改良湯
銭湯 - 東京都 渋谷区
銭湯 - 東京都 渋谷区
見上げる先に、鯨。
見上げる先には109。
1999年。16歳。渋谷。
上を見て歩く。高校生。
結局行くのなんて丸井やパルコで、そんなもの、地元にもあるのに。
またまた地元にもあるタワレコで、試聴なんかしちゃって、結局マック行っちゃって。
同じ渋谷でも東のほうなんてなかなかこないから、うろうろうろうろと歩き。
思い出しては途切れ、途切れ。
20年以上経っても変わらずに、音痴方向。
イキタカッタ場所を見上げるときの気分はいつも同じだ。
109も、丸井も、エッフェル塔も、サグラダファミリアも、鯨も。
鯨に飲み込まれた先には、青く光る宇宙。
銭湯には湯気が昇る。
ちりばめられたライトから光が落ち、その落ちる様を湯気が鮮明に伝える。
だのに湯気は、光をつかんでグイと昇る。
矛盾。だから宇宙。宇宙って矛盾。
サウナストーブはダースベイダーのように佇む。
時にゴーと叫び、沈黙。
背中を見せれば再び。
強引力の水風呂に浮かぶ。見上げ光は霞む歪む。
壁に背を当て目を閉じる。
そこは1999年。
外は夜。
こちら2020年。
見上げた先に、今夜は満月。
詩的なサ活がとっても素敵!
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