奥のサ(isanow)

2020.02.29

1回目の訪問

土曜の14時に来館すると、そこにはとてもあたたかな光景が広がっていた。
パートナーのぬくもりを受け止めながら、ソファーに座り、漫画を読んだり、スマホで一緒に動画を見たり、あるいはお互いの心音を無言で感じ合う人たち。

大磯のプリンスホテルのサウナよりも、もう少しだけ若く青い光景だった。

浴場でも髪は濡らさぬように頑張る若者もいた。
そう、それでよいのだ。
君たちには青くさい時間を死ぬまで生きる権利があるのだ。

僕だって物分かりよく老いさらばえるつもりはないけれど
まぶしく、すべてを焼き尽くすかのような青い光に満たされた時間はもう掌からこぼれ落ちていってしまっている。
もっとバカであれ、もっと青くあれ、そしてもっと恋をしておくれ。

そんなことを考えながら、サウナコタでセルフロウリュをしていると、湯気がどんどんとにじんでいった。
汗をぬぐい、何分かの間をおこうとも、湯気のにじみは止まらなかった。

大丈夫、僕には水風呂が待っていてくれるのだ。
彼女の冷たいぬくもりに包まれることを想像しながら、にじみゆく湯気を見つめていた。

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