱい寸前の11:39。
日差しを浴びて入る水風呂も申し分もない。
気づいたら歪曲したメンタルが正しく矯正されていた。
まさに箱根湯「療」。
ここではどの医療機関でも受診できない療法がココにはある。
そんなことを書いていると、箱根湯本を後にしたロマンスカーが東京に入り込む。
こうしてサウナで我を取り戻した一人の若者が混沌とする都会の闇へ再び飛び込んでいった。[完]
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