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サウナ即身仏卍

2022.10.16

6回目の訪問

蒲生野の湯

[ 滋賀県 ]

日曜日の今日は天高く、車やバイクを走らせれば予想だにしないところまで到達できそうではある。しかしながら私は車を滋賀県は竜王くんだりに向かわせた。
仕事である。
主なき邸宅の庭仕事だ。仕事をしているとなんとわんこそばのように仕事が増えた。若輩の休日としては些かしみったれている。
陽が落ちて、明日の仕事が此方を見始める頃、私はこの蒲生野の湯に飛び込んだ。
まだ早かったのか駐車場には空きが見受けられた。入り口には体温計が設置されているが私には反応しなかった。これは人間ではなく魑魅魍魎の類であると機械が認識したためだ。
休日に仕事をするものには人権がないのだ。
サウナは上部が満員であるが、このようなシチュエーションではサウナストーブの対面に座る。いわゆるインファイトスタイルが採用される。テレビも角度的に見れないので、ここにいる者にはサウナに対する不退転の心構えが見てとれる。
露天では源泉が満員御礼であり、がら空きとなった外気浴スペースにストレートで自身を投げ込む。
サ活も最終回を迎えたが、あいにく野球中継は映っておらず、サウナ内も私だけだ。
そこには秋が立ち込めていた。
最後の外気浴は源泉でと、黙浴の看板に促され静かに浸かる。
するとある情景が浮かぶ。これは竜王の、金色の稲穂たち。次々に頭を垂れるその向こうに、遥か遠いが鮮烈に輝く夕陽が見えたのだ。
私の右腕は日頃の酷使により疲労骨折をしているが、骨折り損のなんとやらにはサ活のお陰でなりそうにもない。

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サウナ即身仏卍

2022.08.17

5回目の訪問

蒲生野の湯

[ 滋賀県 ]

昨日のサ活を書いていたが寝落ちのため本日投稿である。

お盆開けの1日であろうか、滋賀県の庭仕事へ向かう。勿論この4日間全て仕事であった。
滋賀県の仕事は道具が全て置いてあるので身一つで向かう。このとき軽トラではなくミニクーパーを使うと、所謂休みとカウントされる運びとなる。
いい気分で竜王ICへ降り立ち、休みだから庭仕事をする。私は何を書いているのだろうか。
蒲生野の湯はご当地スーパー銭湯であり、まだ日が高くても地元住民が足を運んでいる。
サウナ内は三段仕様となっているが、勿論この時期は甲子園の応援席だ。1段目しか空いていない。サウナストーブの真ん前に座ると高校球児がダブルプレーに沈む。相変わらずの甲子園の熱気だ。高校球児はもちろん応援団、そして吹奏楽部の皆様がこの熱気を、仕事しかしていない悲しい生物である私に届けてくれる。ほとほと頭が下がる思いである。
外気浴では源泉を選択する。地元の爺は値上げがどうたら、病気がどうたら景気の悪いことだ。もっとこう、マイケル・ジャクソンが墓から出てきたとか景気の良い話題が欲しい。ディス・イズ・イットのコンサートはスリラーから始まる、開始から1分動かなかったこともあるし数年なんてなんてこと──

気がついたら私は外気浴スペースで横になっていた。仕事疲れで長い時間を眠っていたようだ。どうやらマイケル・ジャクソンではなく美空ひばりさんの気分だったようだ。

美空ひばり「終わりなき旅」より最終文章、一部引用。

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サウナ即身仏卍

2022.08.14

4回目の訪問

世間ではお盆休みの時期だが、先祖は供養される覚えはないと私を仕事に駆り出した。丹後は久美浜で庭仕事、となればたんたん温泉にくるのは私の切った木々のように自然なことである。
浴場へ入るとどうしたことだろう、子供連れの大にぎわいだ。
平日のはずだが……首をかしげながらサウナへ避難する。テレビは阪神対中日を流しており、そこを観客席と言わんばかりに常連客が並んでいた。常連がこぞって阪神を応援する。その瞳に宿るのは但馬の漁火か、どうやら不漁が続きそうだ。
外気浴をしていると──露天には天然水の出る蛇口があるのだが──常連客がものすごい勢いで浴びるように水を、降らせながら飲んでいる。体型と性別さえ気にしなければ福寿の水で戯れる妖精である。亜麻色の髪の乙女でも脳内で流しておこう。
日が沈み、空の色はいよいよ黄色から青のグラデーションを呈してきた。
私の持っているネックレスをふと思い出した。もちろん家に置いてきたが、遠くに来ている今でもそれは家路への道しるべだ。ブラックラブラドライトと同色の空を露天風呂のみなもに浮かべよう。丁度よく独り占めできるぞと急いで浸かると、黒松の針のような葉に、それこそ無数に撃ち抜かれた両腕が悲鳴をあげた。しかしそれも一時でありやがて湯とまじわり溶けていった。
静かな露天に滝組みがあり、ぴしゃんと音がして、熱い川水が駆け落ちる。湖面にうつる宝石がその輝きを隠すまで、ずっと見ていた。

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サウナ即身仏卍

2022.06.14

4回目の訪問

蒲生野の湯

[ 滋賀県 ]

真夜中の名神高速道路をミニクーパーで走り抜ける。降り立つのは竜王のインターチェンジ、パワースライドの窓から来る風はこの季節にしては冷たい。外気浴をするにも心臓の弱い私には厳しいものだ。
それならばと来たのは菖蒲野の湯。降りた頃には17時を回っていた。
平日なのか人は少なめ、サウナ最上段も難なく座れる。テレビはCMに入っている。
家庭教師のトライがアルプスの少女を歌わせている。メロディだけで聴いていた男がぱっと目を上げる。正体を知るとなんともなくため息を吐いてまた俯いた。
外気浴はもちろん源泉を選ぶ。38度程度の温度はこれから来るべき季節を先取りしていた。しかしながら近畿は今日梅雨入りを発表しており、真ん中に立つ傘の中に隠れる。今日見た紫陽花の色を瞼に浮かべ、弱い心臓が落ち着くのを待つのだ。

地元の男が二人、源泉に入ってきた。今日は寒いな、と私に話し掛けてきた。
外にいると寒くて敵いません、と相槌を打つ。
他愛もない話を終えて、また私はサウナへ向かう。
この3セット目が一番難儀した。
先ほどの男二人と缶詰めの話をしていた。昔はクジラの缶詰めがあって、カツオが安かった。俺らが子供の頃はこれがずらりと並んでいてな。そういえば今日は雹が降ったらしいぞ。メロンがまあ、打撃だな。俺らの頃じゃあ、「マクワ」で育ったもんだ。意外と美味くてな──
私が言いたいのは腹がすいて難儀した、ということではなく、恰幅の良い男の、
缶詰めといえばサバ。水煮があるでしょ。あれに玉ねぎ刻んで、マヨネーズかけていい。それで食べればこれうまい。栄養あるし、玉ねぎだったらその辺で誰かが作ってるから。
というレシピを熱に溶かさないようにするのが、なんとも難儀した。
男の身幅とその説明の丁寧さが、このレシピの完成度を裏付けている。
ここまでの長々しいサ活は、いわば備忘録であったのだ。








最後に、なぜこの竜王に来たのか、17時まで何をしていたのかを、ヨーデル食べ放題を替え歌にしてお届けしたい。

シーゴトやり放題
歌 山吹
おー仕事 おー仕事 やり放題
(ヤリホゥ!)
(ヤーーーリホゥ!!)
(Prrrrrrrrr.....HAW!!!!)
月月火水木金金 木金金ヨレイヒ
去年の年間休日15日 15日ウヨレイヒ
文句を言わずに笑顔で働け やり放題
早くやるほどお仕事増えるよ 取り放題
労基は適用外
ハッピーおしごとパラダイス

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2022.03.30

7回目の訪問

京乃湯

[ 京都府 ]

18mほどあるケヤキの強剪定を終え、61度目の連続勤務を終えた私の財布の中の回数券が春を感じる時が来た。
まだ外は明るいようでもここ京乃湯には周辺住民達が集い始めている。人気のない銭湯が好みだが、これもまた風情。
浴場のドアを開けると、天下無双の聖四文字が私の眼鏡に眩しく映る。あれはウェルカム和彫り、京乃湯の名物である。
身体を浄めてサウナへ入場すると、私はポーカーの席に座ることになる。
サウナイキタイを御覧になる紳士淑女の皆々様はポーカーについてご既知で在られるでしょうが、改めて、ざっくりと説明致します。
ポーカーとはトランプ・ゲームの一種であります。5枚のトランプを配られ、またその中の1枚を任意の回数だけ交換して役を競うというものです。その1動作毎に賭けるコインを釣り上げたり、勝負から降りたり......を選択する、駆け引きを楽しめるゲームです。

サウナ室の2段目から見る私の手札はなんとTEN(下無双)、(和彫りが背中を)JACK、QUEEN(天女)、KING(ギドラっぽい竜?)。
ここでエースがくればまさかまさかの社会の暗部でロイヤル・ストレート・フラッシュの完成ときたものだ。これには普段仏頂面の私の顔すら色めき立つというもの。
だが覚られては折角のこの切り札で大勝負はできない。私は近視と乱視によりテレビ睨み付けるというものでポーカー・フェイスを保つ。
ジリジリと灼けるような熱気の勝負、喉の奥までドライだ。
しかし肝心の1枚が来ない。しかしこの手札で狙わなければ男がすたる。
交換は既に3セット目、ショウダウン(手札公開)の刻が近付いてきた。弱い心臓が悲鳴をあげる。この1ゲーム、実に1時間半の長丁場。
駄目だ、揃わない!ストレートすら揃うことなく結局手札はKハイ、ワンペアにも満たないクズ手と成ってしまった。
項垂れながら脱衣場へ向かう。
するとにわかに一人のカードが脱衣場と浴場を隔てるドアを開け放つ。
それは肩だけを色入れした、カードの真ん中にぽつねんとあるマークを連想させるものだった。

エースが来た。

そう、ショウダウンは脱衣場で行われる、つまり浴場を出るまでがサ活なのだ。最後まで諦めてはならないということを黒のロイヤル・ストレート・フラッシュが教えてくれたのだ。
遅れてきたエースとのすれ違いざま「ありがとう......」と自然に漏れた言葉は心の音に他ならなかった。

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サウナ即身仏卍

2022.02.20

1回目の訪問

34連勤の肉体労働欲張りセットに私の身体は労働対価としてサウナを要求した。安い身体である。
今日はここ、京都は桂にある仁左衛門の湯へやってきた。古ぼけた外観は危険な雰囲気を醸している。
浴場は二階にあり、日替わり浴場になる。
入場するとどうしたことだろうか、湯気で前が見えないのだ。視界1mの濃霧といったところか。露天へ向かう道すがら、塩サウナなるものを発見した。
中へ入ると中心に塩の入った盃があり、それを囲むように男たちは座る。まるで合戦中の兵糧だろうか、飯を掴むように塩を掴み、身体へ塗るのだ。なるほど所々が塩で滲みる我が身体は合戦で傷を負ったのだ。塩と、フィンランド式のような温度と、水道よりとめどなく流れる温水の湿度で癒さなければならないのだ。
露天風呂に入ると、ここの泉質はやたら滑りを帯び、塩サウナの玉子肌と触れ合うと、あの時を思い出してやまない。
なんと私は入り口付近にあるサウナを見逃していた。慌てて入室するとドライで、薄暗く、良いサウナである。リアス式海岸のような形をした室内は、どうにも夏の予感がする。このサウナがガツン、とくるのもそういったところが起因するのだろう。
冷泉の水風呂で身を引き締め、外気浴をしながら露天風呂を見ると、若年層が群れを成しているのがわかる。二段目の露天風呂には常に大人数がところせましと入っているのだ。
内湯に入ると、薄ぼんやりとした中で男たちが群れている様が浮かび上がっては消えていく。
どうにも妖しい光景だ。色々な事象が科学で解明されている昨今ではあるが、さて、ここのことも是非とも解明して頂きたいものだ。私に結果を話す必要はないが。

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2021.12.10

6回目の訪問

京乃湯

[ 京都府 ]

12月も2桁目となり、日本シリーズは激闘の末ヤクルトスワローズが天下を獲るに至った。野球界は本格的なオフシーズンに入ったこの季節、ついに皆様お待ちかねサウナマックスシリーズが始まる。
SuNAイキタイベイスターズ7番、サウナ即身仏山吹選手は25連勤中と上々の仕上がりだ。バッティング難(過労によるサ活書く気力なし)と怪我に悩まされる選手でもある。
試合開始。なお本球場は京乃湯、サウナが最奥にあり、脱衣場から遠いためホームランの出づらい球場だ。
試合開始!山吹の1打席目。なんと眼鏡を外し忘れダブルプレー!二度も扉を開けることはチームの逆風になりそうですね。
しかしこのサウナマックスシリーズは延長が認められているので、打席はまだまだ来ますよォ~~!
さあ本日2回目の山吹の打席。
ああっ!
京乃湯のサウナーボックスはヒノキの板をビスで留めてあり、そのビスが蓄熱してしまう。これは痛い!山吹選手デッドボールで出塁します。
でも上手く背中で受けましたねェ~~怪我の多い選手だから気をつけてるんでしょうかね。
ドライな投球に対してデッドマン・ワーキング打法で対する山吹の3打席目、サウナに出塁者はありません。汗の粒と同じだけ打たれるファールボールには十分ご注意下さい!
空振り3振~~!!
爺さんが水風呂のど真ん中、山吹捉えられなーーーい!!!
試合は0ー0、延長に入ります!
フルカウント(不整脈)で迎えた4打席目。山吹は外気浴低めを狙い、バイクに跨がります。
赤信号がアウトカウントを示唆するその時!
山吹選手、打った、打った打ったァーーーっっ!!!
高々と上がった打球は京都の南の空に緑色の閃光を放ち、2つに分かれて消えた。それは隕石が燃え尽きる瞬間であり、それを間近で見られたことは、長打者ではない山吹にとってまさに奇跡の流れ星であった。
「これがホンモノのスターナイトじゃあっ!!」
その奇跡の体験はバイクに跨がり外気浴をしていた私に究極の整いをもたらした。
今試合の特大ホームランのようにプロサウナ選手達は瞬いては燃え尽きてゆく。燃えるような熱が渦巻くサウナマックスシリーズはまだ始まったばかりである。

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サウナ即身仏卍

2021.10.31

1回目の訪問

庭師として今年独立した身であるが、その労働体系に見かねた友が私を伊勢志摩へ連れ出した。
療養である。
内宮での参拝を終えて、おかげ横丁で地ビールとつまみを買い込む。緋扇貝の出店があり、物珍しさに食べてみるとこれがまた酒に合いそうだ。旨味とえぐみを強くしたホタテのようだ。つまみとして売られていないのが悔やまれるが。他にもバイ貝などの珍味や、貝から採れる真珠が通りを彩っている。
療養先は大江戸温泉物語 伊勢志摩である。
友の勧めにより、全身マッサージを受けることになる。マッサージ師のお姉さんの照れた顔が忘れられない。
さて、大江戸温泉物語のサウナは浴場に入るとすぐ左手にある。新型コロナウィルスが流行る前なら10人は入ろうものだろうか。テレビはなく、恐ろしく乾いたサウナだ。放っておけば汗まで乾くことだろう。この土日では子連れが多く、サウナは人気が少ないので好都合だ。ただそのこともあってか水風呂はない。露天風呂では英虞湾が一望できる。静かなサウナに水面も静謐......まこと療養である。
9時丁度になったとわかるように、遠い山に陽は落ちて、の時報が鳴り響いた。リアス式海岸の複雑な地形がその音色をくぐもらせた。それは螺旋をえがいてうねりながら、夜の帳をすり抜け、はるか英虞湾の向こうに消えた。
酒盛りを終えて4時間後、私はまた大浴場に向かう。朝にサウナとはもはや犯罪ではないだろうか。
ここの露天風呂は日の出が丁度見える方角だ。残念ながら曇っており、二枚貝の裂け目のようにオレンジの空が見えるばかりである。サ活を終えて露天風呂を漂うと、貝の裂け目より朝陽が溢れる。緋色の真珠のようだ。
ウェストミンスターの鐘が螺旋を描き、今日1日の始まりを告げる。
身体を洗い流し、浴場から出るとき、貝は閉じてしまい、真珠を見ることはできなくなっていた。緋扇貝には真珠がつくとは聞いたことがないが、そこには確かにあった。
それは神々のおわす伊勢志摩が私に見せてくれた奇跡であったのだ。

緋扇の真珠や
伊勢志摩の
朝に燃ゆ

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サウナ即身仏卍

2021.10.14

5回目の訪問

京乃湯

[ 京都府 ]

個人宅の庭を手入れしていた。ふと見上げると、ハイビスカスの花が高い空に漂っていた。正反対の色なのに、混ざり溶けて消えゆくまで、そう時間はかからないだろう。
もうすっかり、秋なのだな。

京乃湯に来たのもさて何時ぶりだろう。前回のサ活投稿から2ヶ月が経つが......サウナに行っていないことはない。ただサ活投稿する気力も体力も残っていないだけだった。
つまりはスランプだ。丸やサトテルのように打率が落ちているのである。
サウナシリーズ中で山吹選手は二軍で調整する運びとなった。
2軍ファームの玄関をくぐるとアットホーム感漂う大広間だ。奥の居酒屋や古い映画のポスター群が私に調整しろと囁く。
ファームは昔ながらの銭湯の出で立ちを取っており、最奥に球場がある。まずは手前にある飾り気のない湯船でバッティング練習をするが、コロナも相まり歓声も起きない。
静かなものだ。
球場で二軍戦が始まる。少し下を向き、僅かな視線を恥じらうようにバッターボックスに立つ。ひりたつ感覚は二軍特有のかわいたものだった。ひのき特有の香りが強く一軍復帰を渇望させる。打った。サ中間を抜ける球を尻目に水風呂へ飛び込む。
三打数三安打という好成績で2軍戦を終える。ユッカの濁り湯に浸かると、コロナ前の声援を思い出すようなジャグジー音が響き渡る。が、今の私には勿体ないように思えて、静かにバッティング練習に戻るのだった。
ロビーを通りすぎるとき、えもいわれぬ居心地のよさを感じた。しかしサウナマックスシリーズを戦うため、SuNAイキタイベイスターズ山吹選手の研鑽は続くばかりである。

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サウナ即身仏卍

2021.08.15

3回目の訪問

刺さった剪定鋏は大臀筋までに達し、長らくサウナ選手として療養を余儀無くされた私は盆の手入れをしに丹後半島へ。サウナの復帰戦として、治療が終わっても他のサウナには行かなかった。
鋼の意志である。

復帰を歓迎するかのように、通路向かって右側の湯が男湯となっている。本球団はここをホームとする。日によって同じ場所なのにホームとアウェーが入れ替わる、珍しい球団だ。
入場すると既に洗面台が満塁であり、掛け湯をすると同時にサウナへ飛び込む。このとき天然水の水風呂に一礼を忘れないセーフティー・スクイズを決める。
サウナ内のテレビは甲子園の終盤を映している。2ー1の手に汗握る展開はサウナの熱を押し上げる。復帰戦で本調子ではない私には、過分な栄誉ではなかろうか!
試合終了とともに退出する。水風呂の中で掬ったそれは、球児たちの涙に他ならない。
さてサ活も3回表、心臓が弱い私にはまさにクライマックスである。
テレビを見ると、まだ甲子園が映っている。最後の一礼だろうか......?と首をかしげていると、なんと今から試合開始だということが言葉なしで解るように高校球児達が相手に向かい突進、一礼をする!
甲子園、ナイター突入の瞬間だった。
身に余る光栄......!汗と涙が交錯する復帰戦。球児達に感謝しかない。
素晴らしい勢いの中、3塁打により先制点のチャンス。いいぞ、その熱で私を押し出してくれ!
球児は打つ。その矢のような打球と同じスピードで、球児はホームベースへ、私は水風呂へ飛び込んだ。

サ活を終えて露天風呂をたゆたうと、天然水の出る蛇口が目に入る。入る水、飲む水が天然水なら、降る水すら天然水だ。全ての水にありがとう。
たんたん温泉でのサ活復帰戦は礼に始まり、礼に終わる。大切なことを球児に思い出させてもらえた。
今年の夏はまだ終わりそうにない。

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2021.05.07

8回目の訪問

久しくこのサウナイキタイに投稿していなかったのは、新型コロナウィルスに遠慮してのことではない。独立後現在に至るまでの休暇日数が7日という環境の中で生存するため使ったサウナは枚挙に暇なく、ただ筆を取る余裕まではなかっただけだ。最近の若者は飽きやすいだの何だのけたたましい、いい歳して何時までもうだつのあがらない詰まった排水口のような輩がサウナイキタイに居ないことを願うばかりである。
先輩とともに水口温泉つばきの湯へ。換気を気にしてか、廊下の時点で宮城県の鳴子の湯が薫り立っているのがわかる。この配慮はたとえば私が失明していても、サウナへ導いてくれるだろう。男女の別までは知らないが。
ここのサウナの熱は強力で、1時間毎にオートロウリュが為される。新型コロナウィルスを熱で焼き切るを地でいく攻撃的なサウナだ。20時は逃したので、21時と22時に入るルーティングをとる。入場すると、サウナの戦士達が隊列を組んでいる。私は最上段ヒーター側、前から見ると最後列であるが、戦いはここから始まるため最も名誉のある配置だ。
サウナより出たる我が身はこのときばかりはスパルタの戦士である。本来傷を癒すためのサウナなのだが......。

サ活を終え、先輩と露天風呂に入っているとタイタニックのメインテーマがにわかに流れてくる。ぬるま湯のテレビから、まさに最高潮のシーンである。熱く愛し合った二人のいた場所は、今は暗く冷たい水底に。
「これサウナみたいじゃね?」
タイタニックはサウナ映画だったのだ!?

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2021.03.02

7回目の訪問

仕事に資格試験とサウナへ行けずに歳月が過ぎ、私の髪も結べるほど長くなっていた。まるで馬の尾のようとはいかずとも、水口温泉つばきの湯競馬場へ。
薄暗い曇天のなか、おっさんの汗が降りしきり、馬場の状態は重となっております。
出走馬の紹介に参りましょう。一番人気は13番ハモスオフロード。仕上がってますね~同出走馬で同血統(大学の後輩)であるカリュウドヤマブキとの勝負、注目です。二番人気は1番ライクヨコヅナ、8番カリュウドヤマブキはストレスにより前回より2kg減、三番人気です。
今全ての出走馬がゲートイン......スタート!!
あっと──落馬ですね4番オイボレジイチャン、タオルを落としてしまったァー!
先頭に出たのは2番トキオヤマグチいい滑り出しだ。この馬はどこか誰かに似てるんですよね。
その後を二番人気ライクヨコヅナその体躯は後続のプレッシャーをものともしない!
続くように一番人気ハモスオフロードここにいた。貫禄の走りですね余裕の表情だ。
そこから開いて三番人気カリュウドヤマブキ少しスピードを上げてハモスオフロードの背に付いた!
第3コーナーを前にハモスオフロード、コーラを購入!ここで温存して第4コーナーで仕掛けるのか!?カリュウドヤマブキも購入......あれはリアルゴールド、リアルゴールドだ!!どうしても勝ちたい気持ちが伝わってくるほどのリアルゴールドだッ!!!
第4コーナーを曲がり勝負はオートロウリュに持ち越された!カリュウドヤマブキ(サウナストーブの)前に出る!前に出る!!水口のロウリュは厳しいぞ!!これは後続はもう追い付けませんね......!
ハモスオフロードが外からジリジリ上がってくる!あと200m(秒)!!両者並ぶ!両者並んでゴールインッッ!!
カメラ判定の結果は──!?



──というところで我に返った。4セットのサ活を終了し、露天風呂の月替わりの湯に私は漂っていた。
硫黄のにおいが心を安らげ、身体のこわばりをほぐしていく。
ふと泉質説明に目をやると、

群馬県 草津温泉の湯

なるほどこのサ活で馬が群れるわけだ。

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2021.01.08

4回目の訪問

京乃湯

[ 京都府 ]

忍び猟にて3才の雌鹿を追い詰め、薄氷張る池へ沈めた今日の夜はサウナへいこう。
Twitterのほうでフォロー、いいねと熱烈なアプローチを受けた京乃湯へバイクを走らせる。少し前にプロ野球選手のFAが話題に挙がっていたが、身体の芯まで凍り付きそうなこの時季は、プロサウナー選手のFAが始まるのだ。
2年で3500円11回登板という大型契約にサインし、いざキャンプ地へ。
21時といつもより遅く入場した私は手早く身を清める。換気の良い京乃湯ではあるが、この時季にそれは辛い。
今年初サウナへ入場する。なんということだろう。ガ体が私より遥かに良い男が3人、髪色も私とは違い、彫られた地肌が私に思い報せる。
私が手にしたのは、海外FA権だったのか──!?
しかし場に呑まれてはいけない。このままでいいはずはない。大和男子として気概を見せねばなるまい。手始めに3人が出るまで粘る。1人また1人抜けていく中目にしたのは、先ほどの外気もあるだろうか、水風呂に浸からないチームメイトの姿だ。

ここだ。

3人目が出た後、つまり全員がサウナから出ている状態で私は水風呂へ沈む。まるで今日仕留めたあの鹿のように。
3セットを終える頃には、私達の間にあった薄氷はどこにもなくなっていた。
チームメイトの1人と同じ湯船に浸かる。どうやら私を仲間だと認めてくれたようだ。今このときなら気さくに会話出来るかもしれない。
「HEYブッキー!こんな時間までここにいちゃカミさんにどやされないか!?」
「カンベンしてくれよ!俺は未だにトップだぜ!」
「「HAHAHAHAHAHAHAHA!!」」
デボラ塩湖の香にゆられ、新たなシリーズが幕を開ける。


「Twitterではフォローといいねありがとうございました」
「貴方の名前は?」
「山吹です」
「ええ~~っと、多分僕がした?かもしれません?」

絶対に忘れんからな。

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サウナ即身仏卍

2020.11.25

3回目の訪問

京乃湯

[ 京都府 ]

ルーティングライフ──孤高のサウナ人──
季節は秋。葛野大路四条をバイクで右折するのは......?
いました、サウナーです。ホモサピエンスの仲間で、急な温度変化に適応した種族です。このサウナーを山吹と名付け、生活サイクルを観察していきましょう。

京乃湯についた山吹は、やや乱暴にヘルメットを脱いで足早にサウナへ向かいます。
狩りの時間です。
身体を清めることで、獲物に気付かれずに近付くことができます。ここ京乃湯にはシャンプーとボディソープが常設されているのも、山吹が好んでくる理由なのです。
ああっ!なんとサウナには別のサウナーが入り込んでいました。このサウナーをノブセリと呼びます。
山吹はサウナーの中でも特に単独行動を好み、邪魔が入ればサウナすら摂取しないという美食家です。山吹はサウナを諦めてしまうのでしょうか......?
なんと!山吹は水風呂に身体を沈め始めました。ノブセリが出てくるまで水風呂から出ない構えです。ノブセリはサウナから出ると水風呂を摂取しなければならないことを、山吹は知っていたのです。心臓に障害をもつ山吹にとってこれは命を削る選択ですが、このサウナ界で生きていくための覚悟の行動です。
たまらずノブセリがサウナから飛び出し、山吹は肉食獣のようにサウナへ飛び掛かります。実に12日ぶりのサウナ。山吹の身体に熱が染み渡ります。
そこに別のサウナー、パンダがサウナへ近づいてきました。山吹はサウナを出て、水風呂から外気浴へ向かいます。
すると山吹はラベンダー&カミツレが香る薬湯へ身を隠します。8分が過ぎた頃、今度は水風呂へ。
パンダがサウナから出てきました!
それと同時に山吹の心臓が限界に達してサウナへ脚を進ませます。
山吹は他のサウナーのサウナルーティンを、回数券が9回目を切るまでに全て記憶していたのです。サウナー達のルーティンの、最小公倍数を求めるように間隙を縫い、山吹はその生を輝かせるのです。
──終──

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2020.11.04

2回目の訪問

京乃湯

[ 京都府 ]

いっそう冷え込む今日もサウナがあれば憂いはない。冷たい風すら振り切って、京乃湯の駐輪場にバイクを預ける。
サ活にはサウナー各々のルーティンがあるだろう。スタンダードなものから湯を挟んだり、それぞれ時間が違ったり。十人十色で皆良いのではあるが、日進月歩、日々是精進也という言葉もあるほどである。
いつものように2階の浴場を上がり、テレビを尻目に脱衣する。また下らないニュースだと心のなかでひとりごちると、それを察したのか一人の老人が話しかけてくる。
どうやらニュースの内容が気に障ったのか、神道の成り立ちから太平洋戦争時の露助のスパイの話など、脱衣場で歴史の講義が始まったのだ。理系の出で門外漢の私ではあるが、今回のサ活は歴史を組み入れることとする。
小一時間の講義を終え、サウナへ入場する。暑さに頭の回転は止まり、先ほどの話を思い出すことはなかった。
天然水で身体を締める。そこでふと老人の話を思い出す。
技術の進歩により、歴史の常識は覆されている。しかしそれは権威などの人為によって秘匿されている──
ではこの天然水を謳う水風呂も、実は付近を流れる桂川から引いたものなのだろうかと、ついつい邪推してしまう。
サ活の締めに、日替わり湯を選んだ。イングリッシュローズの香りに包まれるが、私はそう言えば先ほどの話に英国も出てきたな、と記憶力を鍛えるばかりである。
日替わり湯のみなもはもみじの見頃のように紅くただよう。
まこと紅葉の秋、教養の秋である。

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2020.11.02

6回目の訪問

今日は雨により仕事は潰れ、久々の休みとすることにした。いつもより遅く起きた私と先輩は水口温泉椿の湯へ誘われる運びとなる。
滋賀の秋は一足早く寒くなり、浴場へ入ると日がのぼっている時間も相成り新世界だ。水口温泉のサウナはパンチ力のある気温なので、天高いこの季節におあつらえ向きだ。しかし芯より冷えるこの身体を溶かすにはもう何回かルーティンが必要だ。
三回目にサウナへ入ると、先輩がヒーターを嬉しそうに指差す。とたんに加水が始まると強力な熱が芯の冷えを亡き者とする。
この新型コロナウィルスが蔓延り、一部ではサウナを閉鎖する動きもあった。ロウリュを取り止めることもあり、この熱風を味わうのは何ヵ月ぶりだろうか。
......この熱の中ではさしもの新型コロナウィルスでも駄目ではないだろうか。むしろ推奨するまでありそうだが、そこのところ如何でしょうか水口温泉つばきの湯さん。

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サウナ即身仏卍

2020.10.14

1回目の訪問

京乃湯

[ 京都府 ]

毛虫に全身をやられ、解毒を求めに銭湯へ。バイクを運転するというより担ぎ込まれるかたちだ。ここ京乃湯はかねてより気になっていた銭湯である。ホームページを覗けば、私が気になる理由が解るだろう。
ネオ銭湯と自称する京乃湯の秘匿を、この山吹がつまびらかに語り明かそう。

入店すると、まるで漫画喫茶にきたのかと看板を二度見する。
2階に浴場があり、夥しく貼られている昔の映画のポスターを見ながら階段を上がる。
浴場はまるで普通の銭湯であり、ここでやっと自分がサ活をしに来たことを思い出す。サウナは一番奥にあるのでなにも迷わず入場。広い。ソーシャルディスタンスを気にしなければ16人は入ることだろう。
気分よく座るが刺すような痛みに襲われる。いやこれは熱によるものだ!どうやら座る木の板をビスで固定しており、ビスの皿が加熱された結果のようだ。座り直すとしよう。ドライな印象を受けるサウナは、丁度いいくらいの照明に、テレビが点いている。12分計はなく、砂時計があるだけだ。良い。
ふと気づいたことがある。人気のあるサウナだが、汗の臭いが気にならない。何かしら銭湯側の配慮があるのだろうか?
京乃湯の水風呂は天然水をひいているらしい。天然の水温が不整脈を持つ心の臓に優しい。外気浴スペースはないが、換気が行き届いており、浴場でも同じようにできる。
存分に味わい、もう一度身を清める。蛇口式で途切れることのないシャワー、リンスインシャンプーとボディソープ、そして出力のあるドライヤー。嗚呼アメニティよ。

1階に下りると居酒屋食堂もある。スーパー銭湯とは違ったB級感を味わえる。そしてなんとこの京乃湯、回数券があるのだ。11回3500円と一回にしてみれば公衆浴場レベルである。嗚呼ネオ銭湯あいやネオサウナ。期限も2年ほどある。
一回目なので説明的になってしまった。しかしこれから10回は入るのだからもう考えただけでもととのいそうだ。

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サウナ即身仏卍

2020.10.04

3回目の訪問

蒲生野の湯

[ 滋賀県 ]

日曜日だというのに伐採仕事とはなんとも度し難い。12mのくぬぎに登り、近くに民家があるので上から少しずつ切る。重力、モーメント、樹種によっての特性を考える、慎重な作業だ。しかしここで私はアクシデントに見舞われる。
登ってきたその下枝にオオスズメバチがむらがっているではないか。しかし降りなければ作業は止まったままだ。
南無八幡大菩薩様!!

ここ蒲生野の湯はサ道の先輩により手解きを受けた、始まりのサウナである。今日は私一人で来るというとても珍しい状態だ。
サウナに入ると、左手がじんわりと痛みだす。いいことだ。痛いということは生きている証拠だ。もっと痛むといい。
外気浴はもちろん源泉に入る。ほぼ体温と同じである源泉は、滋賀の10月に慣れぬ我が身に優しい。この源泉の水温は夏の残り香のようだね。
一息ついて、今日の作業を振り返る。オオスズメバチに警戒されたためにロープを滑り降りたのはいいが、それにより左手に火傷を負ってしまった。ふと見る温泉の効能にやけどの文字が頼もしい。
さあまたサウナだ。

この蒲生野の湯には施設の外に足湯があった。今ではもう湯が出ておらず使われていない。そして源泉も、伝い出るはずの湯口には管が刺されている。

まるで末期患者のように。
先輩も、いつか湯が出なくなるのではと噂している。もしそうだとしたら、なるだけ機会を増やしたい。
去り行くものが背を向けるとき、私は思わず手を伸ばす。しかし届くことはなかった。しかし私はいつまでも、そういうものだと割り切れないでいる。

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サウナ即身仏卍

2020.09.30

1回目の訪問

彦根で仕事を終え、バイクを琵琶湖側に走らせる。今日は先輩が留守のため、どうせならいつもは行かないサウナを目指す。
道のりは随分と長く、メロスよろしく日没ぎりぎりに到着。入浴料金は千円とお高めであり、早くも来たことを後悔しはじめた。
入場すると、薄暗くしかし見えなくない範囲の出で立ち。左右に低温、高温サウナがあり、疲れを癒そうという心遣いがありありと見える。
まずは低温サウナに入る。入り口に室内湯を延長した川と、それを渡す橋が粋を醸し出す。なんと座椅子が存在しない。大画面のテレビがある中、寝転ぶためのマットがそこかしこ。低温サウナでここまでの広さは見たことがない。
たっぷり時間をつぎ込み、水風呂へ向かう。水風呂にジャグジーか......珍しいな。そうひとりごち、水槽内の階段を下りる。1段、2段......3段!?ふ、深いッ!!なんだこの水風呂ッッ

次に高温のサウナに入る。横に長い室内の両端にストーブがある。テレビは......無い!?この照明の暗さ、そしてこの素晴らしい情報量の少なさ!!私の求めるサウナはここだったのか!?最近は8分以内の短いサウナばかりであったが、この高温サウナは私を捕らえて離さない。ここは私という獣をピンポイントで捕獲する檻罠だ。
サウナから命からがら抜け出すがしかし水風呂の深みにはまる。満身創痍の中、露天スペースでただ ただ エクスタシー。
千円どころか言い値でどうだと言わんばかりの掌返しを見せつけ店を出る。

真っ暗になった道を駆け抜けると、草のにおいを鼻が捉える秋の訪れ。

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サウナ即身仏卍

2020.09.23

5回目の訪問

水曜サ活

金閣寺湯

[ 京都府 ]

一ヶ月のサ禁から堰を切ったように金閣寺湯に雪崩れ込む。しかし激情に任せて入店するように見えて、実は目的があってのことである。
サ禁生活の中でこのサウナイキタイを血走った眼で回覧中、気になる文言を見た。
水曜サ活は9月30日まで。
水曜サ活はしたことないし、なんならサ活すらできていないが?
サウナイキタイの思慮不足ともいえる急かしにカチ切れては殺意を抱いて、今回のサ活の運びとなる。
金閣寺湯の自販機にはイオンウォーターがある。初めての水曜サ活であるので、これを用いて行うものとする。
水風呂の管理にも気を使うほど、地域住民に愛されているサウナは今日も元気に高温だ。昨日は私用で遅くまで起きていたので、この温度がいっとう効く。
さて......脱衣場で110円を握り、一糸纏わずイオンウォーターを購入する。この山吹、熱いものは熱いうちに、冷たいものは冷たいうちに頂くことをその食物、飲料に対する礼儀と心得ている。
これは馴染む!馴染むぞ!!──まるでサ活のために生まれし戦士だ。
イオンウォーターを装填し、サウナへ入室する。これは......!?水やお茶と違いこのイオンウォーター、身体へ長く留まっている。まるで染み入るようだ!これは存分にサウナを堪能できる。

サ活の最後に、露天風呂に入る。
空を見上げると、もうすっかり夜空だ。
サウナ内のテレビは、昼夜が同じ長さになる季節だという。
イオンウォーターの残りを身体に流し込み、バイクと私はまた秋を駆ける。


イオンウォーターを用いたサ活で一句。

サウナ秋
水曜夜長に
染入(しみ)る水

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