水口温泉つばきの湯
温浴施設 - 滋賀県 甲賀市
温浴施設 - 滋賀県 甲賀市
ここに来るときは大学の先輩と共に、そして仕事後にが定番である。カーオーディオから吹く夏を想わせる風が車内を抜けて行く。
到着したのは20時も中ほど。食堂でうどんのお勧め御膳を注文する。コロナ等の理由でお勧め御膳は200円の値上がりを見せたが、企業努力がわかる出来だ。1280円で悪くない。そのときの先輩との他愛もない雑談の中に、ふいに夏を感じた。それはありもしない故郷で、ありもしない青春の中を二人で駆けていた情景。虚構でしかないがどこか懐かしい。この先輩とは4年離れているので同じ制服になることはないが。
サ活が始まったのは21時を過ぎてから。オートロウリュは22時を残すばかりである。
なんだか記憶しているより室内が暑い。そういえばここ水口温泉に来るのもいつぶりだろう。いわゆる記憶と実際とでは差がある、あれだろうか。僅か6分で1、2回目は終わる。
3セット目にオートロウリュを合わせて最上段へ昇る。やはり暑い。常連のような口ぶりの若者が今日は暑いとのたまう。これでオートロウリュがきたらどうなっちゃうの。
3セット目が終わり、私は無我夢中でリクライニングチェアーに向かう。水風呂もだ。心臓が早鐘のように脈打ち、しばらくは何も考えられそうにない。
夜空はどうやら雲に覆われているようだ。あと何回か雨が降れば夏が来る。またとない夏が、二度と来ない夏が。
忘れられぬ夏にしよう、三十数年変わらず夏はワクワクする。
新しく興る早鐘の心音はさっきのものとは違ってみえた。
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