ryonoji

2022.03.29

1回目の訪問

上野で高い場所に登ると街の唸りが聞こえる。これは気のせいかも知れないのだが、上野は特に凄い。14時くらいの曇天に、遠くのパトカーのクラクションが、まるで小2の下校時に聞いたハトの鳴き声みたいに照り返しており、そしてそれは自分とは無関係なものとして、遠いどこかを通り過ぎていく。碁盤目構造の上野の町がそう聞こえさせているのかもしれない。
さて寿湯。
昭和27年に開業とのことで、館に趣がある!期待して入るととても清潔なエントランス。
いい意味で、古きと新しきが調和しており、客層もそのように見受けられた。上野ならではの外部と内部のミックスだ。
27年以前にも銭湯があったらしく井戸は引き継いでいる模様で往時の風情を想像しながら浴場へ。
狭いが気にならない銭湯はかなり熱い。嬉しい。「古い建築」の異様さもあり、露店へ連なる角にサウナが不意に現れ千と千尋の油屋へ続く路面商店街の如き。
露天。…目も眩む真昼である。しかしごった返している。うん?客層がわからない。
この時すでにすこし、何だろう、と違和感があった。
少なくとも雰囲気は上野北欧とは違う。地元の刺青やタトゥーが慎ましく背中を並べており、ローカル感ありながらマナーは悪くない。
手前に露天岩水風呂。良いね。露天風呂は館内より広い。
対面して整い椅子。奥には、塩サウナと、何と洞窟の岩水風呂がある!
暗い。
まるで京都の小さな神社みたいな風情である。このような奥行きがあるとは思わずテンションが上がった。
塩サウナに入る。暗く、じっとりとした空間で、昼から日々を飛ばす。飛んでいくノーマル。四角く切り取られたノーマルが想像の井戸を通ってふーっと視界から遠ざかっていく。
そして、三人組が入ってきた。
結論として彼らはゲイなのである。そして、寿湯はハッテン場としての側面があるのである。
彼らは、ニヤニヤとお互いを見つめ合い求愛をしている。私は壁に張り付いた染みのようだ。とうとうここまで己を滅却できたか。
一番太ったへずまりゅうに激似の奴が、特に積極的で、体にクリーム見たいなものを塗りながら相手の肩に塗るなどし、挑発している。
相手がタオルを取ると、そこに顔を近接させてニヤニヤしている。
私はいたたまれずに塩サウナを後にした。
ゲイは良いのである。しかし求愛することで人は熱を発する。その熱を特にサウナで共有したくはない。
残念だが彼らとルーティンが被り、水風呂にも来る。へずまが股間をブラブラと揺らす。
上を見るとダミーカメラ。店の苦悩がわかる。
この世にあまねく、「ダミーカメラ」は苦悩とジョークの象徴だ。これも上野。
ネクタイを締め曇天の下へ。
ま、いいか。

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