サウナ即身仏卍

2024.05.05

14回目の訪問

ゴールデンウィークにはいつもの場所で庭の手入れをする。滋賀県は竜王で3日間の仕事だ。現場についたのはいつもより遅い時間で、名神高速道路の蛇に呑まれた結果である。
どうやら来客が他に3人もいるらしい。私は猟師であるため、多めに肉を持ってきていて正解だった。ついでにと持ってきた所有の山で掘ったたけのこも煮て出そう。
バーベキューも終わり、各々話したすべらない話をおみやげに、最近できたという橋を目指して小ツーリングをする。ここに集まる人間はみな精神的に同世代で、橋の前で集合写真を撮る頃には高校生だった。

帰りしに水口温泉つばきの湯に寄る。時期がら満員御礼だ。駐輪場は無理やり2列の有り様だった。
脱衣場に入ると間もなくロウリュの告知が放送される。電車では遠慮しなければならないがサウナには飛び込み乗車あいや蒸煮が赦される。なんと前述の通り満員御礼だが最上段が空いていた。
熱波師が香り付きのロウリュを放つが、何の香りかはサウナの熱に溶けてしまい思い出すのは不可能だ。
熱波師が大団扇を仰ぐ。しかし正直なところオートロウリュのほうがよっぽど堪える。それは熱波師が若く、何故こんなことをしなければならないのかという青き考えがあり、それが私に伝わったのが原因ではないか。まあ原因がどうであれ、不整脈を抱える私には丁度良いが。

身体も肝も冷やすような季節は疾うの昔に過ぎ去り、賑やかな浴場は祭りのようでもある。そのときふと先程の熱波師と、ツーリングのことを思い出す。皆で撮った写真はみな揃って馬鹿なポーズをしていた。齢が三十を越えてもまだ青春ができることを誇りに思ったり、馬鹿々しく思ったりして今を過ごす。若き熱波師もいつかこんな馬鹿相手に仕事したと笑ってほしいものだ。

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