【閉店】秦野天然温泉 さざんか
温浴施設 - 神奈川県 秦野市
温浴施設 - 神奈川県 秦野市
5月の連休最終日のことだった。
さざんかで菖蒲湯に浸かり、ロビーに出ようとしたところで、家族連れに出会った。
まだ若いパパとママ、4歳くらいの男の子と、ママに抱っこされた女の子。
「パパと一緒に入りたい人ー?」
とパパが言う。だが男の子はママと一緒がいいのか、ママの手をつかんで離さない。
小さい子2人を連れて入らないといけないママ、大変だなぁ。
その時、ふとアイデアがひらめいた。
俺は男の子のそばに寄ると、かがみこんでこう言った。
「坊や、今日の男湯はショウブの湯だぞ」
『鬼滅の刃』が大ヒットしていた当時。
漢字も知らない男の子の頭の中に、アニメの勝負のシーンが浮かんだに違いない。
男の子はつかんでいたママの手を離すと、いそいそとパパの方へ。
(よっしゃぁぁぁ!)と心の中で快哉をさけぶ俺。
しかし、誰よりも喜んでいたのは、息子の小さな成長を目の当たりにしたパパであるのは間違いない。
あの時のパパの嬉しそうな顔といったらなかったな。
〜
こういうココロもカラダも温まるエピソードは、タイミングを見計らって投稿するべきだ。
例えば5月の連休の頃などに。
実際、俺はそうするつもりでいた。
それを今日投稿することに決めたのは、ここが3月21日で閉館するという話を聞いたから。
「十日の菊、六日の菖蒲」という言葉がある。遅すぎて役に立たないものの例えであるが、さざんかも5月まで待ってはくれなかった。
銭湯や日帰り温泉が店じまいするのは珍しいことではない。俺もその手のニュースをこのサイトで何度も目にしたし、それを残念だと思わないわけではない。
しかし、これまでに何十回と訪れた、懐かしいエピソードまで記憶に残っている施設となれば、思い入れが違う。
閉店までの1時間半、俺は記憶をかみしめるように風呂に入った。
松の香りがするサウナも、檜風呂から眺める夜景も、風呂上がりに飲む氷点下サイダーも、来月には無くなってしまう……。
〜
せめて来月までの間、俺はここをホームサウナにしようと思う。
ホームサウナということは、サウナイキタイと思った時の第一候補として検討するということだ。
閉館が決まった施設に俺ができることなんて、サ活の投稿しかないのだから。
男
経営が厳しいからなのかわかりませんが、銭湯だけでなくスパ銭も無くなっていくのですね。あんなこともあったなぁと毎年5月になると思い出すエピソードも今年限り。やるせないですね。
企業経営はズブの素人である自分が口出しする権利など無いのですけど、設備投資の積立は料金の中に含めておかないといけないのでしょう。ここは安すぎました。これからの日帰り温泉は公営とサウナに特化した高級路線に分化していくのかもしれません。そうなったらかなり寂しいです……。
ショックもさることながら、ハイキング帰りにどこの風呂に入ればいいのか考えないといけなくなってしまうのが……。デフレ経済下で値上げできずに内部留保を削ってしのいでいたのが、ここ数ヶ月の物価上昇でフローが回らなくなって耐えきれなくなったとかですかねぇ。
そういや休憩スペースが貧弱なんですよねここ。学生さんが多い施設なので、館内で滞在しないで外で遊べってことでしょうか(笑)。閉館までの間、ペンギンタオルは必ず持参しますので、偶然偶然チャンスを楽しみにしております。
ここで飲めなくなると、最寄り(で自分が知っているの)が駿河健康ランドになってしまいます……。
ここの緑茶シャンプーも大好きなんですが、それも最寄りが駿河健康ランドになってしまいます。うぅぅ……。
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