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サウナ即身仏卍

2019.10.01

3回目の訪問

秋と言うには気温の高い中、私は汗を滲ませ外仕事。こんな今日はサウナがなければ不条理だと言わんばかりにバイクに跨がり先輩と共に水口温泉つばきの湯に馳せ参じる。
豪雨のあとに長雨となり、平日なのも手伝い人気が少ない。この温泉は雨や寒冷期には露天風呂と内湯の間を仕切りをして遮断するため、出入口がひとつとなる。10月に入り、露天風呂には瑞恵の湯という薬湯が登場している。1ヶ月ごとに湯がかわるのも、水口温泉つばきの湯の魅力である。
サウナに入る。今回は21時のオートロウリュに合わせて短めの1回目である。充分だ。さあ2回目オートロウリュ、いざ。

熱い......!?どうしたことか。
どうやら私の体調は、思いの外悪かったようだ。猛る熱に長い時間は耐えられない。ならばファストトラベルといこう。
7分、5分、6分の3セットとなったが、満足できるサ活であった。私はサウナにクオリティを求める。なにもなし、オートロウリュ、熱波士など、その時の追加効果により滞在時間を伸縮する。我慢などせず自由な軌跡を描く気高きサ活を心掛けている。
体調不良とて、焦る必要などないのだ。
サ活の最後に、一番静かな温泉に入る。今日はもちろん瑞恵の湯。漢方を含む熱い湯が、壊れた箇所を蘇らせる。

サウナ飯を目指して食堂に進むと、ラストオーダーは22時と、休日より30分早くなるため、ありつけずサイゼリアに入る。
目端に留まったのはエスカルゴのガーリック焼き。サウナの熱は抑制心を鈍らせる。私の脳には好奇心と挑戦心しか残っていない。
秋口のサウナには新しい扉が待っていた。

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サウナ即身仏卍

2019.09.29

2回目の訪問

夕方を僅かに逸れた頃、バイクと私は高速を駆ける。明日から3日間、滋賀で仕事があるのでいっそ大学時の先輩の家に泊まってしまおうという計画である。ととのってしまおうという計画でもある。

今月2回目となる水口温泉つばきの湯は全国から湯を取り寄せたり、サウナではオートロウリュ、熱波師もいたりと飽きの来ない、いい温泉である。さあ今回はどう来てくれるのだろうか。
サウナに入ると人は疎らで、子供が大人に様々な分野で挑戦するという番組が流れていた。このサウナでは毎時オートロウリュがあるのを知っているため、先輩の時計でタイミングを見計らう。まだ時間があるので2セット目に入る。
話は逸れるが、私こと山吹は造園士である。常に自然と隣り合わせの職業であり、雨になると仕事はできない。仕事中に降られることもある。故に天気予報が外れては予報士に悪態をつく始末である。
想定外の嵐が来た。ばかな。オートロウリュはあと30分は先のはず......しかし動き出す装置。不意討ちを受けた私はまさに仕事中だった。
ゲリラロウリュである。

なぜこんなに早く来たのだろうか。疑念がととのいの邪魔をする。そして先輩と共に3セット目へ突入すると、
なんと来たのは雪を纏った雲だった。
サウナーに配られる氷だらけのおしぼりは過酷に熱された身体へのオアシスだろうか。そして最上段の私のもとへ。
「すみません、おしぼりなくなっちゃいました。氷で良ければ......」
ここで私は、たとえサウナ内であろうと自然から逃れられぬ宿命であることを知る。
そうか、なるほど。では霧の中を行こう。
ミストサウナ内を軽快に進む。かつてバイクと共に霧降高原を駆けたように。
『21時から熱波士によるロウリュがありますのでーー』
予定より30分は過ぎているが行くより他に選択肢など!
サウナの前で気合いを入れる雄壮な熱波士。大団扇より送られる風は息をすることを許さない。だが私達は最上段に登る!
熱さは痛みに変わるがそれもまた自然である。いやーー私こそ自然なのかもしれない。
どうやら先輩の時計に30分の大幅なずれがあったようだが、自然とは常にわからないものだ。
今までの中で最高のととのいが9月30日、風の中に消える。
秋が来る。

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サウナ即身仏卍

2019.09.25

1回目の訪問

水曜サ活

私はバイクと共にいつもの通勤路とは違う、狭くしかし車通りの多い道を走る。何故かというのはいうまでもなかろうが、あえて説明をすると、仕事中に毛虫の大群に撃ち抜かれた、である。
最近の流行りであるラグビーのラガーマン達は怪我をしてもやかんで水を掛けたら治るらしい。
私にしてはやかんの水をサウナと置き換えて差し障りはない。サウナで解毒は完遂できる。
なにも考えることなくタワーサウナに入る。広い。まるでドームの観客席だ。ここまで広いと熱を保つのにも費用が掛かりそうではあるが、2基のヒーターが働いている姿が頼もしい。
しかし残念なのは民度の低さか。他人の迷惑にならぬよう、看板や放送で呼び掛けているのにもかかわらず、大声で喋る者の多いこと。これはサ活云々以前の問題である。おおよそ文明人とは程遠い。

雑音にうんざりしながら外へ出る道すがら、フィンランド式サウナが視線を送ってきたのがわかった。私としては湯に浸かり、この低俗な空間から足早に去りたかったのだが......フィンランド式、というところに惹かれた。
中に入ると、はて?暑くないぞと気温計を見てしまう。針は70度前後をさしている。これは長く熱を楽しめるじゃあないか。
5分ほど入っていると加速度的に熱がやってくるのがわかる。気持ちが良い。このサウナにはテレビもなく、サウナにだけ集中していられる。気持ちが良い!

露天スペースに出ると半分近くが外気浴スポットであることに戦慄する。椅子や寝転び用の畳がそこかしこにあることに、オーナーの愛が現れている。

今回はタワーサウナ1回5分、フィンランド式サウナ3回20分の4セットであった。
私は最後に一番静かな湯に浸かるまでがサ活であると考えている。サウナのことばかり気にして湯を蔑ろにするのは礼儀に失すると考えているからである。
どうやらここでは露天風呂が適任のようだ。適度に熱く、そして三重県から来た温泉成分が私をととのいへ連れて行ってくれる。

一時はどうなるかと思ったが、全体的に評価が高い施設である。そして私は自販機へ向かう。今日は水曜日。そう、水曜サ活の日である。自販機が計5台あるのは行きしに確認済みである。いざイオンウォーター、さああ!

ないのであった。

山吹怒りの通常サ活。

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サウナ即身仏卍

2019.09.21

1回目の訪問

竹殿湯

[ 京都府 ]

今日の仕事は雨の中。平均気温より5度ほど低く、サウナが私を呼んでいた。オートバイに乗ると身体が震えるのは、在りし季節の喪失感ゆえだろうか。
竹殿湯(たけとののゆ)は職場から程近く、まだサウナイキタイに登録されていない銭湯だ。新雪を踏む、とは気の早い表現であるが......施設登録に名を残せたことを喜ばしく思う。
竹殿湯は道路に面しており、駐輪場があるのでバイクを停める。店内に入ると靴箱があり、男女の隔たりがある。暖簾をくぐると番台がある。昔ながらの渋い出で立ちだ。
浴場はなかなか狭い。深風呂、ジャグジー、薬湯、電気風呂とあるがどれも小さめだ。しかし私にとってこれはマイナスとはならない。何故ならその分早くサウナへアクセスできる。ようは気の持ちようだ。冒頭で私を呼んでいたサウナがまさに君だったと確信する。

いま行くよ。君のもとへ。

扉の強化ガラスに多く入ったひびにエスコートを受ける。これまた狭い。4人以上入ることはお薦めしない。しかし100度を超える高温と、高い位置にあり外が見えない窓、そこにインテリアの如く並ぶ砂時計や炭。なんとここは秘密基地か!大人になって久しい私ではあるが、童心が騒ぎ出すのがわかる。
そこににわかにスピーカーから恋待ち夜雨が流れると、もう涙のぶんまで汗が流れてくるのだ。

水風呂もまた小さいが深さは十分あり、言うことなどない。しかしこの竹殿湯、外気浴ができないのだ。しかし浴場を出た先に高めの風呂椅子があることを見逃さなかった。椅子を通行の邪魔にならないところに移動し、縮こまるように外気浴をする。
しかしこれも私にとってマイナスとはならない。眼を瞑るとテレビの音が人の賑わいを演出し、そして行き交う車の音は潮騒である。
私はあろうことかこの京都市内で、あるはずのない海でととのっている!
気の持ちようでサ活は七色に変わる。現代社会の喧騒の中で、誰もが失いつつあるものが、このサウナにはあるのだ。

私のサウナルーティンはサウナ→水風呂→外気浴を3セットした後に、その銭湯、温泉の中で一番静かな湯に浸かるというものだが、竹殿湯の深風呂は丁度良く熱く、身体を芯まで温めてくれた。
竹殿湯のサウナと風呂が織り成した衣は、帰路に着くまで脱げることはなかった。

ああ、きみはそこにいたのか。

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サウナ即身仏卍

2019.09.16

1回目の訪問

太陽が雲に隠れ、夏の熱をしばらく忘れつつ私はバイクに跨がる。
今日は仕事が休みなので、私にサウナの道を示した先輩の家を訪ねに高速を走る。
私は先輩宅の庭仕事に、先輩は私のバイクを整備にというわけだ。双方の仕事が終わる頃にはサウナの中というわけだ。

今日は特別な日になる。先輩に誘われるままサウナに入門し、サウナのルーティンを学び、合わせるようにしてきた。しかし先輩と私は同じ人間ではなく、サウナを行く道もまた違う。
今日は巣立ちの日であるのだ。

水口温泉つばきの湯にはオートロウリュウが備わっており、身体を洗い終えた私達がサウナに入る頃には7分後に起動するという。初めて体験するが、これはまるで若鳥を高く掲げる風のようではないかと、そう思っていた。
三段ある中、最上段に登り、その時を待つ。合図があった。サウナストーン周辺がライトによって照らされる。
そこから5秒後、気道と耳が燃えるような熱さに悲鳴を上げる。
それは嵐であった。

水風呂は16度ほどで、リクライニングチェアーが3基、普通の椅子も多くある。ととのいスポットには事欠かない、豪華な仕様である。
叩き落とされた無様な鳥は冷たい海を長く漂っていた。やがて砂浜に打ち上げられると、羽根が乾く感じがする。するとまた飛ぶ練習を始める。これが3回目となる。
4回目にまた嵐がやってきた。先輩と道が交差した時、迷わず最上段に登る。
鳥とは高みを目指すものである。
容赦のない猛烈な風の中を行く。やがて暗くなり、ロウリュウが止まる。熱い風がサウナの中で消えていくのを感じる。

外気浴をしているとき、子供がサウナと水風呂に入っては我慢できずにすぐ出てきてしまうところを眺めた。
その眼に映ったのは、かつての私だった。

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サウナ即身仏卍

2019.09.07

1回目の訪問

加茂湯

[ 京都府 ]

長く続いた肉体労働の日々に私の身体はととのいを求めてバイクを駆る。職場から10分もかからないところにこの加茂湯はある。
その10分足らずの記憶は、どこにもなくなっていた。
駐輪スペースがあり、そこにバイクを停める。狭い。番台が間近く、430円を払うとすぐに脱衣場だ。

ーーーこの素晴らしい入浴速度!

ここで私は失われた記憶を取り戻すこととなる。加茂湯は京都に有りがちな一方通行の道に面している。GoogleMapのラグにより遠回り、ストレスを受けることとなった。
まさに想定したかのような店構え!これは期待が持てる。脱衣場と浴場の間に椅子があり、外気浴を匂わせる。
浴場は熱めの風呂と薬湯であり、ジャグジーやマッサージを楽しめる。限られた立地の中で無駄がなく、満足できる。そしてその奥にあるものに私は用があるのだ。
過酷な労働の日々であったがととのうためだ!いざ!
突如として私は視界を奪われることとなる。まさか疲労が眼にもくるとは。いや違うぞ、これは......。
ここまで長々と書いてきた私ではあるが、実のところサウナー歴は恐ろしく短い。まだまだ経験が浅く、スチームサウナの存在を認識できてはいなかったのだ。
まさか、これほどとは!サウナ内は一段のみの対面式であり、出窓にある砂時計のガラスに無駄を嫌う店側のこだわりが光る。
おお、引き算の美学よ!感動が砂時計を2回まわし、私は深き冷水に誘われた。
浴場から出てすぐにととのい椅子があるのも、きっとこだわりなのだろう。
大型の扇風機のそよ風が、心地よい。

蒸気のサウナと こだわりに
我ら人の子の 喜びはある

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サウナ即身仏卍

2019.08.16

1回目の訪問

但馬漁火ラインをバイクで駆ける。流れる夏の風景の先に矢田川はあった。
矢田川を駆け下り、そしてこの温泉にバイクを停めるのは、全く自然なことだった。

自動扉を抜けるとしんと静まり返るようなしかし温かいロビーが迎えてくれる。
はやるきもちを抑え、入場する。
ああいざサウナ。いざいざ......。

サウナの熱気はいつもと違ってみえた。
なぜか?
それは高校球児達がサウナを盛り上げていたからだ。18ー0という絶望的点差の9回裏、それでも諦めず球児達は打つ。間違いなくこのサウナの熱さは甲子園の熱さだった。
彼らの顛末を見届け、水風呂になだれ込む。露天には二人は寝転がれるであろうベンチがあった。景色は最高であり、心ゆくまでサウナを堪能できたと思う。

美しき川よ 矢田川の 熱きサウナは わが心

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サウナ即身仏卍

2019.08.15

1回目の訪問

台風から逃げるように連日の外仕事を終え、たんたん温泉・福寿の湯へとやってきた。
くつろげる道の駅といった出で立ちで、地元の商品が立ち並んでいた。

そんなことよりサウナなんだ。

入場すると岩風呂を彷彿とさせる内風呂が現れる。サウナを探す。外か!
広い露天スペースがあり、一つの小屋が目に入る。これだーーーー。

2重扉というこだわりが冒険の始まりを想わせる。テレビがあり、それと同時に露天の景色も楽しめる窓がある。視界が嬉しい。
2重扉の出入口を出るとすぐに水風呂がある。水温は地下水のそれであった。
木製のベンチが2基あり、台風の雨風が荒々しく整いへ誘ってくれる。
嗚呼、嗚呼ーーーー。

日本列島に 昇る台風を 大きな怪獣は サウナで迎えてた

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