おふろの王様 大井町店
温浴施設 - 東京都 品川区
温浴施設 - 東京都 品川区
大井町に降り立つのは、いつだか行った大井競馬場で乗り換えたときくらいだろうか。この街の思い出は、だいたい青く晴れた空とセットだ。
おふろの王様 大井町店。恵比寿でのライブの前に訪れたのは13時頃。吹き抜けのようなエスカレータを3つ上がると、その温泉が出迎えてくれる。
上の階でタオルセットを受け取り浴場に入ると、昼時の腹ごしらえを済ませた方々が温泉から顔を出している。まずは水通し。入って左手の5人位が入れそうな水風呂に足をつけると、刺すような冷たさが頭の奥に響いた。うん、なかなかにヒエヒエ。
水風呂隣のドライサウナには2人くらいが並んでいた。少し狭いサウナ室?と不安がよぎったが、扉を引くとぱっと視界が開けた。水風呂とは対象的な、鉄板に手を触れたときのような、ジュウという熱が顔に当たる。二段目に腰を掛けたが、熱量はさほど変わらない。視線の先に映る温度計は80度を指ししめしている。熱を感じる。血液が沸騰したように脈が早まっていく。
1月の東京の、突き刺すような湿り気のない温度は今日も変わらない。水風呂をやり過ごし、今日はそのまま外気浴へ。都内には珍しく、空が見える外気浴スペースのベンチに腰掛けた。壁に頭を横たえて上を見上げると、空の青色が広がっている。晴れた日曜日の午後、体から上がる白の蒸気とともに脈拍は徐々に落ち着きを取り戻していく。
2セット目。外気浴スペースに時折特大のモヤを吐き出すスチームサウナへと。ドライサウナとは対象的に、扉を開けると一気に視界がモヤに包まれた。モヤには清涼感のある柑橘系の香りがほのかに感じる。まとわりつくような暑さにも少しずつ慣れていき、視界は徐々に溶けていき、体の境界線が、少しずつ部屋全体線まで広がっていった。
10分程度経っただろうか。サウナを出て水風呂まで向かった。汗を流してソロソロと水風呂に浸かる。スチームが体に膜を作ってくれたのだろうか、冷たすぎた水は少し角が取れたように僕を包んでくれた。
水風呂を出て、屋内スペースのベンチに腰掛けて目をつぶる。外気浴で感じた突き刺すような気温はここにはない。足元を流れるお湯と、背中に感じる大理石のようなツルツルとした壁。感覚は少しずつ不明瞭になり、一方で整いは着実に迫り寄せてくる。意識を失ったのか整ったのか自分でもわからないが、体中から力が抜けていった。
3セット目をこなし銭湯を出ると、行きは上りのエスカレーターは当然ながら帰りは下りだ。
吹き抜けのエスカレーターには、頬を撫でるような僅かな風が抜けていく。湯気が出てるような感覚は、風と共に薄れて消えていく。ダウンの前は、少しの間だけ開けておこう。
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