黄金湯
銭湯 - 東京都 墨田区
銭湯 - 東京都 墨田区
サウナ短歌
「水曜日男女浴室入替日 交換日記を渡しに行く日」
黄金湯|サウナは最高の出会いの場
サウナ室に入った時に、すん、と鼻をつく香りがした。
なんの香りだろう。サウナ室は満員だ。みんなの肌から吹き出した汗の匂いだろうか。それとも、高い温度でカンカンに焼けたサウナストーンの香りだろうか。扉の前に立って考えた。目の前には女性たちがオレンジ色の照明に照らされてやわらかく並んでいた。タオルで顔や腰のあたりを隠して熱さにあえいでいる。
あ、と思った。普段はここに男の人が座っているんだ。嗅ぎ慣れない香りは、男性の残り香なのかもしれない。
と言っても、くさい訳ではない。女性専用のサウナに入った時とは違う、特別な雰囲気を香りで感じ取ったのだと思う。ラーメン二郎に女性ひとりで入店した時に、一気に注がれる視線のような、身の置き場に困るあの感じを匂いで嗅ぎ取ったのだろう。
黄金湯は、毎週水曜日に男女の浴室を入れ替える。この日はちょうど水曜日だった。
空いているベンチにビート板のマットを敷いて腰をおろした。わたしの右どなりも左どなりも女性だ。ベンチの上の段に座っているのも女性だ。でも、水曜日以外は男性が並んでいるんだ。そう思うと、なんだかドキドキする。汗をかいた広い背中や喉ぼとけを想像した。
木曜日には男性も同じような想像をするのだろうか。あ、昨日はここに女性が座っていたんだよな、と。もし同じことを考えている人がいたら、その人とは仲良くなれそうだ。
サウナ室のすみっこにこっそりメッセージを書いておいたら、同類が気付いてくれそうな気がする。もちろん、銭湯に落書きをするなんて絶対にしないけれど。
水曜日にわたしがメッセージを書く。
「男性のサウナは熱いですね」
次の水曜日にまた黄金湯に行くと返事が書かれている。
「そうですね。飲み物をクーラーボックスで冷やしておくといいですよ」
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http://kitazumeitaru.tokyo/sauna/2323/
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