【閉店】松の湯
銭湯 - 東京都 新宿区
銭湯 - 東京都 新宿区
【青春の風景】
大学時代から最初の就職先までなぜか11年ほど早稲田にいた。
教育学部の校舎を左手に見ながらグランド坂と呼ばれる坂を上り、早稲田通りとの交差点を左に曲がって少し歩くと
季節外れのクリスマスのような、松の湯の電飾が目に入る。
交差点と松の湯。この景色は永遠に変わらないものだと思っていた。
大学時代のサークルの徹夜明け、社会人になってからも会社で徹夜作業になったときは松の湯の世話になるのが定番。しかしサウナに入ったことはなかった。
早稲田を離れたあとサウナにハマり、松の湯を再訪して、しっかりした熱さのボナサウナと、キンと冷えた15度の水風呂に驚いたのを覚えている。
学生街にはちょっと高いサウナ料金1000円のおかげか、だいたいいつもサウナは貸切状態。
サウナ室のドアを閉めると浴室の喧騒は遠くなる。BGMもテレビもなく、12分計も止まっている。曇ったサウナ室のドアの窓から見える立派な鶴のタイル絵を眺めながら静寂の中で静かに体をあたためる。
縦長の冷えた水風呂はサウナの目の前。大きな衝立があり、他の湯船やカランからは水風呂の様子は見えない。ここで静かに体を冷やす。
賑やかな浴室と、サウナ室と水風呂の静寂のコントラスト。
それは誰かといたいけど、ひとりになりたい大学時代の頃の気持ちを思い出させた。
大学時代にサウナを知っていればよかったのかもしれない。でもその時間には戻れない。
最終日は最後の挨拶がわりに一風呂浴びにくる人たちがひっきりなしに訪れていた。みんな青春時代の面影を瞳に宿しながら、名残惜しそうに写真を撮っている。
私もこの街で過ごした11年の時間を思いながら松の湯を後にした。
女
ねこさん の思い出の土地だったんですね
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