ふじやま温泉
温浴施設 - 山梨県 富士吉田市
温浴施設 - 山梨県 富士吉田市
【富士から吹き立つ天国の風】
「久しぶり〜じゃ行くか〜」
午前7時に調布。住まいが横浜の小生は5時過ぎに目を覚ました。
ひんやり。秋なんて飛び越し、もう冬の風が吹いているようだ。
クルマの暖房のにおい……懐かしい。いつ以来だろう。
「社会人になってサウ金と富士急ハイランド行くなんて思わなかったよ、もうお前もゴールインするしこれで最期かな……(笑)」
悲しいようで納得のいく感覚……遊園地には26歳ともなれば早ければ子連れもいるだろう、まさか男友達と行くとはね。
「今日は思いっきり遊ぼう。思いっきり。」
優先乗車券に課金してどんどんアトラクションをこなす。もう最期なんだ、どんと行こう。
夕方17時。朝早いしもうヘロヘロだ。
帰路は混んでいるようだ。
「ちょっと風呂入ってかえってこうぜ」
彼はふじやま温泉に立ち寄った。
会話はアトラクションの感想一色に染まる浴場内。「サウナーのいないサウナ」は小生の大好物である。
彼らは一日の振り返りを露天風呂でする。
いいよなあのひとときって。
途中から小生はサウナに寄り道した。
気づいた友人はサウナの外から様子を伺う。
私は「入ってくるなら」と人差し指を立てて口元に当てる。
しかし彼は何かを察して、サウナに入らずそのまま浴場を出ていった……
暖かい。じんわりと徐々に汗が出る。
旅先でのテレビはなんだか幸せな気分になる。
水風呂へ。18℃位。園内も歩き回ったせいか疲れた脚にガツンとくる気持ちよさ。脱力してゆく。これも旅先のサウナの醍醐味だ。
外気浴。ウッドデッキでこりゃたまらん。
凛とする冷気がカラダにあたる……空気も気持ち美味しく感じる。
ととのう……カラダから湧いてくる湯気が外気浴シーズンの始まりのシグナルである。
ガンギまって、浴場を去る。ハンモックで休憩していた友人のところへ。
「あの指、1時間の1かと思ったよ。まぁ一人で楽しんでたから俺は入らなかったけど」
気持ちを察してくれる存在、まさに親友である。
サウナで心が落ち着き、友人の一言にグッとくるものがある。
「さぁ帰ろうか……」
暗闇の中央自動車道を駆けてゆく。
途中のトンネルに入った時、車内が薄明るくなった。
一瞬、友人の顔を見て脳裏に刻み込んだ。この日が最期なのだろうか。
窓を少しだけ開け、入り込んだ風で目頭を乾かした。[完]
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