照の湯
銭湯 - 東京都 大田区
銭湯 - 東京都 大田区
蒲田〜川崎間を歩くと小一時間のちょうどいい散歩コースになる。
仕事でどちらの駅もよく使っていた俺は、この区間を好んで歩いた。歩きながら沿道にある銭湯を見つけては入り、汗を流すのもまた楽しみの一つだった。
コースのちょうど中間にある銭湯、一番お世話になっていたのに、照の湯という名前すら覚えていなかった。もちろん風呂の様子もきれいさっぱり忘れているから、tell you know と聞かれても、照の湯について語れることは何も無い。
今日、久しぶりにコースを歩く。ついでに行ってみようじゃないの。
ミラーボールみたいな照明に迎えられて館内へ。銭湯料金500円とサウナ料金200円を払ってリストバンドを受け取る。リストバンドは入室用の鍵ではなくて、単なるライセンス代わり。紳士協定か。
浴室は狭いながらも工夫が凝らされていて、注目は檜風呂。まわりの石(?)の風呂の中に嵌め込まれた感じになっている。一度見てみるべし。
サウナ室は5人は収容できる広さ。木材は古くなっていて饐えた臭いがする。
客は俺一人だけ。知ってた。だって誰もリストバンドしてないもん。
客のみならず、サウナストーブも見当たらない。壁面のハーモニカみたいな孔から熱気が送出されるんだけど、どういう仕組みなの?
温度計が無いので推定85℃のサウナ室でじっくり温まる。
というか、天井がやけに低いんだけど?
上段に俺が座ると、頭のてっぺんから天井まで5cmくらいしかない。外から眺めたら、スーパーマリオのしゃがみジャンプで狭いところに入り込んだように見えると思う。
水風呂は黒湯。水温計は23℃を指していたが、絶対もっと冷たい。
外気浴はと……お、ドアを見つけた。ドアの向こうは予想どおり露天風呂で、黒湯をひたひたに湛えている。
一脚だけ置かれた椅子に腰を下ろして、ふと横を見ると……?
「は、は、ハンマーブロス!?」
いや違うな。アイアンを持った信楽焼のタヌキだ。でも何だこれ。
セットを重ねても、サウナ室にいるのは俺一人。話し相手もハンマーブロスしかいない。
うん、知ってる。近隣の施設にサウナーを取られたんだね、クッp……じゃない、たかの湯さんに負けちゃったんだ。スーパーマリオのGAME OVERのサウンドが頭の中で流れ出す。
しかぁし!
見方を変えれば、こんなにマイペースでサ活できる銭湯も珍しいはず。
水風呂は天然の黒湯だし、外気浴の椅子から眺める露天風呂の眺めは、ちょっとした温泉旅館に匹敵する美しさだと思う。
スーパーマリオの湯、いかがです?
(勝手に名付けるなって?)
歩いた距離 2km
男
正直どこへ行こうかと悩む道筋でした。NU-LANDやたかの湯の誘惑を振り切って先へ進むのは精神力が求められます。石の固定椅子は湯快爽快ちがさきで鍛えられているので心配は無用、ちゃーんとマットを尻に敷いています。
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