昔は白糠にも銭湯が四軒あったと聞く。
恋問橋の白鳥を眺めながら海沿いの一本道を走る。石炭岬を過ぎて街へと入っていけば白糠でも一際大きなレストランがある。
レストランはまなす。団体予約して法事の会席なんかで使う人が多いんじゃないかな。
このレストランがある場所に昔は銭湯があったのだそう。
レストランの手前辺りから山側に折れて、白糠町温水プールへ。
白糠唯一の温浴施設。
肌寒い曇り空の下、向かいの公園で犬と遊んでから温水プールへ。
風呂道具を見た犬が「またかよ」という顔でこっちを見ている。私の登山道具と風呂道具はしっかり認識していて、見ると渋い顔をする犬。置いていかれるから。
※
入浴券の裏に名前と電話番号を記入して湯代を払う。どこから来たか、性別、年齢を書いて提出。
感染症対策がきっちりしている。
受付の左手のドアを開けて脱衣場へ。
ジム利用者のロッカーとフリーのロッカー。脱衣籠。
ロッカーに上着や貴重品を入れ、脱衣籠に衣服を入れる。
こじんまりしていて綺麗だなあ。ここからプールに行けるんだ。
浴室は左手にカラン、右手に浴槽、水風呂とシンプルな造り。
身体を洗ってトゴールの湯へ。
じんわりじんわり温まる。
そのまま身体をスライドさせて電気風呂へ。このまま永遠に電気を当てていたい気分になる。
トゴール→電気→水風呂
サウナ室へ。淡い飴色の壁、暖かな灯り、巨大なガスストーブ。温度も90度としっかり熱い。
先客に「眼鏡大丈夫かい、内の息子も温度差で眼鏡のレンズ割ったんだわ」と声を掛けられる。
何となく世間話をしていたらもう一人常連さんが入ってくる。
ぽつりぽつりとした会話。
常連さんの大きくはないが深みのある低い声で、僅かながら身体に心地好い振動が来る。
風呂は電気風呂、サウナにはバイブレーション。
セロひきのゴーシュで、ネズミの子供の病気を治す為に母ネズミがゴーシュのセロの中に子ネズミを放り込むのを思い出した。
サウナ→冷水シャワー→水風呂→電気→サウナ→冷水シャワー→水風呂
良い銭湯……!
人の雰囲気もサウナもとても良かった。ありがとう。
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夏場、ここのジムに登録してお風呂に入りに来ても良いなあと思いながら車に戻ると、遅いんだよ!とばかりに犬に頭突きされる。
ごめんって。
チルアウトを飲みながら帰路に着く。
帰り道の白糠の海は淡い灰色。水平線が曖昧に霞んでいた。
女
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