たんたん温泉・福寿の湯
銭湯 - 兵庫県 豊岡市
銭湯 - 兵庫県 豊岡市
私の手は血で汚れている。
豊岡の仕事は今日が最終日。仕事終わりにたんたん温泉でサ活をするのが毎年の常となっている。その道すがら、アナグマが息絶えているのを見た。ロードキルだ。夜行性のアナグマがなぜ明るいうちに道路にいたのか分からない。早朝か、もしくはこの曇天でいつもより早く活動したのか。
路肩に車を停めて近寄り、触る。まだ温かい。すぐ横を川が流れているのでそこで腹を割る。雌だ。膨れた腹はガス溜まりではなく乳だ。本当に死んでから少しも経っていない。
たんたん温泉に着いたのは19時くらいで、サウナに入ると阪神対オリックスの3戦目が映っていた。常連の方と野球談義をする。内臓を抜いたアナグマを氷で冷やす必要があるので、今回は2セットだけ。最終日だから倍はイキタイと思っていたが仕方がない。2セット目の最初が独りきりだった。この瞬間を大事にして、サ活を終える。
それにしても……この後先考えずに物事に手を出す性分はなんとかならないものだろうか。福寿の水風呂に浸かる間、ずっとそんなことを思っていた。
京都縦貫自動車道を下る手前から恐ろしいほど強く雨が降った。丹後の冗談のような強い雨が、手に染み込んだ血の汚れや自身に対する呆れも、この時ばかりは忘れさせてくれたのだった。
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