「花の浮島」ねぇ。
俺が訪れた時は霧隠の里だった。稚内港から出発し、先に見えたのは利尻富士。目の前に至るまで、礼文島の姿は雲に包まれていた。

一番館に投宿している。
颯爽とチェックインを済ませ、出かける支度をする。「お風呂は?」と聞くと、「お風呂のチケットを渡しますから」とのこと。ほほう。

ひとしきり観光を終え、夕方17時になった。旅の疲れが出て2時間半も座布団で寝ていたようだ。
俺は宿を飛び出し、誰も自転車の後ろに乗せていなくとも、ブレーキいっぱい握りしめるような坂をくだっていく。二等辺三角形の斜辺のようだ。ゆっくり、ゆっくり。

人様の自転車をお礼の言葉とともに置き去りにし、歩いて温泉へ。どうやらサウナもあるらしいな。

だが、俺はフェイスタオルを置いてきている。
忘れたのではなく、使いたくなかったのだ。
のちにあんなことになるというのに...

つくやいなやタオルのボタンに目をやる。200円。やめよう。

いつぶりだろうか、手ぶらでサウナに入るのは。
まずは身体を洗い、下茹で。ぬる湯がちょうどいい。

さて、どうせ来たのだから。

ただ、やはり体に水滴がびっしりだ。手で払うとはいえ限界がある。8分ほどお世話になり、水風呂に向かう。どれだけ発汗したかなんかわかりゃしないさ。

水風呂がキリッと冷えてる。さすが北の外れ、礼文島じゃないか。

ととのう時間も水滴と一緒だ。あるまじき、くしゃみを響かせながらととのう。否、ととのいきらぬ。

ここは悪くない。サウナボーイになり3年になるが、初めてタオルなしという暴挙に出てしまった。

心から反省し、露天風呂から見えるウミネコに挨拶をして後にした。涙の1セットだった。

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