ピザサウナくん

2024.12.21

1回目の訪問

渋谷という街が持つカオス。その真ん中にぽつんと存在する「サウナパッション」は、その名とは裏腹に、むしろ静寂と孤独を売りにしている。そう、ここはプライベートな個室サウナ。誰にも邪魔されず、ただ自分と向き合う時間を過ごせるのだ。

エントランスを抜けると、受付スタッフがニヒルな微笑みを浮かべて「ごゆっくり」と言う。その瞬間、自分が社会から切り離された存在であることを痛感する。廊下に響く足音すら、どこか自分の人生のBGMのように感じてしまう。

個室のドアを開けると、そこに広がるのは完全なる「自分の世界」だ。コンパクトながらも機能的な空間は、むしろ余計なものをすべて削ぎ落とした美学を感じさせる。無駄にゴージャスなサウナとは違う。ここにあるのは、必要最低限の熱、そして己を浄化するための静けさだけだ。

頼んだ温度に整えられた部屋。追加メニューのロウリュ水も既にサ室の真ん中に鎮座している。ふと天井をみると、模様が語りかけてくるような気がする。「お前、最近どうだ?」と。だが、答える者は誰もいない。この空間にいるのは、ただ自分ひとりだけ。

室内の熱が肌を刺し始めた頃、汗が少しずつ滲む。時計を見る必要もない。ここでは時間さえも曖昧で、あるのはただひたすらに流れる「今」だけだ。孤独と向き合う時間はこうしてじわじわと訪れる。

水風呂――いや、正確には個室内のシャワー。これがまたいい。冷たい水を頭から浴びると、熱が身体を抜けていく感覚があり、同時に「渋谷のど真ん中で、こんなにも一人でいられるんだ」という妙な達成感に包まれる。

最後に備え付けのリクライニングチェアで横になる。目を閉じれば、外の喧騒は遠くなり、ただ自分の鼓動だけが耳に響く。ここには誰もいない。ただ、孤独だけがそっと寄り添う。

「サウナパッション」は、その名前が示すような情熱的な空間ではない。むしろ、ニヒルな微笑みを浮かべながら、都会の喧騒から逃れた者たちにそっと孤独を差し出す場所だ。その孤独に耐えられる者だけが、このサウナの真の価値を知ることができる。

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