【閉店】かぷせるイン赤坂
カプセルホテル - 東京都 港区
カプセルホテル - 東京都 港区
【赤坂を疾走する風。あの時の表情は忘れない】
「お前と赤坂で落ち合うなんて不思議だな。」
彼の言う通りだ。
サウナ金融マンとはもう10年来以上の仲だが、いつも中野とか下北沢で崩れたガールズバーに入り浸ってた。
互いにオトナになり、今日志楽の湯に続き、彼のサウナに同行する。
「連れサウナはするつもりはない。これから行くところは俺のペースにもついてくるな。」
かぷせるいん赤坂。
錆びれた靴入れ。年季のあるEVはまるで大衆店のアレ。ドアが開けば嬢が待ってるかのようだ。
そして越後湯沢のどっかのスキー場を彷彿とさせる簡素過ぎるロッカー。
「貴重品はフロントへ」チラシがありすぎて若干治安の心配がまとう。
バスローブを纏い、共に8Fへ。ここからはサウナ金融マンのサ活を以下に記す。
~~~~~~~~~~~~~~
誰もいないココが好きだ。過去にも訪れているが秘境として投稿をしていなかった。
下段に知ってる顔がいるが、一人の時間を楽しむ。
座禅を組みじっとしていると小さな雫が大きくなっていく。カラッカラ特徴の現象だ。
指で腕をそっとなぞる。この円滑な滑り。
己の純度120%の汗の証。
蒸気で誤魔化してくるフィン式では出逢えない独特の現象。
12分で水風呂。あえて熱いお湯で流して隣の水風呂へ。
水が溢れ出す音色。誰もいない浴室に優しく反響し続ける。
1分で限界。持参したポカリを飲み、シャワーの外されたいわゆる「空き地」で休憩する。
慣れない。人がいないと逆に不安になる。ネットで張り付くされた天井がアングラさを一層ひきたてる。
静かなサ室、キンキン水風呂、鏡に映る己を見れる「空き地」、過去最高レベルである。
4セットを終え、浴場から出たカゴ入れで奴と丁度落ち合う。切っても切れない仲だ。
奴はドリンクも持ってきてないから残りもポカリを譲る。美味そうに飲む奴の顔がどこか懐かしい。
横にマルシンスパのようなトビラがある。
今日は思い切ってあけてみた。うあっ。
その時本日初めて、奴と目があってどこか嬉しかった。
~~~~~~~~~~~~~~
彼は突然奥のトビラを開けた。
心地よい風がカラダに吹きかかる。飲んでいたペットボトルに驚愕の奇声を詰め入れた。
目の前には夜空を灯る満月、そしてパールビルとbizタワーが彩る夜景。なんて景色だ。
彼は直ぐに優しく閉める。その時、彼の笑顔は筆者をどこか安堵させた。
若き頃入り浸ったガールズバーでの笑顔と全く同じだったから。[完]
コメントすることができます
すでに会員の方はこちら