miyahara_ya

2021.06.28

1回目の訪問

雨上がりの蒸し暑い朝。けたたましく繰り返し鳴り響く電話。また新たな1週間が始まったと満ち満ちていた。と同時に月曜だからとどうしようもない電話対応に追われ辟易し、昼食を取る頃には、すでに体がサウナを渇望-まさに読んで字の如くである-していた。

 天拝の郷は、少し昔、春日市に居を構えていた時分何度も世話になっていた。当時はまだサウナを一種の拷問のようにも捉えており、その悦楽なぞ知る由もなかったのである。懐かしくも、話題になっていたこの浴場に、遠く足を運ぶことになったのはまさしくサウナのおかげでもある。どこかノスタルジックな感情に浸りつつ向かったのである。

 新設されたセルフロウリュサウナは、低い天井に輻射板が張られ、ひとたびロウリュを行えば容赦のない熱波が頭から浴びせられる。筆者は身長が190センチ近くあるため、立ち上がるとさらにその恩恵に預かることができる。
 壁面は香りよく耐久性の高い米杉のパネリング材で仕上げられ、上質である。なんといっても、柔らかに脳に響く、荘厳な太鼓の音色。太宰府からほど近いこの場所だからこその文脈が感じられ、かつてない没入感を得た。音により誘われる快感は唯一無二である。下賤なテレビなぞ必要ない。あまりに気持ちよく、この日の全てのサウナ浴はこちらのセルフロウリュサウナのみを利用した。メインサウナは次回に持ち越しだ。

 水風呂は浅いもののしっかりと冷たく、曲線を描く浴槽形状が柔らかく背を包んでくれた。外気浴までの動線も短く、サウナ前の慌ただしささえ心地よく感じたものである。

 この浴場、最高にして至高である所以は間違いなく外気浴が大きく寄与する。
筑紫野の街を見下ろす絶景。吹き抜ける風。サワサワと鳴る自然のオーケストラ。筆者は佐賀県の鬱蒼とした山の中で育った経験から、自然の力を存分に味わえる外気浴は、より一層五感を震わせられる。

 三度、12分、快楽のその先へ問答無用で追いやられた。拙い筆者のサウナ経験値ではあるが、うならせるに十分の良質な浴場である。泉質も良く、再訪は確実である。

 あぁまた1週間がはじまったのだ。しかし今の私にはサウナがある。逃げ場所ではない。セーブポイントではあるが、決して逃げているわけではない。

miyahara_yaさんの筑紫野 天拝の郷のサ活写真

  • サウナ温度 86℃
  • 水風呂温度 17℃
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2021.07.02 17:13
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