【閉店】友の湯
銭湯 - 東京都 練馬区
銭湯 - 東京都 練馬区
北極星ーーある銭湯サウナの話ーー
2021年1月11日、ひとつの銭湯の灯が消えます。
友の湯。
東京都練馬区、石神井公園駅近くの歴史ある施設です。
私の「ホームサウナ」でもあります。
2019年5月、私がサウナイキタイにアカウントをつくったとき、「ホームサウナ」を入力することに驚きました。
サウナ経験が多くない私にとって、「ホーム」と呼べるようなサウナなど無かったからです。
仕方なく、住まいからほど近い、数回行っただけの「友の湯」をホームサウナとして登録しました。
「住めば都」ではないですが、「行けばホーム」。
下足札と引き換えに、サウナ利用者の証である黄色いタオルを受け取り、
「サウナ2時間までね」という毎回の指導を受け、
4人も入ればぎゅうぎゅうのサウナ室に入り、
何分計だかわからない砂時計をひっくり返して汗を流し、
これまた2人入れば「密」な水風呂につかる。
猛烈なインパクトがあるわけではないのに、なぜかクセになる。
友の湯を訪ねる頻度が増え、ようやっと名実ともに「ホーム」と呼べるような気がしてきたのが去年の今頃でした。
………
北極星の話をします。
北極星はご存知通り、ほぼ真北に位置し、夜に方角を知る目印となる星です。
こぐま座αのポラリスが現在の北極星です。
「現在の」、ということは、過去の北極星もあるわけです。
りゅう座αのツバン。
こぐま座βのコカブ。
1万3000年程前は、こと座αのベガも北極星でした。
北極星の光は、航海士や占星術師だけでなく、民草にとっても、進むべき方角を見つける指針として輝き続けてきました。
………
友の湯のサウナは、私にとって北極星でした。
「サウナ全盛」といってもいいほどの昨今において、あくまで町の銭湯サウナとしてそのヒーターを燃やし、「これくらいがちょうどいいんじゃないの?」という指針を常に示してくれました。
眩い光ではないけれど、いつもそこにいて、私たちを照らす。
そのことが、どれほどの安寧をもたらしてくれていたのか、いまようやくわかりました。
気がつくのが遅かったね。
ごめんなさい、友の湯。
さようなら、友の湯。
ありがとう、友の湯。
もし私が次の「北極星」を見つけたときには、友の湯、必ずあなたのことを思うでしょう。
泣かせますね、込み上げちゃいます。
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