FOX&CRANE Cabin【TSURUI Sauna&Cabins】
温浴施設 - 北海道 阿寒郡鶴居村 事前予約制
温浴施設 - 北海道 阿寒郡鶴居村 事前予約制
とても保守的な人間で、新しいことに着手するのに時間がかかる。そのような私の性質を気遣ってくれる友人や知人に、新しい世界を教えてもらうことが時々ある。
昨年こちらにご招待を受けた時点では、冬季の北海道に少し恐怖心を持っていた。北海道とは避暑地であり、寒い時期に行くところではないというのが私の発想だった。数年ぶりに飛行機に乗り、着いた釧路はまさに北海道の冬景色だった。道路はまっすぐ伸び、沿って雪が見える。ドーム風の建物が2棟建っていた。宿泊できるそうだ。中は天井が高く、画像でしか見たことがない薪ストーブもあった。インテリアも北欧風でとてもオシャレだ。その2棟の間にサムライサウナがあるので入ることになった。サムライサウナとは五角形の小屋型サウナで、全て日本製である。もう暗くなってきている時間帯で中は明るくはなかった。小屋型サウナだから灯りはついていないが視界に苦労はしない。サウナストーブの火が灯りになっているからだ。気の合う友だち数人とサウナストーブの火を見て温まる。これは…新しい形のキャンプファイヤーかもしれない。火を見ていると気持ちが落ち着いてきた。朝から興奮が続いていたことにその時に気がついた。
ロウリュをして湿度が上がる。出来るだけ身体を温めても外に出ると寒い。意を決して水風呂に入り、チェアに横になる。しかしすぐに身体は冷え、一旦身体から体温が全て逃げたように感じる。ただその後に2回目のサウナに入ると先ほどよりも一気に早く深く熱が身体に入る。都会のサウナ施設では得られないスピード感だった。自分の身体が熱を出し入れするストローになったようだ。再度身体を温めて水風呂に入ったが、もう身体から熱が逃げない。
身体を拭いてチェアに横たわる。夜空を見上げると、空は星の天井となっていた。視力が悪いのにサウナ中は裸眼の自分にも、分かるほどだった。今は真冬だ。でも夏休みに行った体験教室を思い出す。親が勝手に申し込んでイヤイヤ参加していたあの時間が、今はとてつもないぜいたくに感じる。目を閉じると昼に見た展望台の景色を思い出した。遠くに工場が見えた、湿地帯が見えた。あの時、雄大というのがあの景色のために生まれた言葉のように感じた。その後タンチョウの群れを見た。カレンダーの1月ページを映像で見ているようだった。目を開くと星空だ。サウナ好きが一度は憧れる北欧のあの国もこんな感じなのだろうか。雪の中で水に飛び込んで、自分とは関係のない過激派の行動なのだと目を背けなかったか。自分と関係ないことなど何一つない。どんなときも迷い探し続ける日々が答えになることをご存知なのだと槇原敬之は語っていた。今は分かる。北海道は、鶴居村は、冬にあえて来る場所だ。
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