【閉店】竹殿湯
銭湯 - 京都府 京都市
銭湯 - 京都府 京都市
今日の仕事は雨の中。平均気温より5度ほど低く、サウナが私を呼んでいた。オートバイに乗ると身体が震えるのは、在りし季節の喪失感ゆえだろうか。
竹殿湯(たけとののゆ)は職場から程近く、まだサウナイキタイに登録されていない銭湯だ。新雪を踏む、とは気の早い表現であるが......施設登録に名を残せたことを喜ばしく思う。
竹殿湯は道路に面しており、駐輪場があるのでバイクを停める。店内に入ると靴箱があり、男女の隔たりがある。暖簾をくぐると番台がある。昔ながらの渋い出で立ちだ。
浴場はなかなか狭い。深風呂、ジャグジー、薬湯、電気風呂とあるがどれも小さめだ。しかし私にとってこれはマイナスとはならない。何故ならその分早くサウナへアクセスできる。ようは気の持ちようだ。冒頭で私を呼んでいたサウナがまさに君だったと確信する。
いま行くよ。君のもとへ。
扉の強化ガラスに多く入ったひびにエスコートを受ける。これまた狭い。4人以上入ることはお薦めしない。しかし100度を超える高温と、高い位置にあり外が見えない窓、そこにインテリアの如く並ぶ砂時計や炭。なんとここは秘密基地か!大人になって久しい私ではあるが、童心が騒ぎ出すのがわかる。
そこににわかにスピーカーから恋待ち夜雨が流れると、もう涙のぶんまで汗が流れてくるのだ。
水風呂もまた小さいが深さは十分あり、言うことなどない。しかしこの竹殿湯、外気浴ができないのだ。しかし浴場を出た先に高めの風呂椅子があることを見逃さなかった。椅子を通行の邪魔にならないところに移動し、縮こまるように外気浴をする。
しかしこれも私にとってマイナスとはならない。眼を瞑るとテレビの音が人の賑わいを演出し、そして行き交う車の音は潮騒である。
私はあろうことかこの京都市内で、あるはずのない海でととのっている!
気の持ちようでサ活は七色に変わる。現代社会の喧騒の中で、誰もが失いつつあるものが、このサウナにはあるのだ。
私のサウナルーティンはサウナ→水風呂→外気浴を3セットした後に、その銭湯、温泉の中で一番静かな湯に浸かるというものだが、竹殿湯の深風呂は丁度良く熱く、身体を芯まで温めてくれた。
竹殿湯のサウナと風呂が織り成した衣は、帰路に着くまで脱げることはなかった。
ああ、きみはそこにいたのか。
コメントすることができます
すでに会員の方はこちら