蒲生野の湯
温浴施設 - 滋賀県 蒲生郡竜王町
温浴施設 - 滋賀県 蒲生郡竜王町
新型コロナウィルスの蔓延により長期の自粛を強要された私は病院に担ぎ込まれることになる。
同ウィルスに感染したのではなく、長期のサウナ失調及び記憶喪失のためだ。
運び込まれた病院は蒲生野の湯。先輩にサ道を示された場所である。三段のサウナに広い水風呂、そして二人分のごろ寝スポットとサウナーには豪華な施設。
さあいざ5ヶ月ぶりのサウナへ。
しかしどうしたことだろう、この患者は10分経過しても汗が出ておらず、記憶喪失のせいか水風呂の入浴時間を誤る。身体の芯に寒気があり、外気浴を楽しめない。
サウナ失調の重篤な症状だ。
再び入室する。サウナ失調症を治癒するにはサウナ投与し続けるしかないのだ。10分が経過し、水風呂へ入る。
またしても入り過ぎてしまい、外気浴へ向かうと、そこに蒲生野の湯の源泉が目に映る。源泉はほとんど外気と温度が変わらず、しかし入った瞬間は仄かに温かい。
静かに湧き出す源泉の中で、患者は蘇りつつあった。
3セット目、ついに患者は水風呂の入浴時間を思い出したのだ。まるでピアノマンがピアノを弾き出すかのように。では先ほどのサウナで最上段を選んだ彼はまさにサウナマンなのだろうか。
蒲生野の源泉は、確かに私を導いた。敬意を表し、外気浴の代わりに入浴する。
原初に立ち返り、難病を克服した私はサウナイキタイで筆を握る。ピアノマンは偽者であったが、サウナマンは本物だ。
帰ってきたサウナマン‼
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