朝日湯源泉ゆいる
温浴施設 - 神奈川県 川崎市
温浴施設 - 神奈川県 川崎市
誰か慌ただしくロウリュサウナの前を馳けて行く足音がした時、1セット目を終えた私の頭の中には、見た事も無い様な大きな炭酸泉の水泡が、ぶら下っていた。けれども、その水泡は、足音の遠退くに従って、すうと頭から抜け出して消えてしまった。そうして目が覚めた。時計を見ると、其れが始まる長針の三十度手前を刺していた。
今にも入って仕舞いたいが、我慢をして其れを待つ。其れを待つ幾人の漢等の先頭にいた私は、一段目に吸い寄せられるやうに着座した。全ての熱濤を受けてやろうと意気込んだからだった。白樺の薫りに包み込まれる。優しい風であった。然し、此処はサウナ。徐々に加熱。
熱さは苦痛であり、追いロウリュは恐怖である。だからアウフグースは不幸なのだ。だが人間は恐ろしいくらいアウフグースを愛している。それは苦痛と恐怖を愛するからだ。
気が付くと私は、気の利いたベランダで外気浴をしていた。其処へ、さっきまで私を苦痛に陥れた熱濤師が現れ、心地よい風を吹かせた。気持ちがいい。この気持ちの良い風に身を任せ飛んで行った仕舞いたいとまで思った。整った。縷縷申し上げた通り、私はこのサウナが好きである。
男
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