奥のサ(isanow)

2020.03.22

1回目の訪問

春のそよ風が吹く中、露天風呂の椅子に座っていた。
目の前にはテントサウナがあり、薪の燃える香りが僕を包んでいた。

そんな春の風が僕の中のどこかのドアをゆっくりと開けていってくれた。
日々のお酒やちょっとした趣味では開けることのできなかったドアだ。
僕にしたって、そんな隠れたドアがあることに気付いてすらいなかった。
でも、風はいつもなんだってお見通しなのだ。
「5月の風をゼリーにして」ほしいと願った詩人は誰だっただろう?

そのドアから何が覗くだろう?
そのドアから何が覗けるだろう?

僕が持っているドアだけれども、僕は鍵を持っていなかったのだ。
でも、春の風は鍵を持っていてくれた。

僕も、と僕は思う。僕もそうあれればいいな。
誰かが開けられないでいるドアの鍵を僕が持っていられればいいのにな。

店員さんに「ビールをください」と声をかける僕を、また春のそよ風がなでていった。

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