せどらない男爵

2021.03.24

1回目の訪問

看板の前にて、怪訝さを薄ら笑いで誤魔化しているようなシュールな顔をして僕は立っていた。
ブルーバックばりの青色を基調に、黄色の矢印。そこに強調されたフォントにて「風呂は風呂やで」の文字。そして「風呂」の字は赤色……なぜ赤と青と黄にしたのさ? なんか、王道的色彩が渋滞起こしちゃってない?
右下におじいちゃんが、さもコラ画像の様に佇んでいる点もポイントが高い。
鉢巻をしているが、正面から簡素的な片結びをしているように見受けられ、ねじり鉢巻のように凝ったものではないことから、日頃常時よりタオル鉢巻をしているのであろうことがわかる。「風呂は風呂やで」のその言葉に嘘はなさそうだ。
ところでこれは意味どっちなんだ? 一家に一室お風呂場のこの時代、憩いを求めておいでなさいなってな事? 風呂は風呂であり、そこに効能やら美容やら快楽やらの欲望に流され、忍従を強いるとはナンセンスだという一つの真理であるということなのか?
肝心のお湯屋は目と鼻の先、とにかく行ってみる。

こちら千代乃湯は清掃の行き届いた、広めの古き良き系の銭湯。開店から、おそらく日が落ちるまでの時間では地元のおじいちゃん方が背中を流しあい、したたかに和気藹々と交流されている場でもあるだろう。
その温かな風景はサ室においてもそう、常連の方々はTV中継されている相撲を見ながら相撲について語らっている。普段はおしゃべりなんて言語道断な主義であるけれど、なんだか、そんな風景がまた温かい。
そう思えるのは、コンフォートサウナの魔法とも見紛う、どこからやってくるのか説明し難いあの湿度が、いつまでも僕を、優しく長居させてくれるからだろう。入室からものの数分で、さらりとした汗が流れた。TV有だがシンプルかつ、良質なサ室である。

水風呂は19°のバイブラ有……なのだが段差はあれど、ある程度深さを確保しているからか気持ちこれよりもちょっぴり冷たい。動いている水、活きている水、ゆるやかな心地になる。

そしてお待ちかね外気浴。ここに来たのは看板もあるけれど、やはり庭園のある銭湯なんて聞いたことがなかったから、それを肴にととのいたいと思ったのが決め手だった。
露天風呂を横切り、全裸で橋を渡る……そんな体験したことある? 腕を背に休めながら、全裸で小さな自然を眺める……嗚呼、スピチュアル。
庭はまだ冬の跡をその景色に残している。池に沈んだ枯れた色々の落ち葉、暗い色の蔓がぐったりと二、三本巻かれた四つ目の庇は裸のまま。それでも彼らは春を待ちわびており、その高揚感は、枝先についた緑の葉や、ひと足お先にと茂った木々たちから密やかながらも感じ取れた。そろそろ、温かな春がやってくるのだろう。

せどらない男爵さんの千代乃湯のサ活写真

  • 水風呂温度 19℃
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